「データ統合はファイアウォールを越えたものに」InformaticaアバシCEOInformatica World 2006

「データインテグレーションはより重要性を増す」――米Informaticaは、米サンフランシスコで「Informatica World 2006」を開催し、約1000人の聴衆を前にデータ統合の重要性を訴えている。

» 2006年05月24日 14時40分 公開
[堀哲也,ITmedia]

 米Informaticaは米国時間5月23日、米サンフランシスコのモスコーニセンターで「Informatica World 2006」を開催した。同社は、ETL(Extract, Transform and Load)ツールのリーダーという立場を足がかりに、企業内のデータ統合プラットフォームベンダーへと変化を遂げ、さらにはSaaS(Software as a Service)という新しいソフトウェアのうねりとも歩調を合わせ、「The Data Integration Company」として確固たる地位を築こうとしている。

 1993年に誕生したInformaticaは2004年、Oracle Toolsなどのシニアバイスプレジデントを務めたソハイブ・アバシ氏をCEOに迎え、さらなる成長へ向けてThe Data Integration Companyというビジョンを打ち出した。主力製品の「PowerCenter」を中心にBIのためのELTツールではなく、企業のデータ統合の要にしようと売り込んでいる。

 ソハイブ・アバシ氏 Informaticaのソハイブ・アバシCEO

 「データインテグレーションはより重要性を増してくる」――Informatica World 2006開幕の基調講演に登場したアバシCEOは、約1000人の聴衆にデータ統合の重要性を訴えた。異なるシステムにサイロ化され、異なるフォーマットやデータ品質が存在するという企業のデータの断片化が、ビジネスにおけるデータの価値を減少させているためだ。

 企業にとっては、これらのデータを統合することがITにおける大きな課題の1つといえる。アバシ氏が示したIDCの調査によると、データ統合の世界市場は約130億ドル規模にまで成長するという。同社のThe Data Integration Companyのビジョンも浸透し始め、同社が顧客に行った調査では、80%を超えるユーザーがデータマイグレーションやデータハブといった幅広いデータ統合に同社のツールを活用しようと考えていると答えている。

 アバシ氏は「コンプライアンス、プロフィタビリティの高まり、ITコストの削減、アウトソーシング――企業がデータ統合に取り組む理由は多くある。いまITに求められているのはデータ統合だ」とアピールした。

データ統合のプラットフォームとなる「PowerCenter 8」

 この企業のデータ統合を支える戦略的プラットフォームとして同社が提供するのが、カンファレンスに先立って正式リリースした最新の「PowerCenter 8.1」となる。アバシ氏は「正確で全体的な情報を必要とするビジネスユーザーや、コスト効果の高いスケールを求めるITマネジメント、デベロッパーという三者の要求に応える最も革新的なリリースだ」と胸を張ってみせた。

 バージョン8.1では、先に買収したSimilarity Systemsのデータクオリティ技術を統合しており、データ統合プロジェクトで最大の障壁となるデータの品質の違いを解決する。例えば、データの不正確や不完全という品質の悪さを「画一性(Conformity)」「一貫性(Consistency)」「重複(Duplicates)」「完全性(Integrity)」などといった6つの観点から、これまで以上に高いデータ品質維持を可能にしているという。

Salesforce.comとのデータ統合も

 今後Informaticaがターゲットとするデータ統合には、企業のファイアウォールを越えた企業間のデータの断片化も視野に入ってくる。「ビジネスプロセスアウトソーシングやSalesforce.comに代表されるSaaSを活用したアウトソーシング市場が急速に成長しており、企業の枠を超えたデータ統合が必要性を高めている」からだ。

 デモンストレーションでは、レガシーCMRからSalesforce.comへコンタクトリストをプログラミングなしで移行させるデモや、「Informatica On-Demand」として紹介されていたWebベースのソフトウェアからデータ統合機能を提供する様子などが示された。

 同社はクロスエンタープライズのデータ統合の機能として、手始めにSalesforce.comと企業内のシステムとのコネクティビティを提供するほか、2006年度の第4四半期にはパートナーホステッドソリューションとして、さらに2007年度の第1四半期にはプラットフォームとして進化させるロードマップを描いている。

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