時代のニーズに応える仮想デスクトップというアプローチ

クライアントPCを、データセンター内のサーバ上の仮想マシンとしてホスティングするVDIのソリューションは、エンドユーザー、運用管理者、経営者のいずれに対してもメリットを与える優れたシンクライアントソリューションである。本稿では、今、VDIソリューションを選択する意義について考える。

» 2008年10月22日 10時00分 公開
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 今日の企業はさまざまな問題に対処していくことが求められている。 情報漏えい防止をはじめとするセキュリティ対策やコンプライアンスの準拠、企業活動を左右する業務効率の改善、さらには在宅勤務などの新しいワークスタイルへの対応と数え上げればきりがないが、従来の企業システムを拡張して対応するだけでは立ちゆかない問題も多い。

 既存の企業システムを新しい時代に対応させる移行パスの1つとして現在再び注目を集めているのが、シンクライアント、それもVDI(Virtual Desktop Infrastructure:仮想デスクトップインフラ)と呼ばれるソリューションである。「エンドユーザーが普段使っているクライアントPCを、データセンター内のサーバ上の仮想マシンとしてホスティングする」のがVDI。各社によって実装はさまざまだが、デスクトップ環境を個々のサーバやクライアントPCの制約から分離させ、環境に関係なく実行可能にするという目的は同じである。デスクトップの仮想化と言い換えてもよいだろう。

ヴイエムウェア システムズマネジメント ソリューションスペシャリスト 橋本洋氏

 現在、VDIソリューションで最も支持を集めているのは、VMwareが提供するデスクトップ統合ソリューション「VMware Virtual Desktop Infrastructure」(VMware VDI)。VMware VDIは、同社の主要な仮想化プラットフォームを基盤としたもので、サーバやストレージ、ネットワークを仮想化する「VMware Infrastructure 3」(VI3)、それを管理する「VMware VirtualCenter」、コネクションブローカー「VMware Virtual Desktop Manager」(VDM)といったコンポーネントを中心に、Microsoft Active DirectoryやクライアントPCなどと合わせたソリューションとして提供される。本稿では、ヴイエムウェアでシステムズマネジメントソリューションスペシャリストの橋本洋氏の言葉を借りつつ、エンドユーザー、運用管理者、経営者の3者にとってメリットの大きいVDIソリューションについて紹介する。

VMware Virtual Desktop Infrastructureを構成するコンポーネント

エンドユーザーの視点から見たVMware VDI

 エンドユーザーがシンクライアントの導入を敬遠する理由は多々挙げることができるが、根源的な敬遠の理由としては、使い慣れたPCが取り上げられ、画一的なデスクトップ環境を強制的に押しつけられるのではないかという嫌悪感が存在するためといえる。

 シンクライアントには、VDIの登場以前にサーバベースコンピューティング(SBC)と呼ばれる方式も存在していた。SBCでは単一のOSイメージで複数のユーザーセッションをホスティングするため、アプリケーションの稼働検証が必須であり、検証してみると稼働しないアプリケーションも多く、エンドユーザーにとってなじみがあるPC環境をそのまま提供できるとはいえなかった。このことがシンクライアントソリューションは定型業務に従事するタスクワーカー向けのポイントソリューションであると誤解させる要因となっていた。

 橋本氏は「エンドユーザーにとってVDIは、これまでと変わらない使い慣れた環境をセキュアに提供するというもの。従業員が必要としているものを企業が提供するというだけ。在宅勤務であっても出張先であってもいつもと同じデスクトップ環境を利用でき、セキュリティで気をもむこともない。VMware VDIの導入は、エンドユーザーの利便性を損なうことと同義ではない」と話す。

 また、VDIは、タスクワーカーだけでなくいわゆるパワーユーザーであるナレッジワーカーのニーズを満たす柔軟性を備える。リソースプールを適切に割り当てるよう設定すれば、ブレードPCのような使い方も可能で、パワーユーザーにとっても十分に満足のゆく環境を提供できることになる。また、企業ではファイルサーバに置かれたファイルを開いて作業、といったケースが多いが、ファイルサーバやSANと仮想マシンが稼働するサーバは多くの場合ファイバチャネルのような高速なインタフェースで接続される。この場合、ローカルデスクトップからアクセスする場合に比べて、より快適なファイル操作が行えることになる。

 管理面でも、パッチを当てるよう情報システム部門から指示があったにもかかわらず、それを怠って注意を受けるといったこともなくなる。さらには誤って削除したファイルもデスクトップ環境のスナップショットから復元といったことも可能となる。

運用管理者の視点から見たVMware VDI

 エンドユーザー以上にVMware VDIの導入でメリットが大きいのがシステムの運用管理を行う情報システム部門である。情報システム部門がVMware VDIを求める目的、それはデスクトップ管理にある。エンドユーザーの利便性を維持しつつ、セキュリティの向上や運用管理の効率化、コスト削減という相反する課題を突きつけられている情報システム部門だが、IT投資の大半をシステムのメンテナンスに費やしながら何とかシステムを運用しているのが現実だ。全国に支店などを有していたり、オフショアなどで開発を海外に委託していたり、さらには在宅勤務のような新たなワークスタイルが登場する中で、彼らは分散しているコンピューティング環境を一元管理したいという思いが強い。特に、在宅勤務のように企業の管理外の資産であるPCをどう管理すべきなのか頭を悩ませている。

 デスクトップ環境とアプリケーションをデータセンター側で管理および標準化できるのがVDIの利点だが、すでに多くの企業で用いられている仮想サーバの運用ノウハウの延長線上でデスクトップ環境の運用管理を行うことができる意義は大きい。従来のようにユーザー部門に影響されず、インストール、アップグレード、パッチ、バックアップといった作業を実施できるだけでなく、仮想マシンをテンプレートから短時間で大量に生成/デプロイしたり、ユーザーのニーズに合わせた柔軟にリソースプロビジョニングを行ったりといったことが容易に行えるため、大規模な企業であればあるほど相対的に運用管理コストを下げることが期待できる。

仮想デスクトップへの接続権限は、Active Directoryベースでユーザーまたはグループ単位で付与される。1人のユーザーが複数の仮想デスクトップを同時に利用する、といった用途にも容易に応える

 VMware VDIのコンポーネントのうち、コネクションブローカーであるVDMは仮想プラットフォームであるVI3との綿密な連携により、クライアントからの接続要求に対して、利用可能な仮想マシンに接続の割り当てを動的に行うほか、仮想マシンのプロビジョニングを必要に応じて自動的に行う。またMicrosoftのActive Directoryと連携しながら、デスクトップ環境のデプロイ方法などを決定するVDMはVMware VDIの重要なコンポーネントといえる。

経営層の視点から見たVMware VDI――求められる2つのキーワード

 エンドユーザー、運用管理者ともにVMware VDIの導入は、ユーザビリティを損なうことなく新たな時代に対応したシステムとなり得ることはこれまで述べてきたとおりだが、では、経営層の視点ではどうだろうか。

 経営層の観点からすれば、IT投資が最大限に活用されるかどうかが1つのポイントとなる。運用管理者の視点で解説したように、これまでIT投資の多くはシステムのメンテナンスに費やされていたことを考えると、それらを改善するという点で大きな意義があるが、それが近視眼的な施策ではないかを経営者は常に考える必要がある。

ここまで、VDIの導入によるメリットを解説してきたが、コストについて触れていないことに気がついた方も多いだろう。VDI導入の阻害要因があるとすれば、それはコストに対する誤解である。実際のところ、VMware VDIを導入しようとした場合、初期投資が掛かることは事実である。最小構成のソフトウェアは15万円程度が、そこにハードウェアなどの刷新も合わせればそれなりの初期投資となる。

 「コスト削減だけを目的にデスクトップの仮想化は行うべきではない」と橋本氏は指摘し、VMware VDIの導入について、コストの比較対象が何なのかという点と、変化する時代に合わせた移行パスをどうとらえているのかをあらためて考えるべきであると話す。

 「VMware VDIの導入はコストが掛かる」といった際に、その比較対象が通常のクライアントPCのリプレイスであってはそもそも本質を見誤っている。セキュリティ面や運用面といった管理上のメリット、さらに既存の情報システム部門がユーザー部門――大企業であれば支店などにも――配置していたサポート要員といった“可視化されていない運用コスト”まで含めて考えるべきであるし、そうした場合、短期的には割高に見えるVMware VDIの導入は一概にコストが掛かるとはいえないことが明らかとなってくる。

 また、サーバ統合のようにコスト削減効果が既存のシステム環境と簡単に比較できるものと比べ、VDIはマクロな思考、言い換えれば中長期的な視点が求められる。在宅勤務やモバイル環境などのようにワークスタイルが変化し、かつてのように一律的な環境を用意するだけでは対応できなくなっている中で、企業として次の時代のシステムはどうあるべきかグランドデザインを策定していくことが求められている。

 コストの本質を見抜く力と中長期的な視点、この2つが今後シンクライアントを考える上で欠かせないキーワードとなるだろう。橋本氏はまだシンクライアントを検討の俎上(そじょう)に挙げていない企業にこうアドバイスを贈る。

 「デスクトップの仮想化は単にPCの置き換えではありません。真の価値は、従業員への柔軟なビジネス環境の提供や運用管理工数の削減などにあります。仮想化された環境は、セキュリティ、情報漏えい対策にも貢献するのはいうまでもありません。現在の社会環境の中、3〜5年後を考えたときに現在の環境がベストなのかどうかを自問自答するところからはじめてみてほしい。そして、既に使っているお客様の声をきいてほしい。少しでも心に響けばVMware VDIの検討に値するはずです。導入コストが掛かるからといって先延ばしするのではなく、まずは相談してもらいたいですね。」(橋本氏)

VMware VDIの強みは「本番環境での実績」

 数あるVDIソリューションの中でなぜVMware VDIが支持されているのか。橋本氏は「仮想マシンがどういったインフラ上で稼働しているかがポイント」と支持される理由を明かす。VDIではデータセンター側にリソースを仮想化して集約するため、高い可用性を持ち安定して稼働する仮想化基盤が必須となる。可用性を高める機能を備え、本番環境で数多の実績を持つソリューションを持つベンダーを探せば、おのずと選択肢が限られてくるというわけだ。また、メモリオーバーコミット機能のように、物理サーバのリソースを有効に活用できる機能を他社に先んじて提供している点も支持の理由として挙げられる。

 セキュリティやコンプライアンスの意識が高い業界ではシンクライアントソリューションがすでに続々と採用されており、一般的な企業にもそうした波が押し寄せてきている。VMware VDIは、従来のローカルデスクトップやSBCが抱える課題の一部を解決し、時代のニーズにも応える魅力的な移行パスの選択肢として検討すべき段階に入ったといえよう。

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提供:ヴイエムウェア株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2008年11月21日