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「アルコール離れ」は悪いことばかりなのか 関係者の“不都合な真実”スピン経済の歩き方(2/6 ページ)

「ビール離れ」に歯止めがかからない。大手メディアは「消費者の節約志向」「豪雨や地震の影響」などと報じているが、ビールの消費量は14年連続で減少している。「減少が続いている」と聞くと、あまりいいイメージを抱かないかもしれないが、筆者の窪田氏はちょっと違う見方をしている。どういうことかというと……。

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飲酒と自殺の密接な関係は「常識」

 先ほど触れた「マスコミの忖度」のせいで、日本のテレビや新聞で取り上げられることは少ないが、世界的には、飲酒と自殺に密接な関係があることは「常識」となっている。

 米国では、自殺者の約75%がうつ病かアルコール乱用かその両者の合併だったとして、アルコールや薬物を乱用している人の自殺率は一般人の20倍にのぼる、という報告がある。フィンランドでは、個人の年間アルコール消費量が1リットル増えると男性の自殺死亡率が1.6%上昇したなんて、そのものズバリの報告もあるのだ。

 日本でも自殺予防総合対策センターが平成19年度から21年度に40歳から69歳の男性4万3383人を対象にして調査を行ったところ、自殺者の2割以上が、亡くなる前の1年間に飲酒問題を抱えていたことが分かっている。

 そして、これらの調査を裏付けるような国も山ほどあるのだ。

 例えば、WHO(世界保健機関)のデータを基にした「1日1人当たりアルコール消費量ランキング」で上位にのぼるベラルーシ、リトアニア、ウクライナなどは自殺率も高いことが分かっており、アルコール大量摂取による自殺も社会問題化している。

 また、その逆がロシアだ。ウォッカをカパカパと飲み干すイメージの強い同国は、男性によるDVと自殺が多いことで知られていたが、ここにきてガツンと減ってきているのだ。

 英・エコノミスト紙によると、2000年代からロシアの自殺率は世界基準でもかなり高かったが、現在はピーク時の半分にまで減っているという。この原因を同紙は、ソ連崩壊以降に社会が落ち着いてきたことだと分析しているが、個人的には「酒量が減った」ことの効果だと思っている。

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