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プレミアムフライデーは何がいけなかったのか:常見陽平のサラリーマン研究所(2/3 ページ)
プレミアムフライデー(笑)。今となっては、口にするのも恥ずかしい。これほど皆がこの施策にノッてこれないのは筋が悪かったからではないだろうか。いや、そもそもムリゲーだったというのが、私の見解である。
プレミアムフライデーはムリゲー
プレミアムフライデーはムリゲーだったというのが、私の見解である。最初から筋が悪かったのではないか、と。消費の喚起策なのか、長時間労働是正策なのか、いまいち明確ではなかった。いや、当初は消費喚起策だったはずだが、働き方改革の流れなどに合わせ、長時間労働是正の要素を取り込む風になっていったのだろう。
私は、「そもそも論」の部分について怒っている。これは長時間労働是正の根本的な問題とも重なっている。それは、「なぜ、日本人は定時に帰れないか?」「なぜ、残業はなくならないのか?」「なぜ、休みを取りにくいのか?」という問いである。
この手の話をすると、ダラダラ働くのが当たり前になっているから、会議が長いからなど、もっともらしい理由が連呼されるし、終いには社畜礼賛社会だとか、グローバル競争に生き残るためなど、そんな意見まで出て来るわけだが……。
答えはシンプルだ。残業は合理的だからだ。
日本の今の雇用慣行、労働市場から考えると、残業は必然的に生まれてしまう。仕事の絶対量が多く、突発的な仕事も多く、さらには仕事に高い質を求めるからだ。1人の仕事の範囲が明確ではないうえに、内容もどんどん書き換えられる。このあたりは私の書いた最新作『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社)を読んでいただきたい。例えば、6月30日(金)のプレミアムな時間に読書をするのはいかがだろうか。
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