InformaticaのアバシCEO「データ統合市場でドミナントな存在になる」Interview

2年前にOracleからInformaticaに招聘(しょうへい)されたソハイブ・アバシCEO。同氏は「The Data Integration Company」をビジョンに掲げ、さらなる成長戦略を描いている。

» 2006年05月26日 10時30分 公開
[聞き手:堀哲也,ITmedia]

 データウェアハウスのETLツールベンダーとして知られてきたInformaticaはさらなる成長を遂げるため、2年前にOracleで20年の経験を持つソハイブ・アバシ氏をCEOとして招聘(しょうへい)した。アバシ氏は「The Data Integration Company」をビジョンに掲げ、同社の主力製品である「PowerCenter」をより広範なデータ統合ニーズに対応できるプラットフォームへと進化させてきた。

 さまざまなシステムに断片化されたデータの統合は、いまや企業にとってビジネスを大きく左右する課題だが、この問題を解決すべくフォーカスを移したInformaticaの可能性について、同社のアバシCEOに聞いた。

ソハイブ・アバシ氏 Informaticaのソハイブ・アバシCEO

ITmedia 2年前にInformaticaにアバシさんが加わって以来、データウェアハウジングからデータインテグレーションへとフォーカスを移しました。これがInformaticaにとってどのような変化をもたらしていますか?

アバシ わたしたちの戦略は、Informaticaがエンタープライズデータインテグレーション市場でドミナントな存在になるようにすることです。市場調査会社IDCによると、データウェアハウジングは約20億ドルの市場だと予測していますが、より広範なインテグレーションにフォーカスしたことで、わたしたちの前には110億ドルの市場が存在するようになりました。これにより、Informaticaはより大きなマーケットを追うことができるようになりました。

ITmedia カスタマーはデータ統合をどのようにとらえていると感じますか?

アバシ カスタマーは、データから十分なビジネス価値を得るために、異なる5つの目的があると考えています。1つは、規制に対する「コンプライアンス」です。米国ではSOX法などの多くの規制が存在しています。メインフレームからの「レガシーマイグレーション」や、合併買収による企業の統合を保証するためには「データの連結」が必要です。また、「ビジネスの収益性」を向上したいという要求もあり、さらには「アウトソーシング」も増加しています。アウトソーシングという点では、Salesforse.comといったソフトウェアサービスの利用やビジネスアウトソーシングの活用が進んでいます。

 これらの目的に対する取り組みは、企業にとって戦略的でかつ長期間をかけて行われるものとなります。カスタマーがビジネスゴールを目指す上で、Informaticaの製品は非常に重要な位置付けになってくるのです。

ITmedia データインテグレーションは、プロダクトというよりはソリューション向けの市場だと思います。ソフトウェアプロダクトベンダーのInformaticaにとって、どれだけのビジネスチャンスをものにできるのでしょうか?

アバシ 大きなビジネスチャンスがあります。直近の1年では、20%を超える成長を遂げていますし、プロダクトライセンスも20%以上増加しており、非常に自信を持っています。なぜなら、これはまだ始まりにすぎないからです。マーケットサイズだけを見ても、これまでInformaticaが追ってきた市場の5倍の規模が存在しています。また、毎四半期のカスタマー調査では、直近の四半期でも31%のカスタマーがわれわれの製品をデータウェアハウジング以上の、さらに幅広いインテグレーションに活用したいと考えています。現在のInformaticaは、巨大な市場の入り口にいるにすぎないのです。

ITmedia その市場のパイを確実に獲得するためにも「PowerCenter 8」は戦略的な製品となるわけですが、カスタマーにどのような利益を提供できるのでしょうか?

アバシ PowerCenter 8は、これまでにないもっともイノベーティブなリリースとなります。IT組織は、データの増加に対してIT予算が増えないという課題と戦っていますが、これに対し、少ないコストでより多くのことを実現できるようにしています。例えば、グリッドコンピューティングなどの技術を活用して、より多くの機能を低いハードウェアコストで実現することが可能です。そして、デベロッパーのより高い生産性を可能にしています。

 さらにPowerCenter 8では、あらゆる種類のデータを扱うことができます。データベースといった構造化データだけでなく、例えば、「Microsot Excel」のスプレットシートといった非構造化データも扱うことができます。

 言い換えれば、10倍のプライスパフォーマンスと10倍のデータアクセス、そして開発者に対し10倍の生産性を提供できるということです。

ITmedia 最後に日本市場をどのようにとらえているのか教えてください。日本には、データが格納されているプラットフォームについて、米国とは異なる環境があると思います。これらには、どのような投資を行っていくのでしょうか?

アバシ 日本はもっとも重要なリージョンです。唯一最大の成長が見込める市場だと考えています。データインテグレーションへの要求は、ユニバーサルでグローバルなものとなっており、米国や日本だけに限らず、ほとんどすべてのIT組織が大量のデータを保有し、サイロ化させているのが現状です。

 だた、日本は世界と比べても特にメインフレーム大国ですから、メインフレームデータへのより良いアクセスを提供しなければなりません。IBMメインフレームに対しては、IBMが提供する以上のデータアクセスを可能にしていますし、実際にカスタマーはわたしたちを選択してくれています。

 Informaticaはニュートラルな立場ですから、さまざまなハードウェア企業やデータソースをサポートしていく方針です。特に日本では、どこよりも優れたメインフレームへのデータアクセスを提供しなければならないでしょう。

ITmedia 日本のローカルプラットフォームへの対応はどうしますか?

アバシ 現在、MDIT(三菱電機インフォメーションテクノロジー)や富士通とのパートナーシップがありますし、インフォマティカ・ジャパンの内田さんが、メジャーなベンダーすべてと、洗煉されたかたちでパートナーシップを結ぶ計画を行っているところです。



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