エンタープライズ:ニュース 2003/07/16 19:50:00 更新


基調講演:東京でWebLogic Platform 8.1の製品版出荷を発表したBEAのチュアングCEO

BEAのチュアングCEOは、同社にとって大きな一歩となる「WebLogic Platform 8.1」の製品版出荷を東京のBEA eWorld Japan 2003で発表した。米国外での製品版出荷発表は初めてだという。

 梅雨明けが待ち遠しい7月16日、都内のホテルで「Converge」(融合、調和)をテーマに「BEA eWorld Japan 2003」カンファレンスが開幕した。BEA Systemsは、「BEA WebLogic Platform 8.1」の製品版出荷を発表する場として東京を選び、創業者の一人であるアルフレッド・チュアング会長兼CEO以下、チーフアーキテクトのアダム・ボースワース氏、チーフマーケティングオフィサーのトッド・ニールセン氏という同社幹部を大挙来日させた。

 チュアングCEOはオープニングの基調講演で「日本は創業初期からわれわれの製品を受け入れてくれた大切な市場」と強調する。それがリップサービスでないことは、創業の翌年である1996年に早くも東京にオフィスを開設していることから分かる。同社が製品版出荷の発表を米国外で行うのは初めてだという。

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「BEAはイノベーター」と胸を張るチュアングCEO


 BEA WebLogic Platform 8.1は「これまでで最も重要なリリース」とチュアング氏は話す。2年間の歳月と700人のエンジニアを投じて開発され、その間の研究開発費は45%も増額されている。彼の言葉は決して誇張ではなく、だからこそイノベーションが可能となり、株主や顧客らに新しい価値が提供できるという。

 先のバージョン7.0で、WebLogic IntegrationやWebLogic PortalといったランタイムコンポーネントをWebLogic Server上に統合したほか、このバージョンからWebLogic Workshopによって開発環境も統合している。カスタムロジックもインテグレーションも同じマナーで開発できるのが強みだ。米国では今年3月のBEA eWorldで正式発表され、開発者向けバージョンのダウンロードが始まっていた。

 「コンバージェンスの意味するところは、統一されたフレームワークの下、開発とインテグレーションが1つになるということ。そうすることで未来と過去を融合させ、ITシステムから最大の価値を引き出すことができる。開発はITの右手であり、インテグレーションはITの左手」(チュアング氏)

 彼によれば、CIOの最大の関心事は、互換性やインテグレーションの問題だが、それらはコンサルタントの仕事であり、デベロッパーがミーティングに招かれることはなかったという。しかし、WebLogic Platform 8.1では、デベロッパーらがそのスキルがインテグレーションに生かすことができ、チームの価値あるメンバーに引き上げられることになる。

 「給料が上がっても礼はいらない。最初からわれわれを支持してくれた正当な見返りだから」とチュアング氏。

 もちろん、WebLogic Platform 8.1の恩恵に浴するのはデベロッパーだけではない。企業は限られた開発リソースを負荷に応じて再配置することができるだけでなく、レガシーシステムを生かすことによって、過去の優れたアイデアを未来に向けたアイデアに結びつけることもできる。

 チュアング氏はレガシーを「両刃の剣」と表現する。現在のプロセスを処理してくれている反面、オープンではないし、柔軟性に欠けるため、ビジネス環境の変化に応じた拡張が難しいからだという。フラストレーションを感じたデベロッパーはすべてを捨て去ろうとするが、過去のノウハウが蓄積されたレガシーシステムを生かすことができれば、ただでさえ抑制させているIT予算をより戦略的な分野に割り振ることができる。

 「過去の成功の上に未来を構築できる。もはやレガシーは障壁ではなくなる」(チュアング氏)

 市場調査会社のガートナーは、ミドルウェア群のスイート化というトレンドを捉え、「Application Platform Suite」(APS)というカテゴリーを定義し、2007年までに75%以上のミドルウェアライセンスは、APSベンダーから販売されるようになると予測している。そして、彼らのマジッククアドラントでは、BEAが最高点を与えられている。

 「企業のソフトウェアに複雑さがあるとすれば、それはビジネスの反映であり、われわれのソフトウェアが原因であってはならない」とチュアング氏は話す。

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▼BEA eWorld Japan 2003 レポート

関連リンク
▼BEA eWorld Japan 2003オフィシャルサイト

[浅井英二,ITmedia]