コストダウンも、グリーン化も:事例で実感――仮想化によるサーバの統合効果

6月20日、伊藤忠テクノソリューションズとサン・マイクロシステムズ共催のセミナー「Solarisで解決! 検証結果からみる仮想化&統合化のポイント」が行われ、仮想化技術の利活用で生み出される価値が紹介された。


ネットワーク社会の発展に寄与する基盤

Sun 営業戦略推進統括本部 主幹部長 関谷宏氏 Sun 営業戦略推進統括本部 主幹部長
関谷宏氏

 「今やITネットワークは社会全体のインフラとして機能することを求められている」とサン・マイクロシステムズ(以下、Sun) 営業戦略推進統括本部 関谷宏氏は話す。しかしネットワークサービスが急速に拡大すると、扱われる情報が爆発的に増加する。それにともない、電力の消費量も急速に増えてしまう。「2025年には国内のIT機器による消費電力量が2006年の5倍に達するという経済産業省の試算もある」(関谷氏)。問題は電力だけではない。ネットワーク上の情報量が増えるということは、それだけセキュリティリスクが高まるということでもある。

 これらの課題を解決しつつ安心、安全なネットワーク社会を実現するためIT基盤には何が求められるのか。関谷氏は「サービス品質という軸と、エコ(エコノミー+エコロジー)という軸だ」と話す。サービス品質には、セキュリティをはじめ、可用性、信頼性、パフォーマンスといった要素がある。エコは、省電力/省スペースなど環境への配慮から、低コスト、TCO削減といった経済性の要素がある。

 サービス品質の向上とエコ化を実現し、ユーザーに対するサービス価値を向上するため、「Sunは様々なイノベーションを続けてきた」と関谷氏は話す。では具体的に、どのようなイノベーションが重ねられてきたのだろうか。

目的に応じて使い分けられる多彩な仮想化技術

Sun プロダクト・ストラテジック・マーケティング本部 堀口健氏 Sun プロダクト・ストラテジック・マーケティング本部
堀口健氏

 Sunは複数の仮想化技術を製品やソリューションに投入している。サーバに関していえば、ハードウェアパーティショニングやバーチャルマシン(VM)、そしてOS内での仮想化、リソースマネジメントなどだ。

 Sun プロダクト・ストラテジック・マーケティング本部 堀口健氏は、これらの仮想化技術は特性に応じて使い分けられるべきものだと話す。

 「システム要件は、処理するデータの数や粒度によって変わってくる。ハードウェアはもちろん、仮想化技術についても、それぞれの要件に適したものを選ぶ必要がある」(堀口氏)

マルチスレッド処理と仮想化でサーバ統合が容易に

 仮想化がどれだけ役に立つのか、それは従来型のサーバと比較すれば分かってくる。伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)ITエンジニアリング室 プラットフォーム推進部 小野友和氏は、Sunと共同で実施した検証の結果を報告した。この検証には、Apache Webサーバ、Oracle DBサーバ、そして演算能力ベンチマークが用いられている。

 まずApacheでは、比較対象となった旧モデルのSun Fire V240に対し、同T2000で5〜6倍、同T5220は10〜12倍というパフォーマンスが確認された。UltraSPARC IIIiプロセッサの2CPU構成となっているV240に対し、T5220に搭載されたUltraSPARC T2プロセッサは1コアで同等以上という。

CTC ITエンジニアリング室 プラットフォーム推進部 小野友和氏 CTC ITエンジニアリング室 プラットフォーム推進部
小野友和氏

 「Solarisコンテナによって割り当てるコア数を変えていくと、それに比例してパフォーマンスが上がることも確認できた。マルチコアCPUでは、利用するコア数に応じてリニアにスループットが伸びないものもあるが、Tシリーズは問題ないと言える」(小野氏)

 DBサーバでは、オンライントランザクション(OLTP)とバッチのそれぞれで検証が行われた。OLTPにおいては、Webサーバと同様にTシリーズの高いスループットが確認できたという。

 「T2プロセッサは、ここでも1コアでSPARC IIIiプロセッサの2CPUに匹敵するパフォーマンスを発揮した。T5220を用いてサーバ統合を行う場合、V240からの移行なら1コア分、SPARC IIIiプロセッサ4CPUのSun Fire V440からの移行なら2コア分で十分という目安。統合前のサーバがCPU利用率の低いものであれば、さらに多くのサーバを統合できる」(小野氏)

 また小野氏は、「仮想化技術を用いたサーバ統合のような用途においては、演算能力よりスループットが重要。その意味では、Tシリーズは仮想化に適したサーバと言える。CTCが関わった多くのケースでも、やはり既存サーバの統合が多い」と語り、実際のサーバ統合のケーススタディを紹介した。

 まず、統合元サーバのスペックもリソース利用率も低い小規模サーバを統合する場合では、リソースに余裕があるので多くのサーバを集約できる。Solarisゾーン機能を用いてリソース割り当ても行わずに統合するケースが多いとこのとだ。

 統合元サーバが小〜中規模になってくると、SolarisコンテナやLDoms(ロジカルドメイン)機能によってリソースを割り当てて統合することが一般的になってくる。「通常、統合元でのリソース利用率をあまり考慮せず、ほぼ同程度のリソースを確保している。コア数でライセンス費用が変わるソフトウェアを使っている場合にも、こうしたリソース割り当ては必須」(小野氏)

 また、ユニークな例としては、テスト用サーバの統合が挙げられる。例えば複数システムのテスト環境を1台のサーバに統合する際、LDomsによってそれぞれの本番サーバと同様の環境を作って対応させるケースがあるという。日常は使われない災害対策用のサーバに、SolarisゾーンやSolarisコンテナでテスト環境を統合する例もある。これで、テスト用、災害対策用のOS環境を同一にできるというわけだ。当然、それらの環境を本番環境に揃えるための作業負担も軽くなる。

コスト削減や省電力化、管理負担軽減などのメリットが得られる

 Sun システムズ・ビジネス推進本部 籾井啓輔氏は、同社ソリューションを用いたサーバ仮想化・統合の実例を紹介した。

 携帯電話向けサービスを提供しているシーエー・モバイルでは、以前はIAサーバを利用していた。同じモデルのサーバに標準環境のイメージをコピーしていく方法で、急成長するビジネスに合わせてサーバを大量に導入したという。しかし、そのモデルが製造中止となり、これまでの手法が使えなくなってしまった。また、3カ月にサーバ100台(ラック約3本)という急激なサーバ増設は電気代など運用コストも増えるばかりだったという。

 そこで同社は、システム基盤をSolarisに移行した。サーバはSun Fire T1000を中心としている。検証したところ、T1000は従来のサーバに対しトータルのパフォーマンスで2倍に、サーバ台数は半減することができた。また、サーバあたりの消費電力も4分の3と省エネ化が進んだ。さらに、システム管理もリモートでできるようになった。

Sun システムズ・ビジネス推進本部 籾井啓輔氏 Sun システムズ・ビジネス推進本部
籾井啓輔氏

 「ランニングコストは年間で20から30%削減できると見込まれており、シーエー・モバイルでは9カ月ほどで投資対効果が出ると計算している」(籾井氏)

 Sun自身も、ユーザーとしてサーバ仮想化で大きな成果を上げたという。サンタクララのデータセンターでは、2段階での効率化を行っており、まずフェーズ1でハードウェアの統合を行った。

 ハードウェアを統合しただけでも、およそ半分のサーバで計算能力は450%以上の向上となった。ストレージも約3分の1で容量は240%以上増加、エネルギーコストは60%以上削減し、データセンターの面積も88%削減など、驚くべき数字が並ぶ。

 「ただ統合しただけのフェーズ1でも、非常に大きな効果が得られた。さらにフェーズ2では、冷却や配線などの最新技術を投入したデータセンターへの移設により、エネルギー効率を最大化している」(籾井氏)

 仮想マシンより柔軟性が高くオーバーヘッドも少ないSolarisコンテナで、過去のアプリケーション資産を使える仕組みは、仮想化に際しても大いに役立つ。このコンテナを利用することでSolaris 8やSolaris 9用のアプリケーションをSolaris 10環境に移行することが可能だ。

 リコーは、販売支援システムの更新に際して仮想化を取り入れた。もともと2000年代の初頭に作られたシステムで、サーバのリース期限が近くなってきたため、その1年以上前から更新プロジェクトを立ち上げていた。

 「運用コスト削減を重視して、DBサーバはMシリーズのハードウェアパーティショニング機能で統合、WebやアプリケーションサーバはSolarisコンテナを用いてTシリーズに集約した。数十台あったサーバは合計7台に。DBサーバのスタンバイ用ドメインの中では開発用コンテナも稼働させるなど、ハイエンドサーバならではの豊富なリソースを徹底的に活用している」(籾井氏)

 SunやCTCは、これまでにも数多くのシステムで仮想化を行ってきた。現在では、そうして蓄積してきた構築ノウハウを生かし、システム・アセスメント・サービスを無償で展開するという。

 「ヒアリングシートやインタビューを通じて得た情報をもとに、最新サーバに移行すると費用や消費電力、CO2排出量。専有床面積などがどのくらい変化するのか、2週間ほどでレポートする。サーバ統合を検討しているユーザーは、このサービスを通じてわれわれの最新プラットフォームのメリットを実感できるだろう」(籾井氏)



提供:サン・マイクロシステムズ株式会社
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2008年8月10日