SB孫社長、携帯料金値下げ検討も「増益目指す」 コスト削減で人員4割を配置転換:ドコモは減益覚悟だが……
ソフトバンクグループの孫正義社長が決算会見に登壇。携帯料金値下げを検討しており、値下げによる減収を吸収するため、通信事業の人員を配置転換すると明らかにした。RPAで通信事業の業務を自動化し、人員を新規事業に回すという。
ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義社長は11月5日、2018年4〜9月期の連結決算会見に登壇。これまでにNTTドコモの吉澤和弘社長が「料金プランを2〜4割値下げする」、KDDIの高橋誠社長が「値下げはすでに終えた」とそれぞれ発言したことを受け、SBGの見解・方針を述べた。SBGも携帯料金の値下げを検討しており、「通信事業の人員を約4割削減し、他事業に再配置することで(値下げしつつも)増益を図る」(孫社長、以下同)という。人材を削った後の業務はRPA(Robotic Process Automation)で自動化する計画。
詳細は明言せず
孫社長は値下げ幅や具体的な施策には言及せず、「(市場の)競争の状態を見ながら、真摯(しんし)に行っていく」と説明するにとどまった。8月末に菅義偉官房長官が「携帯電話料金は4割値下げできる余地がある」と発言したことにも触れたが、「しっかりと対応する」とだけ語った。
ただ今年9月に始めた、YouTubeなど計8種類のWebサービスの通信量をカウントしない大容量プラン「ウルトラギガモンスター+」が、端末購入補助が付かない「分離モデル」であることから、総額では25〜30%値下げ済みとの認識も持っているという。
格安のサブブランドとして展開する「ワイモバイル」もさらに値下げする方針。携帯事業会社ソフトバンクの宮内謙社長は「(端末代金をセットにした)月々割が一部あるが、(これをやめることなどで)トータルの値段は少し下がる」と明言。「値下げ幅は1〜2割で、実施時期は19年度の上半期の予定だが、詳細は未定で、今後詰める」(宮内社長)という。
コストを減らすため人員再配置
通信事業の人員は解雇せず、新規事業に再配置する予定とし、孫社長は「(社員が)笑顔で新しい事業に取り組めるようにシフトする」と強調した。再配置の時期は「明確には決まっていないが、約2〜3年後の予定」という。
「値下げするから減益していい」は言い訳
ドコモは値下げ額の合計を「年間で最大4000億円規模」(吉澤社長)と説明し、その反動で19年度以降はいったん減収減益を想定。23年度をめどに営業利益を17年度水準(9900億円)まで回復させるとしている。
孫社長はこの動きを意識しつつ、「『低価格になるから減益してもいい』というのは、ゼロから創業したソフトバンクは言い訳として使いたくない。私は言い訳をするのが大嫌い。低価格化にしっかりと取り組みながら、事業として株主への責任を果たしていく」「しっかりと顧客還元を行いつつ、気を引き締めて増益を実現させたい」とし、業績悪化を繰り返し否定した。
ソフトバンクは年内に上場予定で、SBGとの“親子上場”となる見込みだが、孫社長は「上場で得た潤沢な資金を『SoftBank Vision Fund』の資金強化や負債の支払いに回す」と展望を話した。
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