なぜレオパレス21の問題は、旧陸軍の戦車とそっくりなのか:スピン経済の歩き方(1/5 ページ)
レオパレス21が「界壁」問題で揺れている。界壁とは、部屋と部屋の間を仕切るモノだが、同社の物件には屋根まで達成していないモノが複数存在していることが分かった。この問題に対し、筆者の窪田氏は「日本型組織のスタンダート、というか伝統だ」と指摘する。どういう意味かというと……。
「夢中で頑張る君に〜エルボー」
お笑い芸人、COWCOW・多田健二さんのこんな一発ギャグをご存じだろうか。レオパレス21(以下、レオパレス)のオリジナルCMソング『それぞれの夢』をパロッたものだが、実はこのギャグのような事態が現実に発生してしまっている。
テレビCMに登場する広瀬すずさんのように、レオパレスで憧れのひとり暮らしをスタートして、夢中で頑張る若者にとって寝耳にエルボーというか、後頭部にスタン・ハンセンばりの強烈な肘打ちを食らうほどインパクトのある事実が明らかになったのだ。
賃貸物件には防火や防音を目的として設置される部屋と部屋の間を仕切る壁、「界壁」があるが、レオパレスの物件には、屋根裏まで達していない物件が複数存在していることを、『ガイアの夜明け』(テレビ東京)が指摘したのだ。同番組に出てきた「関係者」によると、界壁なし物件は20年前から問題になっていたものの、社内で隠ぺい・放置されてきたという。
音が漏れるくらいならば互いにガマンをすれば済む話だが、屋根裏がつながっているのはマズい。ここを利用すれば他の部屋へ容易に侵入できてしまう。若い女性からすればこんな「恐怖の館」はない。なかには、「そういえば、昔レオパレスに住んでいたとき、留守中にモノの置き場所が変わっていたり、モノが失くなったことがあったんだよね」なんて思い出して背筋が冷たくなった女性もおられるかもしれない。
そんな破壊力満点のエルボーは入居者だけではなく、物件オーナーにも容赦なく向けられている。
昨年から、レオパレスを相手どってオーナーたちが集団訴訟を行っているという報道を耳にしたことがあるはず。原因はライバルの大東建託や、目下大炎上中のスマートデイズ(かぼちゃの馬車)でも、オーナートラブルといえば必ず登場する「サブリース」(一括借上げ)だ。
これは、オーナーが建てたアパートやマンションを、大東建託やレオパレスのような不動産会社が30年〜35年と長期にわたって一括で借り上げるというもので、オーナーからすれば募集や家賃の集金など物件管理をすべて丸投げできたうえ、安定した家賃収入まで保証してくれる、といういたれりつくせりのシステムだ。
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