「アルコール離れ」は悪いことばかりなのか 関係者の“不都合な真実”:スピン経済の歩き方(1/6 ページ)
「ビール離れ」に歯止めがかからない。大手メディアは「消費者の節約志向」「豪雨や地震の影響」などと報じているが、ビールの消費量は14年連続で減少している。「減少が続いている」と聞くと、あまりいいイメージを抱かないかもしれないが、筆者の窪田氏はちょっと違う見方をしている。どういうことかというと……。
「そういや、最近ビールって、まったく飲まなくなっちゃったな」と感じた方も多いのではないだろうか。
1月16日、ビール大手5社の「ビール類」2018年出荷量が、前年比2.5%減の3億9390万ケース(1ケースは大瓶20本換算)と14年連続で減少している、と報じられたのだ。
4億ケースを下回ったのは1992年の統計開始以来初。消費者の「ビール離れ」がかなり進行していることは明白だが、マスコミは「消費者の節約志向」「豪雨や地震も影響」なんて調子で、わざわざ難解な解釈を披露している。
タバコは広告規制でCM出稿量がガクンと減ったが、ビールCMは依然としてゴールデンタイムにもバンバン流れている。「お得意さまへの忖度(そんたく)」という言葉がどうしても浮かぶ。
ただ、残念ながらマスコミがどんなに理由を絞り出しても、「ビール離れ」の事実は覆い隠すことはできない。ビールうんぬん以前に、日本人の「アルコール離れ」がこれ以上ないほどに進行しているからだ。
このような話をすると、「いやいや、確かにビールは減っているが、ハイボールや缶チューハイは人気だし、家飲みも増えて酒の楽しみ方が多様化しているだけ」なんて感じのことを言い出す人たちがいる。ただ、「1人当たり」を見れば、日本人が酒を飲まなくなっていることが、動かしがたい事実だということがよく分かる。
「成人1人当たりの酒類消費数量について、平成元年以降は、平成4年度の 101.8Lをピークとして減少傾向にあり、平成28年度には80.9Lとピーク時のおよそ8割に減少しています。この間、成人人口は増加傾向であったことを踏まえると、飲酒習慣のある者においても、その飲酒量は減少しているものと考えれます」(国税庁「酒レポート」 平成30年3月)
つまり、バブル期あたりまではイッキだ、今夜はオールだなんて感じで、バカバカ飲んだ日本人も往時の20%減の勢いでしか酒を飲んでいないのだ。
そう聞くと、「どうすれば若者のアルコール離れを食い止められるのか」とか「メーカーが本当にうまいビールをつくってないからだ」というシリアスな話になりがちなのだが、実は酒を飲まなくなることは、悪いことばかりではない。
むしろ、これからの日本の未来を考えれば、「プラス」に働くことも多いのだ。
例えば、自殺だ。
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