特集
2004/04/30 22:00 更新

dev Java
特集:第1回 いまから始めるEclipse−Windows、Linux対応機能ガイド (1/11)

さまざまなメディアやコミュニティで取り上げられ、オープンソースのJavaアプリケーション統合開発環境(IDE)、デファクトとして確固たる地位を築いたEclipse。この特集では、主な機能解説を始め使いこなすためのポイントを解説していこう。

 現在、「Eclipse」(http://www.eclipse.org/)がJava開発者向けの統合開発環境(以下、IDE)として幅広く使われていることは、想像に難くない。読者の中にもEclipseの名を聞いたことがあり、それ以上に日ごろから開発に利用しているという人もいるはずだ。しかし、Eclipseを単にエディタ+JDKの代替品として使い、その多機能さゆえに開発に役立つ便利な機能を見逃してはいないだろうか。あるいは、Eclipseをまだ使ったことが無く、その恩恵を享受していない読者がいるかもしれない。

 この特集では、Eclipseの誕生経緯を冒頭に触れ、具体的な設定から導入方法、開発支援機能などについて解説していく。また、Eclipseの大きな特徴であるプラグインプラットフォームとしての一面についても解説し、プラグイン導入の手順や、具体的にどのような機能が拡張可能かが理解できるよう構成した。具体的なインストールから基本操作、プラグインによる機能追加までひと通りを追うことで、Eclipseを活用するためのステップになるはずだ。

 なお、記事執筆にあたり使用したプラットフォーム(OS)は、Windows XP Professional、およびRed Hat Linux 9である。コマンドプロンプト、あるいはシェルでの作業の様子は、この環境で得られた出力を掲載している。

見 出 し 一 覧
1. EclipseはIBM主導のプロジェクトとして誕生した
2. ひと言でいえばプラグイン拡張されるIDEプラットフォーム
3. Eclipseいちばんの特徴は機能充実と速度、拡張性
4. 動作環境にはWindowsとLinux版が用意
5. 動作環境としてJDK 1.3.1以上を要する
6. 日本語メニュー化も可能
7. Windowsへのインストールと日本語化手順
8. Linuxへのインストールと日本語化手順
9. 初期起動とエラー対処
10. 基本的な画面構成を理解しよう
11. 主な設定項目を理解しよう−キーバインド、ラベル装飾、Javadoc指定、JRE指定、行番号、コンパイルオプション
12. 開発への第一歩、Javaプロジェクトの作成
13. クラスの作成
14. 充実する開発支援機能−コード補完、自動ビルド、エラー補正、インポート宣言簡略、フォーマット統一、リファクタリング、スクラップ、タスクビュー、Javadocエクスポート
15. サンプルプログラムの実行
16. デバッグ機能の効果
17. 真価のひとつ、プラグインによる機能拡張
18. 初期導入されているプラグイン−Ant、JUnit、CVSなど
19. 独自プラグイン導入は容易
20. その他のプラグイン−P2P、Wiki実現など
21. 新版Eclipse 3.0は6月にリリース
22. 進化し続けるEclipse

EclipseはIBM主導のプロジェクトとして誕生した

 Eclipseは、IBMが次期開発環境製品の基盤を形成するものとして、1999年4月に4000万ドルもの投資をして開始されたプロジェクトだ。その後、2001年11月にオープンソースコミュニティにソースコードが寄付され、以降の開発は「Eclipseプロジェクト」によって続けられている。Eclipseプロジェクトには、BorlandやRed Hatを始めとした多くの企業が名を連ねる。さらに、Eclipseプロジェクトは、「The Eclipse Project」、「The Eclipse Tools Project」、「The Eclipse Technology Project」、「The Eclipse Web Tools Platform Project」といったサブプロジェクトと分類されている。ここでは各サブプロジェクトの詳細な説明は割愛するが、興味のある人は公式サイト内のprojectsコンテンツを参照にしてほしい。


現在のEclipseはIBMのアプリケーションサーバ向け開発環境であるWebSphere製品の基盤となっている。IBMのWebSphere Application Developer 5.0(以下、WSAD)の起動画面には「POWERED BY Eclipse TECHNOLOGY」というロゴタイプも見られる(ちなみに、WSADの起動にはEclipseに比べ数倍の時間を要する。筆者はその間にコーヒーを淹れていたほどだ)。操作性や画面構成も似ており、どちらか片方を使用した経験があれば、他方に慣れるのにさほど時間が掛からないだろう。また、WSADでは初めからStrutsフレームワークを用いた開発や、EJB開発にも対応している特徴があり、IBM独自の拡張が商用アプリケーションとしての真価となっている。

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[萩原 充,ITmedia]

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