「手軽に導入できるSAP」を中堅企業に届ける


 3年ほど前から、大手企業を中心にしたERPパッケージの需要はほぼ一巡して、次なる大きな市場は中堅・中小規模の企業にあるといわれている。とはいえ、SAPなどの製品は「もっぱら大規模企業向け。性能が良い分だけ高価で、中堅企業はなかなか手を出せない」という意見もよく耳にする。

 ところが最近では、大企業向けと思われていた統合ERPを導入し、成果を上げている中堅企業が増えてきている。ERPのトップベンダーであるSAPは、中堅企業向け市場をどのように把握し、解決策を届けているのか。売上高が50〜1000億円の企業への取り組みについて、SAPジャパンで中堅企業市場の営業担当責任者を務める神戸利文氏に話を聞いた。

全部を含めて1億円から

ro_kobe01.jpg SAPジャパン バイスプレジデント 営業統括本部 地域営業本部 神戸利文氏

ITmedia SAPは中堅の市場向けにどのように取り組んできましたか?

神戸 SAPは誕生して36年、日本法人を設立して16年が経過しました。当初は大企業のお客様が多く、導入に何年も掛かる例もありました。時間が掛かれば総費用が高くなります。結果的に中堅の企業が導入するには敷居が高いといったイメージが定着してしまったのです。

 SAPが30年以上ERPを提供してきた経験とノウハウは、中堅の企業でも十分に有効です。製品をそのまま使ってもらえるくらい完成度は高く、導入コストを抑えるノウハウもあるのですが、残念ながら多くの企業は「トータルコストが高くなる」というイメージをいまだに持っています。

 トータルコストの低減に向けて、パートナー企業と一緒にERP導入に掛かる費用の全体的な圧縮を進めました。その1つの成果が「SAP Business All-in-One」です。2007年6月には、これを従来から大幅に刷新し、ERPを一式(財務会計、管理会計、販売管理、購買管理、在庫管理、生産管理)導入するために必要なソフトウェアのライセンス、ハードウェア、導入サービスまですべてを含め1億円程度からという価格で提供しています。

強力ツールで費用を可視化

ITmedia その「SAP Business All-in-One」は従来のものとどこが違うのでしょうか?

神戸 「すべて込みで1億円です」と伝えても「低コストなのは最初だけで結局は高くつくのでは」という見方をする人もいます。そこで新たに用意したのが「実現機能確認シート」です。

 実現機能確認シートでは、各ソリューションの中に含まれる機能が一覧で確認できます。その一覧をチェックすれば、費用に含まれる機能が購入前に細かく分かります。足りないものを追加する場合に掛かる費用も明確です。

 口先だけで標準価格をうたっているのではなく、できることを事前に明らかにし、顧客とともに確認してから始められる。これが新しいSAP Business All-in-Oneの最大の利点です。

 現在はパートナー16社による21種類の業種別・業務別ソリューションが、新しいSAP Business All-in-Oneとして認定を受けています。2007年6月の発表後、パートナーとともに提供を開始したのが9月です。2007年の4カ月ほどの期間で数十件の引き合いがありました。このSAP Business All-in-Oneを提供できたことが、中堅の市場に向けた活動として最近の3年間で一番大きな成果だと考えています。

数々の具体的な導入効果

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ITmedia 中堅企業でSAPを導入した場合に、具体的にはどのような利点がありますか?

神戸 SAPではより多くの企業のニーズ、課題を理解する活動の一環として、2年ほど前におよそ1万社の経営企画部門担当者などを対象にテレマーケティングを実施しました。その際の聞き取り調査の結果、約20%の企業がSAPを知っており、そのほぼ100%が「SAPは高い」というイメージを持っていたのです。この調査結果から、SAPの導入に成功した中堅企業の事例を広く知ってもらう必要があるなと考えました。

 以来、セミナーで「SAPで本当に幸せになれるのか」というテーマで講演を行うことなどを通じて、SAP導入のメリット、あるいはリスクなどの活用事例を基に示してきました。

 こういった講演の中では、サプライチェーンマネジメントのコストの低下率、生産リードタイムを何日短縮できたかなどを、実際にSAPを導入した企業の事例を使って具体的に説明しています。他にも、在庫の圧縮、品切れ率の改善、納期回答のスピードと正確さの向上、会計では決算処理に掛かる期間の短縮化といった事例も多数あります。

 中堅の企業の多くは、費用だけでなく人的な資源も限られます。その状況でERP導入を成功させる方法などを過去の事例から伝えています。経営課題を解決するために、SAPを導入した企業の事例と効果の一覧をご提供しております。ぜひこちらをご覧ください

ITmedia 中堅企業で導入するERPの機能範囲に何か傾向はありますか?

神戸 中堅企業であっても、会計のみというケースは実はごく少数で、財務会計、管理会計と同時に、販売・在庫・購買を導入するケースが多く見られます。

 製造業では、コア業務である生産管理にはなかなか手をつけない傾向もありますが、業種に関係なく会計や販売といった複数の機能を導入する企業は確実に増えています。

ITmedia 中堅企業がERPを導入するようになった市場環境について、どう分析していますか?

神戸 システムの老朽化や昨今の内部統制強化への要求の高まりは、確かに導入のきっかけになっています。また、特に製造業ではグローバル化に積極的な企業がSAP製品を導入しています。製造業で売上高100〜200億円規模の企業でも、成長しているところは積極的にグローバル展開しています。そういった企業はSAPを選択してくれることが多いと感じています。

 「見える化」「コストの低減」「業務の標準化」といった正統派の要求がSAP導入の主な要因になっていますが、最後に顧客の背中を押すのは内部統制強化の要請などの外部環境による圧力かもしれません。

 原油高や鉄鉱高といった原料の高騰も、SAPの製品導入のきっかけになると考えています。コスト高は利益を圧迫するのでシステム投資を抑制しますが、逆に、だからこそ、常に自分たちのコストを正確に早く把握し、コントロールすべきという要求が、検討を進める企業も少なくありません。

ITmedia BI(ビジネスインテリジェンス)関連の強化という意味では、SAPは2007年10月にBusiness Objectsの買収を発表しました。これは中堅企業向けの取り組みに影響を及ぼしますか?

神戸 特に経営、マネジメントの立場の方が、より分かりやすく情報を見たいというニーズは広く存在しています。そういった企業には、Business Objectsの製品群は大きな価値をもたらすでしょう。

ITmedia 中堅企業におけるSAP製品の優位性を改めて教えてください。

神戸 何よりも全体の機能が統合されている点です。データの一元管理を含め、本当の意味で統合されていて、「見える化」できるのはSAPだけだと考えています。

 もう1つ、特に中堅企業にとっての導入メリットはコストです。目先の話だけでなく、保守も含めた長期的な費用を考慮すると、SAPは実は安価といえます。

 SAP Business All-in-Oneは従来の ERP 導入では実現し得なかった安価な導入コストを実現しています。

 SAP Business All-in-Oneの実現機能確認シートも他社製品にはない優位性です。事前に提示した費用の範囲で、できることとできないことがはっきり分かるということは、顧客にとってはもちろん、導入作業を担うSAPのパートナー企業にとっても大きな利点です。

 もし今「SAPは高い」と思っていても、まずは実現機能確認シートを使って費用をチェックしていただきたいと思います。3日間くらいのインタビューで見積もり、実現したい機能が予算内で収まるかを見極めることができます。

 競合製品では、製品機能のフィット・ギャップ分析だけでも有償になるケースがあります。プロジェクトを始める前に実現できることとコストの詳細が明確化される点が、もしかすると一番の優位性かもしれません。



提供:SAPジャパン株式会社
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2008年7月31日