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2004/03/12 19:08 更新


進化を続けるeBayのデータウェアハウス

「Teradata Universe Tokyo 2004」でeBayのベストプラクティスが紹介された。同社は1999年にデータウェアハウス構築に着手して以来、AccessとExcel、InformaticaとOracleなどを組み合わせながら遣り繰りしてきたが、2002年、戦略的な視点からTeradataを採用した。

 「e-Commerceのエンジン」を掲げ、「世界経済民主主義」のビジョン実現を目指すeBay──その急成長を支えるのが、NCR Teradataデータベースを核としたデータ管理プラットフォームだ。

 3月12日、都内のホテルで開催されている「Teradata Universe Tokyo 2004」でeBayのベストプラクティスが紹介された。NCR Teradata部門が世界各地で開催しているユーザーカンファレンスの最大の特徴は、ユーザー自身がその導入事例を紹介することだ。

 今や登録ユーザーが1億人に届こうというeBayは、2003年の取扱高も前年比60%増の240億ドルに達している。

 eBayでインフォメーションマネジメントを統括するディレクター、パトリック・フィロジアン氏は、「われわれに求められているのは、少ないコストと労力でより大きな成果(Do more with less)だけでなく、“短期間”かつ“データの質を維持する”というオマケまで付いている」と話す。

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eBayのフィロジアン氏(右)とマッキンタイア氏


 eBayは1999年にデータウェアハウス構築に着手して以来、AccessとExcel、InformaticaとOracleなどを組み合わせながら遣り繰りしてきた。

 「決まりきった標準的なレポートからダイナミックなレポートへと進化してきたが、さらにリアルタイムな情報が求められているし、瞬時の災害時復旧機能も必要になっている」と話すのは、上級アーキテクトを務めるマイケル・マッキンタイア氏。局地的な戦術のため、というよりはむしろ、戦略的な目的のためにTeradataを採用したという。

 「われわれビジネスは、その性質上、コンピュータ処理中心のものだ。サイトの成長に対して追従しなければならないし、取引履歴やさまざまなイベントから次のアクションを立案し、実行しやすいプラットフォームが必要だった」(マッキンタイア氏)

パーソナライゼーションは必要?

 かつてドットコムブームのころ、「パーソナライゼーション」という手法が喧伝されたが、フィロジアン氏もそうした戦術的ことには懐疑的だ。

 「正直、eBayでは純粋な意味でのパーソナライゼーションはやっていない。われわれがやっているのは極めて基本的なもので、ログイン時に初心者かエキスパートかを識別し、ナビゲーションや提供する情報を変えている程度。Amazonは優れた企業だが、パーソナライゼーションがどれほどの効果をもたらしているのかは分からない」(フィロジアン氏)

 むしろ、データウェアハウス活用の王道ともいうべき、顧客のセグメンテーションに力を入れており、「最近、サイトを訪れたか」「頻度」「取引金額」といったデータを基に顧客をセグメンテーションし、電子メールによるキャンペーンを実施している。

 「キャンペーン管理はKANA Connectを利用しているが、ボリュームを考えるとKANA Connectだけでは無理だった」(フィロジアン氏)

e-Commerceのエンジン!

 日本ではあまり知られていないが、eBayはそのデベロッパープログラムを通じ、「eBay API」を提供している。このAPIを利用することで、eBayというe-Commerceのエンジンの上に自身のサイトを構築することができる。また、XMLフォーマットでのやり取りもサポートしているため、例えば、Microsoft ExcelとeBayを連携させ、Excelシートに入力するとeBayに出品できるといったことも可能となる。フィロジアン氏によれば、最近では、コンシューマーとeBayのあいだに入り、オークション販売の仲介を行う業者も現れている」という。

 「APIの利用は拡大している。パートナーだけでなく、eBay自身もAPIを活用し、セラーやバイヤーに良い体験をしてもらえるサイトをつくろうとしている」(フィロジアン氏)

 日本市場からは撤退を余儀なくされたeBayだが、昨年7月、中国の大手オークションサイト、EachNetの買収を完了し、巨大な市場への足掛かりを得ている。

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▼日本NCR テラデータ事業本部

[浅井英二,ITmedia]

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