2007年新春特別対談 HP×Oracle:仮想化×グリッドが切り開く新境地は? 最強タッグが2007年を占う(1/2 ページ)

シリコンバレーの礎を築いたHewlett-PackardとOracleは、固い絆で結ばれた長年の盟友だ。HPがUNIXを初めてコマーシャル分野に売り込もうとしたとき、その原動力になったのはOracleデータベースだった。今、RISCプロセッサからItaniumプロセッサへの移行が予定を上回るペースで達成しつつあるHPにとって、再び力強い援軍となっているのが、やはりOracleの一連のエンタープライズソフトウェア群だ。そんな最強のタッグが、「仮想化」や「グリッド」といったキーワードを軸に、2007年のトレンドを占う。日本ヒューレット・パッカードの松本芳武エンタープライズストレージ・サーバ統括本部長と日本オラクルの三澤智光システム製品統括本部長に話を聞いた。

» 2007年01月22日 10時00分 公開
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ITmedia 両社はシリコンバレーを代表するITベンダーであり、長年の盟友でもあります。少し振り返っていただけますか。

松本 Hewlett-Packardは、シリコンバレーを拠点とするベンダーとして、Oracleをはじめとする多くのパートナー様と協業し、一緒にビジネスを成長させてきました。

 2006年3月、Oracleのラリー・エリソン氏、Intelのポール・オッテリーニ氏、そしてHPのマーク・ハードというそれぞれの経営トップが一堂に会し、Itaniumのビジネスを加速させることで合意したことを明らかにしましたが、Oracleとの協業のルーツは1980年代に遡ります。

 HPはItaniumプロセッサによってプラットフォームの大きな転換を図ったわけですが、何もこれが初めてではありません。われわれは、ミニコンピュータであるHP3000において、CISCプロセッサからRISCプロセッサへの大きな路線転換を1980年代後半に経験しています。また90年代には、科学技術計算やエンジニアリングワークステーションの分野に限定されていたUNIXとRISCプロセッサをコマーシャル分野で活用するようになりました。

 ご存じのようにコマーシャル分野ではミドルウェア、特にデータベース管理システムが欠かせません。これらのミドルウェアを自社だけではなく、最良のソリューションとしてパートナーと一緒になって提供しようと考えたとき、最適なベンダーはOracleだったのです。

三澤 OracleにとってHPは、今さら何も言うことのないくらいの存在です。松本さんがご指摘のとおり、昨年3月には、HPとIntelが共同開発したItaniumプロセッサに対するサポートの強化を改めて表明しました。ミドルウェアからアプリケーションに至るまでフルラインでコミットしたのはOracleだけです。

松本 3社の提携強化は意義ある発表でした。夏にはItaniumプロセッサでは初となるデュアルコアのMontecitoがリリースされ、その性能が一段と高まる中、求められていたのはISVのソリューションでした。3月の時点で3社のトップがコミットメントを発表したことで市場は一気に動き、ほかのISVのサポートを促しました。流れをつくった発表といえるでしょう。

三澤 Oracleは、アプリケーションを含む、総合ソフトウェアベンダーとしてビジネスを展開するようになりましたが、それらを価値あるシステムとして顧客に提供するには、ハードウェアベンダーのみならず、システムインテグレーターらの協力を仰がなくてはなりません。

 HPはコンサルティング分野でも世界有数の実績を誇っています。堅牢なハードウェアからサービスまで包括的なソリューションを提供できるHPとの協業は、特に日本市場においても、われわれのビジネス展開を後押ししてくれるものです。

 ハイエンドなオープンシステムとしては、HPのプラットフォームとOracleミドルウェアの組み合わせは、もはやデファクトスタンダードといえる存在です。HPは国内有数のインテグレーション実績を誇っていますし、NECや日立製作所といったOEMパートナーも多くの顧客を抱えています。HPのプラットフォームとOracleミドルウェアの組み合わせは、今後さらに存在感を増していくと思います。

2007年のITトレンドは?

ITmedia 昨年は仮想化のような、企業のデータセンターの在り方を大きく変える技術が芽生えてきました。2007年はどんな潮流が見られるでしょうか。

日本ヒューレット・パッカード株式会社 執行役員・統括本部長 テクノロジーソリューション事業統括 エンタープライズ ストレージ・サーバ統括本部 松本芳武氏

松本 HPは「アダプティブエンタープライズ」を掲げ、企業が外部環境の変化に即応できるための支援をしていますが、そうした変化即応型の企業を実現するIT基盤、すなわち「アダプティブインフラストラクチャー」が2007年はますます重要になるでしょう。例えば、HPも大規模な合併を経験しましたが、部門同士の合併や海を越えた合併も活発化してくるとみられています。そうなると、統合の効果としては、ITも必ず問われることになります。

 また、合併は抜きにしても、経営からのコストプレッシャーはますます強くなるでしょう。そういう意味では、昨年秋にリリースした、デュアルコアMontecito搭載のHP Integrityサーバは、「アダプティブインフラストラクチャー」の核となる製品です。Oracleのライセンス料金もシングルコアと同等に抑えることができ、コストメリットの高いシステムを提供できると考えています。

 2007年は、「内部統制」や「セキュリティ」に対する取り組みも本格化してきます。企業は、全社にわたるガバナンスが求められ、IT部門も答えを出していかなければなりません。

三澤 松本さんが指摘された3つのポイントは、われわれも考え方を共有しています。さらに付け加えるとすれば、2007年にはNGN(ネクスト・ジェネレーション・ネットワーク)の実験が始まり、これを生かすシステム提案が求められてくるとみています。

 また、カギを握る技術は、フロントエンドでは「Web2.0」(エンタープライズ2.0)、バックエンドでは「グリッド」です。2007年には、これらの技術を応用した現実的な提案が可能になるでしょう。どこで実行されてもよい業務処理は、シェアードサービスとして企業内あるいはグループ内で共有する、いわゆるアプリケーションのサービス化が一般化し、「SaaS」のビジネスモデルも確立されてくるでしょう。

松本 NGNやSaaSの動向も、これから数年にわたる取り組みになると思います。企業においても、いかに効率的に質の高いサービスを社内のユーザーに提供していくかが課題となるでしょう。

 HPでも合併を経て複雑化してしまったITの簡素化を進めるべく、世界29カ国85カ所のデータセンターを3カ所に集約しようと取り組んでいます。IT資源をプール化して、ニーズに応じて迅速に提供できるよう仮想化技術やグリッドの活用も進めています。

本格化する内部統制への対応やセキュリティ対策

ITmedia 内部統制は追い風になりそうですか。

日本オラクル株式会社 常務執行役員 システム製品統括本部長 三澤 智光氏

三澤 内部統制は、先ずはアプリケーションや情報に対するアクセス制御をきちんと行ったり、情報を暗号化する仕組みの構築が必要となり、その需要を喚起することになります。もちろん、その前提として、データベースやストレージにきちんと情報を格納していかなければなりません。

 こうした膨大な情報を高速で処理するには、これまで想像できなかったようなCPUパワーが必要とされてきます。ITベンダーとしては、顧客にローコストで価値のあるソリューションとして、必要とされるコンピューティングパワーを届けていくかが課題となるでしょう。

松本 われわれのIntegrityサーバは、HP-UXとOracleデータベースの組み合わせで、「産業競争力のための情報基盤強化税制」の対象として認定を受けています。昨年4月から始まった情報基盤強化税制は、高度な情報セキュリティが確保された情報システム投資を促進する投資減税ですが、最新のUNIXで認定を受けているのはHP-UXだけです。

 Integrityサーバ、HP-UX、そしてOracleデータベースと、スタックを組み合わせることによって、ほかのメリットを犠牲にするわけではありません。本来の目的に向けて、最適な組み合わせを採用すれば、税制上のメリットが得られるわけです。

三澤 個人情報保護法の施行や内部統制の機運の高まりもあって、セキュリティが重要だということを知らしめる意味では、時機を得た税制だと思います。HP-UXとOracleデータベースまで含めたシステムとして取得すれば、それを活用するアプリケーションに至るまで税額控除や特別償却の対象になります。顧客としては、使わない手はありません。

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提供:日本ヒューレット・パッカード株式会社
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2007年3月31日