なぜ日本のITエンジニアは優遇されない? 「世界給与ランキング」から見えた課題

ヒューマンリソシアの調査から、日本のITエンジニア年収は米国の3分の1以下で、世界31位に沈む実態が明らかになった。調査から見えた、日本のIT給与が抱える課題とは。

» 2026年02月06日 07時00分 公開
[ITmedia エンタープライズ編集部]

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 ヒューマンリソシアは2026年2月3日、世界のITエンジニア給与動向をまとめた調査結果「2025年度版:データで見る世界のITエンジニアレポートvol.18」を発表した。対象は世界70カ国で、各国のソフトウェアエンジニアの年収をUSドルベースで比較、分析している。

 調査結果からは、国内の給与水準が上向きつつある一方で、他国に比べるとIT職種の優位性が低いという課題が浮き彫りとなった。

国内では上昇も国際的には劣勢 日本のIT給与が抱える課題

 調査によると、給与水準の上位は前回と同じ顔ぶれとなり、1位はスイス、2位は米国、3位はデンマークだった。上位10カ国の大半を欧州諸国が占め、G7ではドイツが5位に入った。日本は70カ国中31位で前回から順位は変わらず、平均年収は2万9813ドルだった。米国と比べると3分の1以下の水準で、主要国の中でも低さが際立つ結果となった。

世界のITエンジニア給与ランキング(出典:ヒューマンリソシアのプレスリリース)

 前年との比較においては、調査対象国の7割超で給与が増加した。増加率1位はパナマで39.6%増、2位はルーマニアで29.6%増、3位はロシアで18.2%増だった。中南米や東欧から複数国が上位に入り、インドもトップ10に入った。これにはオフショア開発やAI関連拠点のシフトといった影響も考えられている。日本は前年比5.3%増で、比較可能な60カ国中16位だった。G7ではイタリア、英国、ドイツ、フランス、米国、日本の6カ国が増加し、カナダと中国は減少した。

 為替の影響を除くため、現地通貨ベースでの5年間(2021〜2025年)の増減率も比較したところ、日本は14.3%増だった。米国やドイツなどを上回る伸びで、国内では給与水準が上向いている様子もうかがえる。インドは5年間で4割超の増加と大きな伸びを示した。

 IT分野の給与優位性についても分析した。全産業平均と比較した情報通信業の給与割合は、日本が128.9%で、約3割高い水準にとどまった。これに対し、米国は182.5%、英国154.0%、ドイツ146.7%と、他の産業との格差がより大きい。インドは220.3%、中国は189.9%で、IT関連職種が他の分野より高く評価されている構図が見える。

 今回の結果から、日本のITエンジニア給与は国内では上昇傾向にあるものの、ドル建ての国際比較では主要国との差が依然大きい状況が示された。IT職種の賃金面の魅力が相対的に弱い状態が続けば、人材確保や流出に影響する可能性がある。デジタル化が企業活動の基盤となる中、待遇改善や人材確保策が今後の課題として浮かび上がる形となった。

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