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» 2015年09月11日 10時00分 UPDATE

エバンジェリスト未来創造会議:1ラックにサーバが1000台載ったら、日本はどう変わるか?

ITを駆使してビジネス競争力を強化する。それがすべての企業とIT担当者に化せられたミッションだ! ……言いたいことは分かるが、どうやって? ITエバンジェリストが集まる「未来会議」より、将来のヒントを探ろう。

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 世界最先端IT国家へ──。未来に向けた日本の明るい希望と目標、そして想像をはるかに超えるIT技術の飛躍が期待される一方で、これまでの方法と同じではビジネスが立ちゆかなくなる「創造的破壊」も起こると予測されている。

 新たなITトレンドもいち早くとらえて、ITを駆使して自社のビジネス競争力強化を図ること。それがすべての企業とIT担当者に化せられたミッションであると考える。

 でも、具体的に何をどうやって?

photo 「エバンジェリスト未来創造会議〜IT愛〜」の様子 左からセキュリティ専門エバンジェリストの増田博史氏、オープンソース専門エバンジェリストの古賀政純氏、ビッグデータ専門エバンジェリストの吉岡祐氏、サーバー担当エバンジェリストの山中伸吾氏。中央はワークロードのタイプに合わせた小型カートリッジで構成するMoonshotシステム

 “サーバー愛”を叫ぶサーバーテクノロジーエバンジェリスト 山中伸吾氏を中心に、先端IT技術に精通したエバンジェリストが集う「エバンジェリスト未来創造会議〜IT愛〜」がある。ITテクノロジーの先端にいる彼らは、どんな日本の未来を議論していたのか。その会議へ潜入した。

「1ラックにサーバー1000台」は、もう現実の話

山中(サーバー担当エバンジェリスト/以下、各人の専門分野) 日本とお客様の未来を創造、妄想するエバンジェリスト未来創造会議、今回のお題は「1ラックにサーバーが1000台載ったら日本はどう変わるか」で進めたいと思います。

古賀(オープンソース) また、大きく出ましたね。「日本を変える」ですか。

山中(サーバー) 実は今年(2015年)、本当に1000台載せたお客様が現れたのですよ。ザウバーF1チームです。F1の空力性能を測るために大量のコンピューティングパワーが必要とのことで導入されたそうです。


吉岡(ビッグデータ) もうすでに実現しているということなのですね。今、ビッグデータ解析でよく使われる薄型ラックサーバーは、1ラックでせいぜい40ノードくらいです。これは仮想化を使って集約とか、そういう話のものではないのですよね。

photo ミッションクリティカルサーバーテクノロジーエバンジェリストの山中伸吾氏

山中(サーバー) 仮想化でなく、物理サーバー1000台を1ラックに搭載しているのです。“サーバー愛”のわたしが今、特に愛おしく思っているHP Moonshotシステムという製品で実現します。小さなCPU(インテル® Atom プロセッサー)をたくさん使って実現しているので、1台単位のCPUパワーはそれほどないけれど、並列処理でスループットをすごく上げられます。ちなみに少し密度は落ちますけれど、インテル® Xeon® プロセッサー搭載の高性能志向なカートリッジ(マシン)もあります。

 F1のレギュレーションには、空力性能を計るコンピュータにも「上限は何テラFLOPSまで」という制限があります。チームはFLOPSより、実は「スループット」こそがほしい。Moonshotシステムで小さなサーバーを大量に並べて、FLOPSは上がらないけれどスループットは上がるという算段なのです。

photo ビッグデータエバンジェリストの吉岡祐氏

吉岡(ビッグデータ) なるほど。CPUパワーより、物理的な台数が必要という使い道に適しているということか。ビッグデータ解析の世界ではまず3〜4台の検証機で試してからですので、いきなりこの数はすごい。

山中(サーバー) だからそういうI/Oまわりが必要になるビッグデータ解析に向いています。1000万円ほどで4.3U/45ノード。これでスモールスタートができ、あとはこれを並べて行けばいい。ビッグデータ解析に革命が起こるぞ、これは(笑)。

吉岡(ビッグデータ) CPUをたくさん積みたいお客様に向いているでしょう。データをたくさん積みたいお客様には、データをたくさん詰める別のサーバーと組み合わせるという形なのでしょうね。

古賀(オープンソース) ちなみに、日本ヒューレット・パッカード自身の外向きWebサーバーもこれに置き換えています。これまでと比べて、スペースは5分の1に、消費電力はなんと10分の1。「えっ、そんなに?」と、この効果には正直驚きました。

増田(ビッグデータ) 確かにWebサーバーの用途では、CPUの機能のほんの一部しか使いませんが、I/Oのスループットはかなり必要になる。なるほど、このアプローチは理にかなっていますね。

photo Moonshotシステムのカートリッジを手にし「このサイズで(最大)4ノード/サーバー4台分か……」と声を揃える、古賀氏、吉岡氏、山中氏

仮想化嫌いとセキュリティ 「分かりやすい安心感」のアプローチ

photo セキュリティエバンジェリストの増田博史氏

増田(セキュリティ) 実はこの製品は、私の専門分野であるセキュリティの観点から、「仮想化嫌い」なお客様もカバーできるのではないかと考えているのですよ。

山中(サーバー) 「仮想化嫌い」とは?

増田(セキュリティ) 仮想化の目的は、集約をかけて物理サーバーの数を減らし、スペース効率や運用管理コストを下げることです。ただ、集約が進みすぎたがゆえの課題もあります。逆にもっと管理工数がかかってしまう。結局はイタチごっこと感じてしまうようです。

山中(サーバー) まとめすぎの弊害などですか。

増田(セキュリティ) 「アンチウイルスストーム」って知っています? 1つのサーバーに仮想OSをたくさん入れる。それらには1つ1つアンチウイルスソフトも入れますね。その環境で定義ファイルの更新や定期スキャンなどスケジューリングした処理が一気に走ると……どかんと膨大なCPUパフォーマンスやメモリが必要になります。

古賀(オープンソース) だからストーム=嵐、なるほど。


photo セキュリティ観点でMoonshotの活用シーンを議論する増田氏と古賀氏

増田(セキュリティ) 結局、スケジューリングを別々にするとか、エージェントレスのアプローチをとるなどで対策します。しかしエージェントレスも、VDI製品別に対応状況が異なるので……。

山中(サーバー) それが「分離」されているならば?

増田(セキュリティ) そもそも、セキュリティにおける「物理的な分離」は昔から対策のセオリーですよね。ちょっと想像してみて下さい。

古賀(オープンソース) 普通のホスティングサービスだと、他社とまぜこぜで1つのサーバーに入れられちゃう。よく考えると怖いですね。

増田(セキュリティ) 実際に数年ぐらい前からハイパーバイザーが狙われてホストOSを奪取されて、ゲストOSがやられたという事件も起きています。

古賀(オープンソース) つまり、物理的に離れていればとなりの環境に何か脅威が起こってもこちらにはやってこない。こんな安心感があります。最近は、Moonshotを利用して、物理的に完全分離されていることを強みとしたサーバーホスティング事業者も出てきています。

増田(セキュリティ) もちろん、全部物理サーバーにするというのも現実的ではありません。要は、使い分け、バランスです。仮想化のTCO削減の効果はやはりすごいものがあります。お客様には、安心のための物理サーバー化ができる選択肢が増えたと考えていただくといいと思います。

 セキュリティは、システムを攻撃から守る対策が重要ですが、システムを使う側に対してどれだけ安心感を与えられるかも非常に重要です。どんなによいサービスでも、安心感を得られなければお客様は大切な重要情報を預けたいとは思わないでしょう。セキュリティの専門家さんは、こういうハードウェアとしての選択肢があるのを当たり前に知っているわけではありません。

 データの機密レベルやサービスレベルに合わせてMoonshotで、緩いものは仮想化でもいい。こういうアプローチもあることがもっと一般的に認知されるとよいですね。

山中(サーバー) 特に日本のお客様はそれに敏感な方が多いと思います。これを見せれば「分離しているから大丈夫ですよ」と言えるのがいいと思います。

 「分かりやすい安心感」は、日本において様々なIT化を進めるための大きな原動力になります。……おお、ここもうまくまとまったぞ(笑)。

ビッグデータ解析を日本に一気に広げる起爆剤に

photo オープンソース・Linuxテクノロジーエバンジェリストの古賀政純氏

古賀(オープンソース) オープンソース界隈で一番ホットなのは、HadoopやSparkを利用したビッグデータ解析です。実は、ちょっと問題が起きはじめています。

山中(サーバー) どんな問題ですか?

古賀(オープンソース) 解析するデータや解析手法によって、CPUかストレージか、どちらか片方だけが大量に必要といったことが増えてきたのです。CPUだけ大量に必要なのに、従来のサーバーですとストレージも一緒に付いてきてしまい、無駄が発生してしまいます。ビッグデータ解析のキモはいかにリソースを有効活用できるかにかかっていると考えていますので、ここは重要です。

山中(サーバー) リソースへの投資という観点で、ビッグデータ解析は他のシステムと異なる部分があるということでしょうか。Hadoopユーザーって、実際にHadoopで何をするのですか?

古賀(オープンソース) 例えば、公共インフラにおける大規模災害発生時の情報提供手段として。災害時は装置や設備も次々に被害を受ける可能性がありますので、これを想定してきちんとしたアルゴリズムに基づいた情報伝達のネットワークの仕組みを考えなければなりません。

 そこでHadoopのクラスタ上で意図的に障害を発生させて検証するのです。Moonshotのカートリッジを引き抜いて。抜いてもきれいに分析データが出てくるか。そんなことを検証するニーズがあります。

山中(サーバー) ほう。これ自体をシミュレータにしてしまうということか。

photo ビッグデータ解析分野への利用シーンを激論する古賀氏と吉岡氏

吉岡(ビッグデータ) 大規模な小売店さんなども課題を抱えています。本部には毎日膨大なデータが押し寄せます。量が増えすぎて、普通のデータベースだともう処理しきれない。あと、過去のデータから傾向を見るにも今は1カ月前が限界です。2年前のデータを見たいのにそれができない……。

古賀(オープンソース) それは問題ですね。経営者からすれば、高額な投資をしたのに2年前程度の傾向も取れないって何なの? と思ってしまうかもしれません。それをMoonshotシステムならば2年前でも、5年前でも効率よく拡張していける。1日単位を10分、1分単位に変えるということもできるようになるでしょう。

吉岡(ビッグデータ) 金融分野でも、過去のデータをティック(1秒単位での値動き)で取りたいときにはこういうシステムでないと処理しきれないでしょう。

山中(サーバー) 秒単位、コンマ秒単位のスピード勝負か。さっきのF1の事例と似ていますね。

 ビッグデータ解析をすればビジネスになるヒントがある“かもしれない”。だけど有意な結果を出す解析には大規模な投資が必要。経営層は投資判断を出しにくい現状があります。

吉岡(ビッグデータ) だから今回の「1ラックに1000台」というテーマは、ビッグデータ解析を日本に一気に広げる起爆剤になると感じています。これまで1000台のサーバーでビッグデータ解析をするならば、大きなデータセンター規模のスペースが必要で、ラック数も20ラック以上が必須でしたから。

東京オリンピックは……大丈夫?

増田(セキュリティ) リアルタイム性はセキュリティ分野にも当てはまります。2012年のロンドンオリンピック公式Webサイトには、開催期間2週間で計2億アタック、世界で最もサイバー攻撃を受けているとされる米国防総省(平均毎秒約30アタック)より多い毎秒約165アタックものサイバー攻撃を受けていたそうです。

 で、東京オリンピックはどうなるだろうという話です。DDoS(Distributed Denial of Service)攻撃などとして、1つの攻撃対象へ全世界からものすごい数の攻撃が来る……。

古賀(オープンソース) 攻撃は相当来るでしょうね……。あるIPだけを制限してもダメなのか。

photo 東京オリンピックのセキュリティは大丈夫だろうか……。「軽減するためには“負荷との戦い”、そうなると“分散”しかない」(増田氏)

増田(セキュリティ) ここまでの規模となると、防げないと言われています。できるのは「軽減」です。軽減するためには「負荷との戦い」なのですね。そうなると「分散」しかない。

 全部1カ所にあると、それを持っていかれちゃったら大変なことになる。もちろんどこかで集約はしていくのでしょうけれど、何もかもが全て一気通貫の状態よりは、そのリスクを減らすという観点で、分散するMoonshotはセキュリティ対策にもいいと思いました。分析した結果にしても、その処理をしている過程のデータにしても、ある程度分散させる。それだけで意味が薄くなるわけですからね。

山中(サーバー) なるほど、面白いですね。見方が違う。

古賀(オープンソース) セキュリティリスクの観点から入ると、こんな利用シーンも出てくるのですね。

「パーソナル・スーパーコンピュータ」 そしてThe Machineへ

山中(サーバー) さっきの話にあった「20ラック分のコンピュータ」と言えば、もうスーパーコンピュータの領域ですよね。

吉岡(ビッグデータ) でも、Moonshotを利用して1ラックに1000台入れられるならば、まず初期投資金額をかなり抑えられる。例えば「金融機関のファンドマネージャーがMicrosoft Excelでの解析に限界を感じて、大きな専用コンピュータで解析したい」といったシーンに、20ラックはとても無理でも、1ラック程度ならば上司を説得できるかもしれません。

古賀(オープンソース) まさに「パーソナル・スーパーコンピュータ」ですよ。気軽にいつでも誰でもスパコンの恩恵を受けられる時代がすぐそこに来ています。

photo 「これは、ビジネスパーソンが使える“パーソナル・スーパーコンピュータ”になるぞ」と議論が白熱する増田氏、古賀氏、吉岡氏

吉岡(ビッグデータ) 特に最近流行の機械学習は並列計算が多数発生する統計計算ですから、Moonshotのようなコンピュータがすごく効きそうですね。

 ビッグデータ解析がさまざまな分野で活用できることは、みなさんもう分かりはじめています。あとは新しい分析アイデアを思いつき、いかに早くそれを実装するかです。1回の投資金額が小さければ、失敗を恐れず何度でもチャレンジできますからね。

山中(サーバー) ビジネスパーソンが使える「パーソナル・スーパーコンピュータ」がビッグデータ解析で日本を変えるきっかけになる、ということです。「小さなスパコン」ということは、分析をする場所がデータセンターじゃなくてもよくなります。どんな場所でも分析ができるようになるということです。

 スパコンが小型化されれば、それこそ飛行機や自動車へそのまま載り、その場でのビッグデータ解析が可能になる。その結果を他のスーパーコンピュータへ渡して連携をしていく。まさに、HP研究所が将来描く「コンピュータの理想形=The Machineに近くなる」ということですね。

photo 60年続いたコンピュータアーキテクチャを変える──と、HPが2020年の開発を目指す「The Machine」の概念の一部

古賀 そういえば、The Machineはあと5年でできる? 2020年、もうすぐですよね。

山中 今回のMoonshotとSuperdome X(ミッションクリティカルプラットフォーム)は、The Machineの先祖です。期待して下さい。

(……以後、延々2時間。以下、略)



 「手のひらサイズのサーバー」が大きなイノベーションを起こす。エバンジェリストの未来会議より……自社と日本の将来を占う「未来のヒント」はつかめただろうか。

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提供:日本ヒューレット・パッカード株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2015年9月30日

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