「競合といえばソフトバンク、KDDI、NTTといった巨大企業。ウチは小さい会社ですが、そうした大企業に肩を並べて事業を展開しています」
東京・八丁堀に本社を構えるネクシオン株式会社は、テレビ局などに映像伝送を行う映像伝送事業者だ。扱うサービスは、スポーツ中継、コンサート中継、さらには宇宙ステーションからの生中継など「ライブ中継」全般。従業員数は約50人と小規模ながら、映像伝送業界では大手通信キャリアと競合しつつも多くの顧客から信頼を得ているという。
「最大の顧客は日本放送協会(NHK)様で、1年のうち300日ほどは当社が手がけた国内外からのスポーツ中継がNHKで放送されています」と、ネクシオンの平本修社長は胸を張る。同社は専用線での映像伝送のほか、公衆インターネットを活用した映像配信事業なども手がけており、2000年の創業以来13年にわたって成長してきたという。
「グローバルを含む専用線での映像伝送からネット動画配信まで、ワンストップで対応できるのは業界内でも当社くらいだと思います」と平本社長。そんな同社だが、ライバルの大企業と比べて明らかに不利な点があった。それは社内の情報システムだ。
例えば、電子メールはPOPを用いたホスティングサービス型のシステムを利用しており「メールボックス容量も小さく、使い勝手が悪かった」と同社の渡辺和彦 情報システム部長は振り返る。また、従来から国内ベンダーのグループウェア製品を利用していたものの、カスタマイズ性の低さに不満を抱えていたという。さらに、同社は東京に2拠点のほか大阪とニューヨークにも拠点を構えており、スタッフ同士が連絡を取るための電話料金が高額になってしまっていた。
こうした状況を打開するきっかけになったのが、IT企業出身の平本氏の社長就任だったという。
「私が以前勤めていた会社では、10年以上前ですが億単位の資金を使って社内の情報システムを自社開発していました。ネクシオンでも同じように使い勝手のいいシステムを利用したいと思いましたが、さすがに数億円もかけることはできません。しかし、クラウドサービスを活用すれば、当社のような小さい会社でも高機能の情報システムを手に入れられ、大企業に負けない情報システム環境を利用できるのではと考えたのです」(平本社長)
同社がクラウドサービスの導入検討を始めたのは2011年7月のこと。サービス選定は渡辺部長が主導し、最終的にマイクロソフトの「Office 365」を選んだという。
「当初は他社のクラウドサービスも含めて検討していましたが、Office 365はメール、コミュニケーション、情報共有の各機能を連携させやすく、企業での利用に特に適していると感じました。また、ExchangeやSharePointなどの内部設置型で実績のある製品をサービスとして利用できる点や、細かくセキュリティ管理を行える点なども、Office 365を採用する決め手になりました」と渡辺部長は振り返る。
同社は2011年11月にOffice 365の導入をスタート。導入パートナーとしては、料金体系の柔軟さやサポート体制などを評価して株式会社大塚商会を選んだという。ネクシオンはまずメールサービス「Exchange Online」から利用を開始し、現在ではビデオ会議サービス「Lync Online」、ドキュメント管理/グループウェアサービス「SharePoint Online」など、Office 365の各種機能を利用している。
導入の効果は「すぐに表れました」と渡辺部長。最も早く効果を実感したのは、Lync Onlineによるビデオ会議だったという。例えば、海外出張中のスタッフとの国際電話をLync Onlineに置き換えることで大幅なコスト削減を実現したほか、複数拠点とのリアルタイム会議も可能になったとのことだ。
また、同社のOffice 365の使い方で特徴的なのは、SharePoint Onlineを独自にカスタマイズして活用している点だ。例えば、SharePoint Onlineをベースにワークフローシステムを構築し、複数拠点をまたぐ回線構築作業のプロセスなどを効率化したという。また、社外の関係者とセキュアに情報共有を行うためのエクストラネットも構築、運用している。加えて、Office 365の導入前までは拠点ごとにオンプレミスで運用していたファイルサーバもSharePoint Onlineに移行。国内外の全社員が、同一の画面でリアルタイムに情報共有できるようにしたという。
「大企業が数億円かけて開発・運用しているような情報システムを、クラウドサービスを使えば1人当たりわずか1000円程度の月額料金で利用できるようになりました。これは、当社のような小規模な会社にとって夢のようなことです」と平本社長は話す。
同社は今後、Office 365のさらなる活用を進めていく考えだ。具体的には、現在は別システムで行っている稟(りん)議の決裁などもSharePoint Online上で行えるようにする予定という。
また、SharePoint Onlineと基幹系システムの連携も進めていく。「現在、社内の基幹システムはMicrosoft SQL Server 2000をベースとして構築していますが、近い将来、マイクロソフトのクラウド型RDBサービス『Microsoft SQL Azure』に移行する予定です。これにより、SharePoint Onlineのグループウェア機能と社内の基幹系のデータをスムーズに連携できるようになるはずです」と渡辺部長は期待を込める。
「当社のように小規模な企業が大手キャリアと対等に戦うためには、コストパフォーマンスに優れたクラウドサービスの活用が欠かせません」と平本社長。同社は今後もクラウド活用を推進し、映像伝送事業を一層強化していく考えだ。
※本記事は日本マイクロソフトにより提供されたコンテンツを一部編集の上、掲載したものです。
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2013年9月30日