エンタープライズ:ニュース 2003/08/11 17:58:00 更新


「プラットフォーム」としてASTERIA 3を売り込むインフォテリア

XMLネイティブのB2Bサーバとして産声を上げたASTERIAは、開発プラットフォームへと大きく変貌を遂げようとしている。インフォテリアではASTERIA R3の発表に伴い、「SLiM」という新しいコンセプトを打ち出した。

 インフォテリアは8月11日、新しいタイプのビジネスインテグレーションプラットフォーム、「ASTERIA」の最新バージョンを発表した。「SLiM」(システムライフサイクルマネジメント)という新しいコンセプトを打ち出し、「アプリケーション開発プラットフォーム」として売り込む。

 XMLネイティブのB2Bサーバとして産声を上げたASTERIAだが、昨年6月リリースのASTERIA R2では、B2BやEAI(Enterprise Application Integration)の枠を超えたビジネスインテグレーションプラットフォームへと進化した。XMLにこだわらず、データをつなぎたいというさまざまなニーズにこたえる一方、ノンプログラミングを徹底的に追及しているのが特徴だ。今回発表された「ASTERIA R3」では、BPM(Business Process Management)までその領域を拡大したほか、リポジトリベース開発の機能を追加したことで大規模チーム開発も可能になるという。

 「確かにJavaは普及したが、プログラミングそのものに限界がある。プログラミングは属人性を高めてしまい、システムをあとから手がつけられないものにしている」と話すのは、インフォテリアの平野洋一郎社長。

 インフォテリアでは、企業がそうした既存システムの「レガシー化」を避けるためにはプログラミングを排してシステムを可視化することが重要だと考え、特に変化の激しいシステム間のインタフェース部分に着目し、ASTERIAを進化させてきたといっていい。システムのモジュール化や分散化は進んだものの、インタフェースの開発工数は30%近くを占め、最重要課題となっているからだ。

 インフォテリアではASTERIA R3の発表に伴い、「SLiM」(スリム)という新しいコンセプトを打ち出している。モジュール間のインタフェースすべてをASTERIAのフローとして可視化すれば、肥大化や属人化を回避でき、システムの品質を長期にわたって維持していけるという考え方だ。同社では、システムの新規導入やリプレースを機にアプリケーション開発プラットフォームとしてASTERIA R3を導入してもらえるよう売り込んでいくという。

 インフォテリアで製品企画部長を務める江島健太郎氏は、「ASTERIAは粒度の高いコンポーネントのアイコンを組み合わせるフレームワークなので、人によって差が出ない。一定の品質を保てるし、ボトルネックも発生しにくい」と話す。ASTERIAでは、ビジュアルなデザインがプログラミングであり、そのまま仕様書にもなるため、保守を日常的な作業に変え、システムの品質を維持しやすくしてくれるという。

 そのため、システムを可視化してくれるビジュアル設計環境、「ASTERIA Designer」の改善もASTERIA R3では重要なポイントとなってくる。アイコン同士をつなぐ線の自由な描画や柔軟なウインドウレイアウトなど、ユーザーからのフィードバックが着実に反映されているという。

 なお、インフォテリアでは9月12日、都内で「INFOTERIA DAY 2003」カンファレンスを開催する。京セラ、昭和リース、東芝セミコンダクターといったユーザー企業による事例紹介セッションもある。

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ASTERIA Designer 3によるデータフロー設計。受信した発注書を元に、PDFによる注文確認の返信や、受注管理システムへのデータ送信、担当者へのExcelシートの表示などが行われる。コメント配置や線描画の自由度が増し、データの流れをより一層分かりやすく可視化できるようになった


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[浅井英二,ITmedia]