「はま寿司」が急成長! 「かっぱ寿司」を追い越せた理由:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/4 ページ)
「スシロー」「くら寿司」「かっぱ寿司」を抜き、店舗数でトップに立った「はま寿司」。脱落しつつあるかっぱ寿司とは何が違うのか。外食ジャーナリストの長浜淳之介氏が読み解く。
ゼンショーグループのスケールメリットを生かす
はま寿司は牛丼チェーン「すき家」を核とするゼンショーホールディングスのチェーンだ。平日1皿90円で顧客が納得する寿司が出せるのは、ゼンショーグループのスケールメリットを生かした仕入れと物流網で、コストを下げられるからでもある。
グループ内には、「華屋与兵衛」という和食のチェーンがあり、鮮度の高い魚の仕入れで連携を取っている。すき家で鉄火丼などを出しているのも、まぐろの仕入れに有利に働いている。
また、はま寿司のグランドメニューで特筆できるのは、“肉寿司”の充実である。ゼンショーグループは、すき家の他にも、同じ牛丼チェーンの「なか卯」やハンバーグレストラン「ビッグボーイ」といった肉に通じた専門家を持つチェーンを有しており、それらの知見が生かされている。
ローストビーフ、合鴨、炭火焼牛カルビなどといった、本来200円以上取ってもいいほどの原価率の高いネタでも90円。ハンバーグも肉のうまみとシャリのバランスが取れたすしに仕上がっている。生ハム寿司やから揚げ軍艦もあり、バリエーションも豊富だ。
ローストビーフに関しては、なか卯で以前にローストビーフ丼を提供していたことがあり、商品開発での意見交換によってできた商品だ。炭火焼牛カルビの甘辛いしょうゆベースの味付けは、すき家で培った牛肉の調理技術に支えられている。
かっぱ寿司を買収したコロワイドグループにも、「牛角」や「ステーキ宮」のような優れた肉の専門チェーンがあるのだが、食べ放題メニューの片隅に牛カルビ、蒸し鶏、ハンバーグの3品があるだけだ。はま寿司に見られるような顧客を呼べる肉寿司の打ち出しが行われず、ナレッジの持ち腐れとなっている。
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