インテグレーションが常に求められる理由Informatica World 2007

米Informaticaの年次ユーザーカンファレンス「Informatica World 2007」は最終日を迎え、同社のジェイムズ・マカリアンCTOは、カンファレンスのテーマである「Integration Everywhere」の言葉どおり、幅広くインテグレーションが求められる理由を話した。

» 2007年05月05日 08時00分 公開
[堀哲也,ITmedia]

 米国時間5月3日、Informaticaの年次ユーザーカンファレンス「Informatica World 2007」は最終日を迎え、同社のジェイムズ・マカリアンCTOが講演した。同社はデータ統合というユニークなポジショニングを追及しているが、カンファレンスのテーマである「Integration Everywhere」の言葉どおり、幅広くインテグレーションが求められる理由を話した。

ジェイムズ・マカリアン氏 米Informatica 上級副社長兼CTOのジェームズ・マカリアン氏

 マカリアン氏は、デジタルに慣れた新たな世代のユーザーの登場や社会経済の変化、テクノロジーの進化を受けて、インテグレーションの重要性が高まっていると指摘した。

 「私の考えでは、最近のWebアプリケーションが成功している理由は、階層ナビゲーションからタスクベースのシンプルなものへと変わっているからだ。Amazon.comやGoogleを利用するのにトレーニングはいらない」

 コンシューマーで広がるWebアプリケーションのインタフェースは、一見シンプルだが、裏側では複雑にアプリケーションが動作し、大量のデータが管理されインテグレーションされている。このようなWebアプリケーションは企業のシステムに入り込もうとしており、ユーザーから同様の期待がかかるとしたら、やはり背後には複雑なインテグレーションが必要になるというわけだ。

 このようなユーザーの期待はいっそう高まる傾向にあるという。現在のティーネージャーはPCやWWWが既に存在している時代に生まれ、オンラインでチャットをし、Youtubeを利用する。このようなコンテクストを持った次世代のユーザーは使いやすいインタフェースへの要求をさらに高め、バックエンドのデータのインテグレーションはよりチャレンジングになる。

スーパーパワーの台頭

 一方で、インドや中国という新たなスーパーパワーの台頭は、世の中のデマンドを変えようとしている。これまでの欧米や日本を中心にしたプロダクションの在り方を変化させ、セールスやマーケティングのキャパシティーの在り方も変えなければ対応できない。

 マカリアン氏はこのような社会経済の変化に対応するには準備が必要だ、と指摘する。どれだけデマンドパターンの変化がおき、セールスキャパシティーが必要になるのか、どうやってローカライズしていくのか。それはデータに対しても同様のことが言えるという。

 「どんなデータを必要とし、どう操作しなければならないか、社会経済の変化に伴って準備しておく必要がある」。そのためには、データのインテグレーション(統合)がなくしては行えないだろう。

 これを支えるテクノロジーはキャパシティーを高めることを可能にし、プロセッシングパワーの増大やHDDの大容量化、インターネットの高速化ととどまることなく進化を続けている。テクノロジーの進化はコンシューマーだけでなく、ビジネスにおいても今後はさまざま可能性をもたらす。ビジネス向けのSaaS(Software as s Service)の登場もその流れの中で生まれたものの1つと言えそうだ。

 「ハードウェアの革新だけでなく、ソフトウェア開発の世界においてもキャパシティーは変化しており、オープンソースのコミュニティーが、これまでは高価で手が出なかったソフトウェアを提供し、新たなアイデアを実現することを助けてくれる時代になった」(マカリアン氏)

 このような流れの中、データはあらゆる場面で増加する一途だ。社会経済や新世代の成長によりユーザーは多様化し、より高いレベルでのコラボレーション要求している。このようなシステムに対するプレッシャーは、これまで以上にさまざまな場面でデータのインテグレーションの重要性は高めていくことになる。データ統合は常に“古くて新しい課題”であり続けるわけだ。

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