SB孫社長、サウジ人記者殺害に言及「あってはならない事件」 共同ファンドは継続へ:早期解決求める
ソフトバンクグループの孫正義社長が決算会見に登壇。サウジ人記者ジャマル・カショギ氏が殺害された事件について「決してあってはならない、大変に悲惨な事件だ」などとコメントした。サウジ政府系ファンドとの投資事業は、当面は継続する方針。
ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義社長は11月5日、2018年4〜9月期の連結決算会見に登壇。サウジアラビア政府に批判的だったサウジ人記者ジャマル・カショギ氏がトルコのサウジ総領事館で殺害された事件に言及し「決してあってはならない、大変に悲惨な事件だ」などと述べた。サウジ政府系ファンドとの投資事業は、当面は継続する方針を示した。
カショギ氏殺害にはサウジ政府が関与したとの見方が強く、批判が集まっている。だがSBGが運営する、テクノロジー分野への投資を行う10兆円規模のファンド「SoftBank Vision Fund」(SVF)にサウジの政府系ファンド「Public Investment Fund(PIF)」が出資していることから、今後の方針が注目されていた。
孫社長は投資事業について、「サウジの国民からは投資に関わる資金をお預かりしており、『オイルに頼らず、経済を多様化する』という責務を負っている」「悲惨な事件があったことは事実だが、サウジの国民に対する責務に背を向けず、果たすべきだと考えている」「すぐに投げ出すわけにはいかない」――などと語り、当面は続ける意欲を示した。
事件の投資事業への影響については、「SVFのお金を受け取りたくないという企業は、現時点ではあまりないが、わずかな影響はあるかもしれない」とした。
SVFの資金を活用してテクノロジー分野のトップ企業を傘下に迎え入れる「群戦略」は引き続き推進し、「(投資事業によって)経験したことのないレベルの営業利益が出せる」と自信を見せた。
ただ将来的に設立予定の、SVF第2弾における組成などは「(事件に関する)説明が行われたのちに、慎重に判断する」と話した。
サウジ政府関係者は真摯に受け止めていた
孫社長はまた、サウジアラビアで10月末に開かれた経済会議「Future Investment Initiative」での講演を取りやめた件について、「現地入りはしており、(事件への関与が疑われていた)ムハンマド皇太子のほか、多くの大臣や政府高官にお会いした」ことを認めた。
サウジ政府関係者には「私どもの懸念と、事件に対する真相究明をしっかりと行ってほしいということを伝えた」といい、先方は「真摯(しんし)に受け止めておられた」としている。ムハンマド皇太子は、自身の関与を巡る疑惑については言及しなかったという。
孫社長はこのほか、記者殺害事件に対し「事件の真相が究明され、説明されることを心から願っている」「ジャーナリズムや言論の自由に問題を提起したため、強い遺憾の意を示したい」などと繰り返し述べ、解決を求める姿勢を強調した。
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