今、企業が取り組むべき「攻め」の投資とは?:データウェアハウスの伝道師、ラルフ・キンボール博士が次の一手を説く

企業がコスト削減に取り組む中、重要な資産であるデータの可視化や統合に対するIT投資は、企業戦略の「攻め」と「守り」のどちらにも求められている。マスター・データ・マネジメントの実現やデータウェアハウスの構築は、自らの弱みを克服し、競合との差別化を図るには欠かせない「攻め」の投資だ。データウェアハウスの伝道師、キンボール博士が企業の取るべき次の一手を説く。


tu_im0427_01.jpg インフォマティカ・ジャパン内田雅彦社長。同社は5月下旬、DWHの伝道師、キンボール博士のセミナーを都内で開催する

 「企業がコスト削減に取り組む中、情報システム部門も例外ではなく、開発、運用、保守の全てにおいて見直しが求められています。ただ、開発に掛かる費用は新規案件を見合わせれば、支出を抑制できるでしょう。しかし、運用費用や保守費用は継続するものであり削減することはできません」── インフォマティカジャパンの内田雅彦社長は、経済環境が厳しい中、企業の情報システムが取り組むコスト削減が一筋縄ではいかない背景を話す。

 データ統合分野のマーケットリーダーであるインフォマティカは、企業内に散在するさまざまなデータを連携・統合する「PowerCenter」や、あらゆるタイプのデータベースにアクセスし、データを抽出することを可能にした「PowerExchange」、データ品質を高める「Data Quality」などの製品やサービスの提供を通じて、ユーザー企業のデータ資産の有効活用を通して意思決定支援に貢献している。

 情報活用の観点からデータに注目すると、さまざまな基幹システムや業務パッケージを活用する企業では、それだけデータがばらばらに蓄積されていることになる。元データがどこにあるのか、どのように連携しているのかを正確に把握することは難しく、効果的な活用がなされてないケースが多い。つぎはぎだらけの機能拡張やメンテナンスの繰り返しが、この混沌とした状態にさらに拍車を掛けたとも考えられる。これでは、運用や保守に掛かるコストを抑制すべく既存システムを見直そうにも、手を付けるべきところが分からない。

 好況が持続していたかに見えた1年ほど前までは、日本の顧客企業も「攻め」の投資の一環として、企業にとって重要な資産であるデータの可視化に取り組んでいた。内田氏によると、2008年の上半期までは、SOA対応などの戦略的な取り組みとしてインフォマティカのデータ統合ソリューションに投資するケースが多かったという。

 それが一転して経済状況が悪化した今では、企業買収、合併や事業統合に伴うシステム/データの統合や、コスト削減を目的としたレガシーシステムの置き換えに伴うデータ移行、といった「守り」の投資にも効果として現われているようだ。

 「グローバリゼーションや企業合併、およびビジネスプロセスアウトソーシングが加速している上に、さまざまな法規制への迅速な対応が経営課題になっている今、企業ではあらゆるデータを可視化する体制の確立が求められている」と内田氏は話す。

究極のデータ統合ソリューション「MDM」

 ただ、急激な経済環境の変化を受けても、戦略的な取り組みが引き続き求められることに変わりはない。今、企業が取り組むべき「攻め」の投資として内田氏が考えるのが、「MDM」(マスター・データ・マネジメント)だ。

 企業では、顧客マスター、従業員マスター、仕入先マスター、商品マスター、などの各種マスターデータが、異なる部門の複数のシステムで管理されていることが多い。ところが、これらのマスターデータに不整合がある場合、データメンテナンスや正しいデータの識別に多大な時間とコストを要する。当然、マスターデータの品質が落ちれば、CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)やSCM(サプライ・チェーン・マネジメント)の効果も期待どおりにいかない。結果、ビジネスの実態を正確に把握できず、業務効率やサービス品質の低下を招いてしまうことになる。

 例えば、この不況の打撃を受けた最も顕著な業界である自動車産業では、メーカーとサプライヤー群との間ではジャスト・イン・タイム方式で余剰在庫を滞留させないよう管理をしている。

 しかし、今回のような世界市場の急激な縮小局面では、海外主力市場の独立系ディーラーなどで大量に積みあがった在庫を、リアルタイムに可視化できなかったため、末端のサプライヤーにまで非常ブレーキをかけるのに相当な時間を要してしまった。

 これは、ディマンドチェーンとサプライチェーンの間で、データが分断されていたことが原因であろう。裏返せば、企業が顧客やサプライヤー、生産、売上、および在庫などのマスターデータを一元的に管理して、全ての次元においてデータを統合できる基盤を構築し、その下でDWHを使ってリアルタイムな状況分析を行い、必要なときには瞬時に警報を発する仕組みがあれば、さまざまなリスク要因を回避できるということだ。

 企業にとって究極のデータ統合ソリューションと表現してもいいMDMは、リアルタイムで高性能なデータ統合機能を必要とすることから、その普及はインフォマティカのビジネスも後押しすることと考えられる。

 「MDMは“守り”と考えられてきたかもしれないが、DWHと組み合わせることによって明らかに“攻め”の戦略に進化している」と内田氏は語る。

データを次のビジネス戦略立案に生かすDWH

 MDMを実現することで、企業は唯一の正しいデータに基づいてビジネスの実態を正確に把握できる。このMDMが支える正しいデータを、迅速な情勢判断と次のビジネス戦略立案に活用するには、エンタープライズレベルで必要とされるたくさんの次元を扱うことができ、かつリアルタイムでの大量データ分析に耐えられる、性能の高いDWHが必要となる。この、大量で複雑なデータと高速な分析という二律背反の実現は、DWHの設計に大きく依存することになる。

また、最新の事例では、MDMの整備と同時に、それにより整理されたデータをもとにエンタープライズ・レベルでのDWHを再構築する企業が増えている。データ統合の観点から見れば、どちらも企業内データの存在を可視化し、必要に応じた更新頻度と流れに最適化するという取り組みであり、グランドデザインの段階から一貫した設計をすることが効率的であるといえる。

 米国では、企業がデータを扱うためのポリシーを策定し、常にモニタリングしてデータを定期的に改善するデータスチュワードをはじめ、データアーキテクト、データアナリストなど、データを扱うための職能が細分化されている。日本企業では信頼できるシステムインテグレーターに任せたいところだが、この領域の専門家は限られているのが実情だろう。

 インフォマティカは、DWHを活用したデータ統合の啓蒙にも取り組んでおり、データウェアハウスにおけるスタースキーマの発案者でもあり、多次元データウェアハウスの提唱者であるラルフ・キンボール博士の講演会を世界各地で開催している。

DWHの伝道師がデータモデルの重要性を説く

tu_im0427_02.jpg 「DWHの伝道師」として知られる
ラルフ・キンボール博士

 キンボール博士は、自身のベストセラーである「データウェアハウス・ツールキット ─ 多次元データウェアハウス構築の実践手法 ─」(The Data Warehouse Toolkit - The Complete Guide to Dimensional Modeling -)の中でディメンジョナル(多次元)データウェアハウスの概念を提唱し、DWHの草分け、Red Brick Systemsを創業したことで知られている。「意思決定のためのデータ倉庫」の必要性を唱えたビル・インモン氏が「DWHの父」と呼ばれているのに対し、キンボール博士は「DWHの伝道師」として知られている。

 ゼロックスにおいて、マウスとアイコンで操作する「Starワークステーション」を発明した技術者としても有名で、スタンフォード大学より電子工学(マン・マシン・インタフェース)の博士号を授与されている。

 北米では、2002年からキンボール博士を招いた講演会が開催されており、これまで約1万2000人を動員した実績がある。最近では、経済環境の悪化を受け、内容にも「コスト削減」というビジネスの視点が盛り込まれているという。企業がDWHを構築するのは、決して今の時代を生き残るためだけではない。自らの弱みを克服し、競合との差別化を図りたい、というビジネスニーズがあるはずだ。DWHに格納するデータは各企業のビジネスニーズに紐付いているため、設計すべきデータモデルに決まった解はない。しかも、掛けられるコストによってモデルも変わってくる。5月下旬に東京で予定されている講演会は、データベース設計の専門家だけでなく、不況下において限られた予算を戦略的な取り組みに使いたい日本の企業ユーザーも対象としている。


Informatica Japan Private Forum
ラルフ・キンボール博士 特別セミナー
日時 ・5月20日(水)10:00
・5月21日(木)10:00
会場 東京ミッドタウン カンファレンス4F ルーム1〜4
入場料 無料(事前登録制)
定員 各日 130名(定員になり次第、お申込受付を締め切らせていただきます)
概要 ・ ラルフキンボール博士:基調講演
 Building the Enterprise Data Warehouse: The Platform for Business Intelligence
 〜意思決定を支援するビジネスインテリジェンス成功のためのプラットフォーム〜
・ インフォマティカ講演
 ITプロジェクト成功の秘訣:DWH構築に不可欠なデータ統合基盤
・ パートナーセッション(5/20):三菱電機インフォメーション テクノロジー
 最新ユーザ様事例に見る、データ中心時代におけるPowerCenter の活用法
・ パートナーセッション(5/21):NEC
 拘束されたいですか?それとも高速化したいですか?:ETLチューニングと高速化ソリューション
・ ラルフキンボール博士:ワークショップ
 多次元データウェアハウス構築ワークショップ



提供:インフォマティカ・ジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2009年5月14日

イベント情報

テーマ Informatica Japan Private Forum
ラルフ・キンボール博士 特別セミナー
日時 ・ 2009年5月20日(水) 10:00
・ 2009年5月21日(木) 10:00
会場 東京ミッドタウン
カンファレンス4F ルーム1〜4
入場料 無料(事前登録制)
定員 各日 130名(定員になり次第、お申込受付を締め切らせていただきます)