企業データの断片化に手応えInformatica World 2008 Report

クラウドコンピューティングへとプラットフォームが変化しつつある中で、米InformaticaのCMO、クリス・ボーマン氏は「どんなときもデータの重要性は変わらない」と話す。

» 2008年06月06日 00時20分 公開
[聞き手:怒賀新也,ITmedia]

 データ統合ソフトウェア大手の米Informaticaは6月3日から3日間、10回目の年次カンファレンス「Informatica World 2008」を米ラスベガスのヒルトンホテルで開催している。メインフレームからクライアントサーバ、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)を含めたクラウドコンピューティングへとプラットフォームが変化しつつある中で、CMO(最高マーケティング責任者)のクリス・ボーマン氏は「どんなときもデータの重要性は変わらない」と話す。

ソフトウェア業界の再編の動きが激しいが、Informaticaは「中立性を保っていることが強み」と話すボーマン氏

ITmedia 基調講演では企業にとってのデータの重要性を強調していました。

ボーマン ビジネスの国際化により、企業のIT環境は複雑化しています。データベース、アプリケーション、電子メールなど国内外のさまざまな場所にデータが断片化しているのです。これを一元的に管理するのは難しいことです。Informaticaはそうしたデータをクレンジングして高い品質を保ちながら統合するプラットフォームを提供します。企業がビジネス上の意思決定をする上で、データが何よりも必要なのです。

 企業同士の合併が増えていることもデータの重要性を高めています。2社を1社に統合する場合、財務データ、顧客データなどを1つにまとめるのは大切な作業です。

ITmedia SaaSによるアプリケーション利用を含むクラウドコンピューティングが盛んになってきました。

ボーマン 昔はデータは常に企業のファイアウォールの内側にありました。現在、salesforce.comをはじめとしたSaaS業者などがサービスを提供するクラウドコンピューティングでは、データがその外側に置かれます。しかし、データを外に出すのは良いのですが、そこには必ずデータを統合する必要が出てきます。財務アプリケーションと顧客アプリケーションのデータを統合しなければ、財務リポートも書けません。しかし、SaaS業者はデータ統合にあまり投資をしていないのが実情です。Informaticaはそこで、データ統合サービスをインターネット経由で提供し始めたのです。

ITmedia Informatica World 08では、新製品として「Informatica8.6」をリリースしました。

ボーマン Informatica8.6は、データ統合製品「PowerCenter」や「PowerExchange」、データ品質を高める「Data Quality」、SaaS型のデータローダー「Informatica On Demand」などを含めたスイート製品です。

 クラウドコンピューティングやリアルタイムデータ統合に加えて、データ品質を保つData Qualityが特徴的な機能です。

 データ品質といえば、Identity Systemという会社を買収することで合意しています。ID情報を検索、照合し、個人情報や組織の機密情報を検索する際に利用するソフトウェアを提供しています。基調講演のデモで紹介したように、例えばビル・ゲイツという人について、英語、ロシア語、中国語、日本語などでデータが流入してきても、それが同一人物であることを特定できてしまいます。信じられない機能だと考えています。グローバル展開している企業や、複数の名前を持ちネット銀行などで犯罪を起こす悪意のある人物を特定する際などにも役立ちます。

ITmedia Informaticaは今後どのような取り組みを考えていますか。

ボーマン 米国だけでなく、欧州、日本を含めたアジア地域でのビジネス拡大を図ります。日本、中国、韓国、インドなどに拠点をおいており、パートナー企業も増やしています。ビジネスの国際化により、米国外の重要性を認識しています。

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