「急務:モバイル導入の課題」をスッと理解する、ごく単純な3つのヒント情シス部門への提言

モバイルの進化を受け、企業のIT環境は現場レベルでも大きな転換期を迎えている。ただ、その急激な変化への対応に苦慮する企業は多い。企業は、IT部門は今後、モバイルの進化とどのように向き合うべきか。IBMの専門家が示した「3つのヒント」とは……。

» 2014年11月25日 10時00分 公開
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 スマートフォンの普及に代表されるモバイル利用シーンの拡大を受け、企業のIT環境は現場レベルでも大きな転換期を迎えている。

 実際に、若年社員はPCを個人で所有しなくなっている。これを「そうなのか」と静観していては始まらない。モバイル端末と企業システムの連携は、今後のビジネスの成長に大きな可能性を秘めていると考えるべきだ。

 ただ、その急激な変化への対応に苦慮する情報システム部門は少なくないだろう。企業はこれから「モバイルとどのように向き合うべき」か、日本アイ・ビー・エム(以下、日本IBM)の専門家、日本IBM モバイル事業統括部 事業部長の藤森慶太氏(以下、藤森氏)と、日本IBM グローバル・ビジネス・サービス インタラクティブ・ソリューションズ部長の飯塚博之氏(以下、飯塚氏)に、そのポイントとヒントを聞いた。

photo 日本IBM グローバル・ビジネス・サービス インタラクティブ・ソリューションズ部長の飯塚博之氏(写真=左) 日本IBM モバイル事業統括部 事業部長の藤森慶太氏(写真=右)

<ポイント.1>モバイルの利用が進む=“PCを持たない”が必然になる時代に

―― ビジネスの現場でモバイル利用が拡大する中、企業の構成要員である社員のクライアント環境が大きく変わりつつあります。最近は、スマートフォンなどでこと足りるので「若年社員は自宅PCを所持していない」のだそうです。

藤森氏 それは必然と呼ぶべき現象でしょう。一昔前は禁じられていたノートPCの持ち帰りが、セキュリティ対策の浸透などによっておおむね認められるようになり、社員自身がPC本体を所持する必要性は薄れています。情報収集やコミュニケーションの用途なら、モバイル端末で十分に対応可能です。ことモバイルに関しては、情報システム部門よりもユーザーの方が先行しています。

飯塚氏 こうした変化に企業はどう対応すべきなのか。情報システム部門としては、そこが問題だと思います。

 考えるべきことは、もちろん少なくありません。業務用アプリをモバイル化するにも、インタフェースの大きさの制約、そしてセキュリティをふまえた作り込みが欠かせません。ただ、現状は「特段の対策は必要とされていない」のが実情でしょう。と言いますのも、現状の社員の要望は「社外から社内システムにアクセスしたいという程度」にとどまっていますから。

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<ポイント.2>企業のモバイル活用を阻む壁は「旧来の企業システム」

photo 「モバイルに関しては、企業導入状況よりもユーザーの方が先行している。情報システム部門が今、求められていることは……」(藤森氏)

藤森氏 企業システムが障壁となり活用が困難であった部分にこそ、大きなチャンスがあります。個人の情報の共有やリアルタイムコミュニケーションに、FacebookやLINEなどのモバイルアプリは極めて有効なのは言うまでもありません。にも関わらず、業務の現場でこれらを使っていますでしょうか。せっかくのモバイルによる業務変革の機会を逃していると言えます。

 もっとも、情報セキュリティの観点から、コンシューマ向けの一般アプリを業務に使わせるのに抵抗感があるのは確かです。このためIBMは、業務向けのリアルタイムコミュニケーションに主眼を置いた製品、そして企業コラボレーションの円滑化を目的とした製品を用意し、モバイルによる企業コミュニケーションがより高度になるよう支援する体制を整えています。

 いざ利用するにあたって問題となるのは何だと思いますか? 社内イントラネットへのアクセスに、IDとパスワードによる認証が必要とされていることです。単純な話に聞こえます。でも、Webの世界では一般的に「3クリックで目的の情報へたどり着かなければ、ユーザーは利用を諦める」とされています。つまり「煩雑な認証作業が、社員のコミュニケーションの高度化を阻む壁となっている」のです。

―― 旧来の企業システムが、企業のモバイル活用を難しくさせている……。

藤森氏 その通りです。ただ一方で、指紋認証などを使えば認証の手間を大幅に軽減できるように、デバイスの進化は着実に進んでいます。今、情報システム部門に求められていることは「コミュニケーションの手間を、より軽減する仕組みの確立」です。

飯塚氏 その実現に、いくつかの課題はあります。先ほど述べたインタフェースの制約もその1つですが、それ以上に重要となるのは「“ビッグデータ活用のためのバックエンド”とのシステム連携」だと思います。金融業界をはじめ、さまざまな業界で豊富なノウハウを蓄積したIBMが総合的なコンサルタントとして担当させていただくことで、システム連携をはじめとする課題解決を支援できると確信しています。そこが、IBMがモバイルに注力する背景です。

<ポイント.3>「モバイル化は“単なるワークスタイル変革”ではない」を理解すべし

―― モバイルの進化は、ワークスタイルの変革とともに語られます。ただ、それは1つの側面に過ぎません。いわゆる“ノマドワーク”なら当てはまりますが、「現場業務の高度化」となると話は別です。

藤森氏 その通りですね。アナリティクス、モバイル、ビッグデータ、クラウドなど、昨今の企業ITキーワードがいくつかあります。それらに共通するのは「いずれも企業の能力を底上げするもの」です。その実践には「データをやり取りするための裏側の仕組みが不可欠」です。業務に従事する社員に対し、適切な情報を、適切なタイミングで、適切な場所で提供するには……。そこに「モバイル」というキーワードが脚光を浴びるという具合です。

 単なる業務効率化だけではなく、顧客接点を持つ従業員や、業務現場にいる従業員をデータでサポートし、その意思決定を支援することが本当に目指すべきモバイルの活用方法と我々は考えています。

飯塚氏 仕組みの整備以上に「目的の明確化と、運用ルールの策定」がカギを握るということです。実際、これまでの経験からIT環境の整備そのものに手間取ることはほとんどありません。課題になるのは、モバイル活用となると、端末を社員が常時携帯する→ならば、残業の扱いはどうするか、といった社内ルールの見直しが必要とされる場合の対策ですね。方々の部門から横やりが入り、導入が円滑に進みにくい傾向があるようです。

―― モバイルに関しては、セキュリティを危惧する声が根強くあります。

photo 「情シス部門にとって、セキュリティ対策は非常に重要。ただ、リスクがあるからでは何も革新できない。攻めの視点でモバイル活用がもたらす改革に挑む取り組みのお手伝いをしたい」(飯塚氏)

飯塚氏 確かに情報システム部門にとって、セキュリティ対策は非常に重要。ただ、技術的なセキュリティリスクについては、すでにかなりの部分まで対応できていることも理解しておくべきです。

 技術的なセキュリティリスクは、端末からの情報漏えいのほか、無線通信時のデータ盗聴、システムからのデータ漏えいなどに大別されます。デバイスに関しては、一般的なセキュリティポリシーに準拠してさえいれば、まず漏えいは発生しないはずです。無線でのデータ盗聴についても、暗号化技術の発達によって盗聴される可能性は低くなっている。システム部分においても、従来から外部攻撃は存在します。モバイルだからといって別個に心配する必要はないわけです。

 つまり、情報漏えいの原因の多くは、システムというより「人の故意や過失に起因」しているのです。では、具体的に何をすべきでしょうか。「どんな対策が必要」とされ、「導入時の留意点は何か」です。ここは後日行うセミナーで具体的に分かりやすく解説したいと思います。

藤森氏 人的なセキュリティリスクの対策を支援するため、IBMもソリューションを拡充させ「IBM MobileFirst Protect」に機能を集約しつつあります。このソリューションは、ユーザーに配布したモバイル端末に業務用の“コンテナ”を用意し、その中身のリモートでの確認や消去、さらにMDM(Mobile Device Management)やMAM(Mobile Application Management)などの機能も実装したものです。当然、マルウェアからの社外へのデータ送信を遮断したり、ログ分析によりセキュリティを確保するとともに、ユーザーのサイトでの振る舞いまで再現する製品も取りそろえており、問い合わせも数多く寄せられています。

―― ITシステムの整備にあたっては、製品自体が優れていても、実績がなければ社内を説得することは困難です。他社で利用実績のある製品だと選定がうまく進みます。

飯塚氏 その点での一番のショーケースが「IBM自身」です。IBM MobileFirst Protectは、社内でサービス開始初日に1万5000台が登録され、15日で4万8000台、1カ月で7万台以上のモバイル端末の登録をグローバルで実現し、その後も問題なく運用し続けています。セキュリティなどにおける“人間系”の問題に関しても、IBMが実践してきたことをノウハウとして提供するといったコンサルティングを通じ、対応支援を行っています。

photo 「モバイル進化に対応したユーザー企業の好例はすでにいくつもある。IBMは、“攻め”の姿勢でその対応に向き合いたい企業へ“答え”を提案したい」(藤森氏)

藤森氏 ソリューション導入企業は小売や航空、製造などグローバルで多岐に渡っています。日本では例えば医療業界向けのソリューションなどが広く利用されています。看護師が1人1台のiPod touchを持ち、その日の医師の指示や受け持ち患者の投薬スケジュール確認や、投薬時の3点照合、バイタルの入力などを電子カルテと連携し、実施できるようになっています。

 後日行うセミナーでは、今回ご説明した“ヒント”に続く答えとして、「具体的な事例紹介」と「具体的な対策手段」を紹介します。企業のモバイル活用に関心があり、“攻め”の姿勢でその対応に向き合いたい人に、ぜひ参加していただきたいですね。


モバイルの最新事情と具体的な導入事例、必要な対策手段を理解──「課題解決イベント」を開催

 2014年12月9日、企業の「モバイル活用のこれから」を焦点に、今後の業務のあり方について最新事情や導入事例の具体的な内容をじっくり紹介するイベントが行われる。今回紹介した“ヒント”以上に、具体的な「対応策」や「答え」を示すものだ。先に挙げた資生堂の事例セッションのほか、業界ごとの取り組みの「今」について、そして導入時のセキュリティリスクと対策方法なども取り上げる予定だ。

 モバイルのメリットは、ペーパレスや業務効率化だけにとどまらない。この貴重な場を活用し、ぜひ多様な面での競争力の強化に役立てていただきたい。

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提供:日本アイ・ビー・エム株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2014年12月24日

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顧客獲得による収益拡大から働き方を含めた業務効率の向上まで、モバイルが企業のビジネスに与えるインパクトは無視できない状況だ。モバイルを起点にその活用を考える上ではシステムや働き方など検討すべき項目は実に幅広い。日本IBMでは企業のモバイル活用を包括的にサポートする「IBM MobileFirst」を提唱している。