山口達也さんの事件で、見落としている「少年の心をもったおじさん」問題:スピン経済の歩き方(4/5 ページ)
TOKIOの山口達也さんが、ジャニーズ事務所から契約を解除された。メディアで散々報じられてきたので、食傷気味の人も多いかもしれないが、筆者の窪田氏は「今後の日本社会のあり方を考えるうえで、かなり重要な問題提起となっている」という。どういうことかというと……。
ジャニーズ事務所と財務省が炎上
それは裏をかえせば、この問題を解決するには、「仲間意識」の根源となる組織カルチャーを根本的に見直す必要があるということだ。
TOKIOの4人が会見を開いたとき、その「本質」を見事についていたのが、松岡昌宏さんの以下の言葉だ。
「彼の甘ったれた意見はどこから生まれるんだろうと思いました。彼は自分が崖っぷちでなく、崖の下に落ちていることを気づいてなかったと思います。そんな甘えが生まれてくる根源はなんだろうと考えました。TOKIOに帰る場所がある。もし、そういう気持ちが彼の中にあり、甘えの根源が僕らTOKIOなら、そんなTOKIOは1日も早くなくしたほうがいいと思います」
実はこの言葉は福田さんにもあてはまる。我々一般庶民の前では、いかにも仲が悪そうにしているが、高級官僚と記者クラブの記者は「霞が関ムラ」のなかで、ネタのバーターというもちつもたれつのズブズブの関係で戦後70年をやってきた。そういう「仲間意識」が、財政研究会に属する女性記者ならホステスさんみたいな言葉をかけたところでたいした問題にはならないという「甘え」を生んだのである。
なぜ今回、ジャニーズ事務所と財務省という日本社会を代表する「ムラ社会」がたて続けに「炎上」しているのかを我々は改めて重く受け止めるべきだ。
ジャニーズ事務所は、そこに足を踏み入れれば、幼い子どものころから50近いオッサンになるまで、「ムラ」のなかのヒエラルキーとルールに従うことを強いられる。その厳格さはマスコミという「仲間」にも向けられる。テレビ、新聞というメディアへの情報統制は有名だ。
そんなジャニーズの霞が関版が、財務省に入省すると、事務次官を頂点に東大卒キャリア、ノンキャリというカチカチのビラミッドから一歩も出られない。そういう軍隊的な縦社会がゆえ、どうしてもハラスメントが横行して、「仲間」であるクラブ記者に対しても、ネタをくれてやっているという優越感から、傲慢(ごうまん)な態度で接してしまう。
こういうムラ社会特有の歪(ひず)んだ「仲間意識」が、「少年の心をもったおじさん」に甘ったれた勘違いをさせて、「暴走」を招いたのは明白だ。
ならば、日本中に溢れかえる「少年の心をもったおじさん」を大人しくさせる方法はひとつしかない。松岡さんがおっしゃるように「甘えの根源」を1日でも早くなくすのである。
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