常識を「非常識」に徹底するマツダの働き方改革:池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/3 ページ)
マツダの働き方改革について書きたいと思う。あらかじめ断っておくが、マツダの働き方改革は、いわゆる総務・人事の領域の話ではない。それは徹底的にクルマづくりの話なのだ。
マツダの働き方改革について書きたいと思う。あらかじめ断っておくが、マツダの働き方改革は、いわゆる総務・人事の領域の話ではない。それは徹底的にクルマづくりの話なのだ。
非常に重要なテーマでありながら、「働き方改革」という言葉は誤解されやすい。残業をなくすことだったり、有給休暇を消化することだったり、そうやって矮小化して、ただ人が楽になるだけの話にフォーカスすると働き方改革の本質が見えなくなる。
大手メディアを中心に、残念ながらわが国ではいまだに、搾取する大企業と搾取される労働者という対立軸でしか物事を見られない人がいる。しかし、実際に社会で働いている人なら知っているはずだ。ホントに仕事は苦役で、働かずに済むことが理想なのか?
そんなことはないはずだ。多くの人は仕事を通じて社会貢献すること、尊敬されること、人間関係が生まれることにポジティブな喜びを感じているはずである。それが仕事の明るい側面なのだが、しかし光があれば影もある。下げたくもない頭を下げたり、長い時間を仕事に捧げたり、大切なプライベートの優先順位を下げたりという疲弊する事々は、日々の仕事の中で起きている。
働き方改革とは、そういう仕事のネガティブな側面をできる限り圧縮しつつ、より豊かな人生のために心も体も健康に仕事をしようということである。
充実した仕事のためには、積極的に共感できる目標が必須だが、その目標が達成できたなら、金銭的にも正当なリターンがあるべきである。だから働き方改革は働く人にとって待遇改善であるのと同時に、組織ももうからなくてはならない。組織が一方的に利益をはき出して、個人に還元するような形なら、それには継続性はない。
つまり、働き方改革の本質は、より無理のない労働で、利益を増やす生産性の改革であり、例えばマツダのケースで言えば、より素晴らしいクルマや技術を生み出しながら、それを社員の負荷任せにしない。あるいは、もう一歩踏み込んでやりがいがある楽しい仕事に転換することである。
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