なぜスシローは「スイーツ」に力を入れるのか:長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/5 ページ)
下校時間、部活帰りにスシローへ来店する学生たち(特に女子大生)が増加しており、ランチとディナーの間のアイドルタイムの集客力が上がっている。なぜなのか。今回はスシローが注力する商品改革について考察する。
回転すしチェーンの雄「スシロー」(運営はあきんどスシロー)が、スイーツと国産天然魚に力を入れている。
11月15日より投入した、国産天然魚とアップルパイの新メニューにより、既存店の売り上げが再浮上している。天然魚は全国に海産物産地直送ネットワークを持つ「羽田市場」とタイアップ。アップルパイは部署横断のスイーツ好きが集まった「カフェ部」新設によるアップルパイ専門店「グラニースミス」監修の商品で、いずれも従来の回転すしの発想を打破する商品だ。
11月の既存店売上高は105.4%と、5〜10月までマイナスに落ち込んでいたのが半年ぶりに前年同月を上回った。新メニューの投入効果が顕著に表れている。既存店客数は101.4%、既存店客単価も104.0%といずれも前年同月より増加した。
既存店の売上減を、新規出店でカバーして成長する状況が半年にわたって続いたことから、スシローの成長性に陰りが見えているのではないかとの観測も広がりつつあった。しかし、魅力的な商品の投入で懸念を払拭(ふっしょく)した。
あきんどスシローの水留浩一社長によれば、「売り上げの伸びと単価の伸びは相関関係がある。メニューの満足度が高まれば、お客はいつもよりもう1品多くつまんで行こうかという気になってくれる」と、天然魚とアップルパイに寄せられた反響の大きさに、今後の方向性の手応えを得た。「うまいものを出すことにすし、サイドメニュー共にこだわり、上流から見直す」としており、競合他社に比べて1.4倍以上多い日商(一店舗当たり)をさらに引き離しにかかっている。
今回はスシローが注力する商品改革について考察していきたい。
関連記事
- 絶好調スシロー、「国産天然魚」「スイーツ」への挑戦
回転すしチェーン「スシロー」が好調だ。「地元の旬の天然もの スシロー×羽田市場」と「スシローカフェ部」の取り組みで、メニューのさらなる充実を図る。 - 「ドミノ・ピザ」が再び急成長しているワケ
「ドミノ・ピザ」が再び急成長している。宅配ピザ業界で首位に立つ「ピザーラ」を追い抜く勢いだが、なぜ好調なのだろうか。その理由は……。 - 不人気だった「ガスト」が再び成長している理由
安いだけでパッとしない店――。そう言われていたガストだが、近年の業績は好調だ。どのようなニーズに対応したことで、新たな顧客層を取り込んでいるのだろうか。外食ジャーナリストの長浜淳之介氏が解説する。 - 居酒屋「塚田農場」の“弁当”が絶好調の理由
居酒屋「塚田農場」(エー・ピーカンパニー)の弁当が売れている――。居酒屋チェーンが弁当事業を手掛けて成功した例を過去に聞かないが、なぜ同社は成功しているのだろうか。 - ココイチが急速に“マンガ喫茶化”しているワケ
カレー専門店の圧倒的シェアを誇り、独走を続けるCoCo壱番屋(ココイチ)。近年、そんなココイチが急速に“マンガ喫茶化”しているのをご存じだろうか……。 - 「どうせ売れない」を覆した「もぎたて」大ヒットの理由
2016年に706万ケースを販売したアサヒビールの缶酎ハイ「もぎたて」。これまで、売れる酎ハイをなかなか生み出すことができなかった同社が、なぜ大ヒット商品を生み出せたのか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.