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» 2015年12月01日 10時00分 UPDATE

エバンジェリスト未来座談会:企業 vs 個人の時代がやって来る!? アイデア・エコノミーという世界の魅力

アイデアが新しいビジネスを生み出す――昔は企業でないと難しかったことが、今では個人でも簡単にチャレンジできる時代になった。これから企業はどんな戦い方をしていくのか。ITエバンジェリストたちがアイデア・エコノミーの未来をズバリ予想する!

[PR/ITmedia]
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 これからは企業が個人とも戦う時代になる? ――古今東西を問わず、優れたアイデアは常に新しいビジネスを創造し続けてきた。だが、それを成し得たのは人材や資金力に勝る企業や、そうしたリソースを獲得できた一握りのベンチャー企業だけだった。現代はITのもたらす恩恵が個人レベルにも広がっている。もはや、アイデアをビジネスにできる特権は企業だけのものではないらしい。

 そんな変化がもたらす世の中をヒューレット・パッカード エンタープライズ(HPE)では「アイデア・エコノミー」と呼んでいる。アイデア・エコノミーの時代に、企業はどんな戦い方をしなければならないのか。そもそもアイデア・エコノミーの世界とはどのような姿なのだろうか。先端のITに精通したHPEのエバンジェリストたちが語り合う。

アイデア・エコノミー 日本ヒューレット・パッカードのエバンジェリストたちが語るアイデア・エコノミーとは?

アイデア・エコノミーで世の中が変わる?

アイデア・エコノミー ミッションクリティカルサーバーテクノロジーエバンジェリストの山中伸吾氏

山中(サーバ) 「アイデア・エコノミー」は「アイデアの経済」といいますが、要はアイデアをたくさん出して、そのアイデアを速く実現していく。それを実現した者が勝者になるというものです。ポイントは「アイデアの種をどれだけ早く見つけられるか?」「その種をどれだけ早く花に育てていくか」の2つですね。

 昔から「変化へ迅速に対応できる企業が強い」と言われてきました。しかし、アイデア・エコノミーの時代では、企業が対応すべき迅速さは、これまでとは桁違いです。いままで企業は、「企業 vs 企業」を意識すればよかったのですが、アイデア・エコノミーの時代では企業の戦う相手に、個人も入ってくるからなのです。これがいま一番の大きな変化ですね。例えば、昔は金型が必要だったのに、今では個人が3Dプリンタを使って自分で家電を作り、Amazonで販売するようなことが、米国だけでなく日本でも既に起きているのです。このような中で、企業には「どうすべきか」という最重要課題として突き付けられているように思います。

桑本(ITトランスフォーメーション) 要は利用可能な部品が増えたり、サービスが増えたり、コンピュータパワーが上がったことで、アイデアをビジネスにするリスクが下がっただけ、という言い方もできるのではないでしょうか。

吉見(製造/情報活用) アイデアの実現に必要な投資コストが減っていくわけですよね。クラウドを始めとするサービスと契約するだけで、いろんなことができるようになってきており、昔のようにイチから全て準備する必要がなくなってきました。

 私の専門の製造分野に関連する話題ですと、先日東京ビッグサイトで開催された「メーカーズフェア」に子どもを連れて行きました。電子工作を好きな人たちが、自分でキットを作ってその場で販売してしまうイベントです。会場の無線LANや、3Dプリンタを活用して、個人でアイデアを実現した商品を売っているんですね。製造業は、少品種大量生産から多品種へとシフトしてきましたが、もはや多品種ではなくて、個別種なんですね。

アイデア・エコノミー アイデア・エコノミーとは?

長島(環境) 私の専門の環境や社会貢献の分野ですと、例えば、ヒューレット・パッカードはガレージから始まった会社なので、起業家への支援を昔からしています。最近だと「Kiva」という非営利団体と協業して、5年間で100万人に、一人25ドルずつ資金を貸し出そうという「Matter to a Million」というプログラムを2014年から実施していて、現時点で920万ドル規模に広がっていますね。

 資金を貸す相手は、主に発展途上国で生活を向上させたくとも、原資がないという人たちです。Kivaでは85カ国で、融資の審査などを務める現地のNGOと協力していますが、ほぼ100%がきちんと返還されています。ヒューレット・パッカード全体でも従業員の半数以上がこの仕組みに参加し、HPE財団から一人ずつ割り当てられた資金25ドルを好きな人に貸し出しています。自分のPCからクリックするだけで参加できるので、社会貢献がしやすい活動ですね。

※分社前の集計値

桑本 今までは誰かが街角で募金を集めて再配分するといった仕組みがないとできなかったわけですよね。当社の場合だと、募金を集めるメカニズムがあり、必要な人へスピーディーに配分できるようになっていますよ。これもアイデア・エコノミーの1つの姿なんでしょうね。

長島 この他にも「HPE Earth Insights」という取り組みではHPEのビッグデータ技術やインフラなどを通じて世界中の熱帯雨林の画像や気候センサーのデータを集め、生物多様性を研究している方々がどこでも利用できるようにしています。従来の9倍のスピードで分析結果が出せるようになり、従来あまり見られなかったITと野生動物の保護が直接結びついた非常に面白い貢献になりました。

HPEも変わっている?

山中 ヒューレット・パッカードは2015年に2社に分社化しましたが、これもアイデア・エコノミーという変化に合わせたものです。どんな変化が起きていて、私たちエバンジェリストがどんなことをしているのかもご紹介したいと思います。

アイデア・エコノミー ITトランスフォーメーションエバンジェリストの桑本謙介氏

桑本 その昔、メインフレームからオープンシステムへアーキテクチャが変わりました。メインフレームは単一システムを長く使うアーキテクチャでしたが、オープンシステムではいろいろな端末を使いつつも、データはずっと使うといったように、ライフサイクルがバラバラのものが混在しましたし、公開された技術の利用からセキュリティの問題など発生するようになりました。つまりアーキテクチャが変わると、アーキテクチャに合わせた新しい運用設計を行わないといけなかったわけです。

 今は「第3のプラットフォーム」、HPEでは「New style of Business」と呼んでいますが、クラウドネイティブなアプリやビッグデータを利用して新しいビジネスを起こすといったことが起きています。実はこれもアーキテクチャの変化と言えるでしょう。オープンシステムは基本的に必要なシステムをソフトウェアやハードウェアで作るという考え方ですが、第3のプラットフォームではそれがどこにあっても関係ありません。

 アイデア・エコノミーの観点で言えば、ハードウェアの進化やクラウドサービスの登場によって新しいことができるようになったという見方もありますが、私は先にやりたいことがあって、今まで実現できなかったのができるようになったのだと思います。つまり、やってみたいということの方が極めて重要なんですね。そのやりたかったことが、今はいろいろなものを組み合わせれば、個人でも実現できるようになったということです。

アイデア・エコノミー ヒューレット・パッカード エンタープライズが提唱している“New style of Business”

 しかし、個人と企業は全く違うものです。HPEの「E」はエンタープライズを意味するので、やはりエンタープライズレベルできちんとサービスを提供していくべきだと考えています。サービスの組み合わせだけで実現するアイデアもありますが、エンタープライズレベルでサービスを提供するということは、アイデアを実現するだけでなく企業としての価値を創造し、競合よりも速いスピードで展開できるようにすることです。それを提供するのがHPEのミッションです。

 その鍵になるハードウェアはもちろん、ソフトウェアも極めて重要ですし、特にソフトウェア開発のプロセスを速くするというところはHPEがイニシアチブを発揮できる分野ですね。例えば、開発からテスト、デプロイ、運用とそれぞれを自動化してスピードアップすると、従来のように誰かに頼んでつくるよりも早くなります。HPEがアイデア・エコノミーへ具体的に貢献していることの1つでしょう。

山中 私が担当するハードウェアも似ています。一昔前なら、CPUやメモリがたくさん搭載できるのが良い製品だという世界だったのですが、実は「使いやすいかどうか」という重要なポイントが抜けていたんですね。製品がどんなに優れていても、誰も見たことがない特殊なOSを採用していて、そのOS上でしか動かないアプリケーションになら、使えないものになります。昔はわりとこういうことがありました。

 しかし、最近の製品は違います。私の愛する「Superdome X」(ミッションクリティカルプラットフォーム)という製品は、メモリ容量が12テラバイト(24テラバイト化を予定)、CPUが288コア搭載できますが、この上でWindows OSとWindowsのアプリケーションが動きます。これを「オートマ限定免許で乗れるF1カー」と呼んでいるのですが、オートマ限定免許でも乗れるので操作は難しくないのですが、車はF1マシンなんですよ(笑)。

 最近ではオンラインによる証券やFXを手掛ける企業がたくさんありますが、実は各社が使うアプリケーションのほとんどがWindowsなんですね。もとは金融マンだった人が休日にプログラミングを勉強して、Windowsでプログラムを作ったというケースなんですが、それを商用化したらどんどんシステムが巨大化してしまって、Superdome Xのようなマシンにそのまま載せて動かしているという具合なんですよ。

 CPUがいっぱい載るシステムは昔からありましたが、メインフレームやLinuxベース、UNIXにように“玄人”しか使えなったわけです。それがWindowsなど“素人”でも使えるようになったという変化もアイデア・エコノミーですね。アイデアを持っている人はたくさんいますが、それを使えるのは玄人しかいないと、結局はそのアイデアを生かせません。その間口を広げてもっと使えるようにしていくことが、とても大切だと実感しています。

エンタープライズの強みと弱み!?

桑本 まさに力技ですね。逆の視点も提示したいと思います。先ほど個人とエンタープライズの違いに触れましたが、もう1つの違いに例えばセキュリティがあります。当然ですが、セキュリティリスクは、やはり個人よりも企業のほうが圧倒的に大きいでしょう。個人の立場では自由に話せることも、企業の立場では責任が生じるので話せないことがあります。これもセキュリティリスクですね。

 企業が行うサービスにも責任が生じます。長島さんが紹介したEarth Insightsのような仕組みを個人が気軽に始めても、いきなりやめてしまったら困る人が続出しますよね。メールサービスや掲示板サービスでも同じでしょう。企業が何かをやめると大きなインパクトを与えてしまうので、出口戦略といったものを個人以上にきちんと考えておかなければ、その企業の価値を損ないかねません。

山中 リスクを分散させるということですね。その点は企業の強みだと思います。何かを提供するにあたってやるべきことは、個人でも企業でも一緒だと思いますが、個人が提供するものでセキュリティレベルを保てるのかというと、やはり限界があるでしょう。個人の作った家電製品で出火事故が起きたら、責任は取れないでしょう。それが企業にはできるわけですから、個人と戦うときの強みにもなると思いますよ。

桑本 逆に企業の弱点もあるでしょう。企業にはたくさんの人がいるので、何かを始めようという時に個人で好きなものを使えるようにしてしまうと、仮に1000人の企業なら、使うものの種類が数百パターンも必要で、それらをメンテナンスしなければなりません。

 個人なら自分の好きなものを自分の見える範囲で使えばいいのですが、例えば、企業で「良かれ」と思った技術などをボトムアップで採用してしまうと、大混乱してしまいますから、非常に危険です。そういうリスクを念頭にシステムやサービスを設計していかないと、いけません。

アイデアの種をどう見つける?

山中 アイデアをビジネスにするリスクが下がったり、そのためも投資も小さくなったりといった変化があるわけですが、企業の人にはどのようなインパクトがあると思いますか。

アイデア・エコノミー 環境エバンジェリストの長島洋子氏

長島 例えば、環境活用や社会貢献ではコラボレーションが重要な鍵を握っています。以前出席したリサイクルの国際会議では、発展途上国や先進国の政府担当者から企業の代表者、リサイクル事業者、銀行や投資機関、NPOやNGO、大学の研究者といったいろんな方が国境という枠を超えて議論していました。

 これからは個人が立場を超え、二足三足のわらじを履きながら仕事や環境活動、社会貢献活動に参加するといったことが、ますますやりやすくなるでしょう。それを支えるのが、モビリティを中心としたITだと思います。

 HPEでは社員がPCを持ち出して、どこでも仕事ができるという状況が日常的になっていますが、毎日出社しなくても集中的に業務をこなして、空き時間に社会貢献活動へ参加している人がたくさんいますし、私も児童養護施設出身者の支援で英語やPCの使い方を教えたりと、できる範囲で参加しています。

 そういった活動を通して、私たちが当たり前のように使っているITにまったく手の届いていない人が世の中にたくさんいることも見えてきました。このように個人が、「○○社の△△さん」ではなく、会社に所属したり仕事をしたりしながら、一人の人間としていろいろな活動へ参加していく。それが当たり前になっていくでしょう。グローバル化もますます重要になりますし、国内に閉じこもらず、世界と一緒に活動するということが広がっていくと思います。

山中 アイデア・エコノミーにおける「アイデアの種を見つける」部分として、モビリティは大きな要素ですよ。オフィスに閉じこもって仕事をしているより、ノートPCと携帯電話を持っていろんな所に出かけて、いろんな人と直接話をしながら仕事をしていく方が、アイデアの種を見つけやすいはずです。どこでもテレビ電話ができる時代に、直接人と会うことには大きな意味があるでしょう。人に会ったり、モノを直接見たりすることが、アイデアの種を作る源泉なのかもしれませんね。

アイデアの種がどうやって花になる?

アイデア・エコノミー 製造業向けサービス・情報活用エバンジェリストの吉見隆洋氏

吉見 私はかつて設計者の認知過程を機械学習(マシンラーニング)でシミュレートすることで、その性質を探る、という研究を博士論文にしました。昨今の盛り上がりは、当時からすると思いもよらないものですね。機械学習はAI(人工知能)の一分野ですが、AIブームは以前にもありました。その時は機械学習といったAIを活用したくても、データが足りなかったり、データを処理するために膨大な時間がかかったりといったことが課題でした。それに、もとになるデータを入力するためには、専門家にデータを整理したり、取り出しやすい方法を聞いたりしなければならなかったこと(知識獲得のボトルネック)が、これまでの挫折の原因の一つだと私は思います。しかし現在では、玉石混交ではあるかもしれませんが、以前と違ってデータや情報が既にあり、また、得る方法がさらに多様になることで、増え続けています。

山中 いわゆる非定型データですね。

吉見 非定型データだけでなく、IoT(モノのインターネット)で収集されてくる定型データもあります。収集できるデータの粒度や種類も細やかになり、分析や活用しようとする時の解像度が上がっています。今回のAIブームがブームというべきかはまだ分かりませんが、私が研究している頃に比べると、データ駆動(データドリブン)による加速、が一つの側面だと非常に強く感じます。

 例えば、「コップを取ってください」という人と、目の前のモノを指して「これを取ってください」という人がいて、同じ要求でも表現が違います。全ての場合を尽くしたプログラミングというのも不可能でした。現在は表現が違っても、データとして収集することが可能になってきています。データがあるので、そのパターンから「コレとコレは関連があるのでは?」と分析して活用できるようになってきているわけですね。

 このようなことが、ビッグデータやIoTといったバズワードになっているのですが、実測したデータや実際のモノから出てくるデータを人間がプログラミングしたり、入力したりせずに利用できるようになれば、「情報を知識として活用する」といったことが加速していくでしょうね。

山中 その究極の形の1つが自動運転なのですかね。

吉見 自動運転を実現するためにAIが注目されているのは、外界から得られる様々な情報を、どのように取り出し、運転に役立つようにするか、といった関心からですね。センサーフュージョンはもちろん、そこから判断というアクションを紐付ける必要も出てきます。

山中 自動車業界ではビッグデータの活用が進んでいるのでしょうか。

吉見 例えば分かりやすいのは、東日本大震災の時にどの道を通行できるのかという情報を最初にホンダさんがデータとして提供したことでしょうか。トヨタさんも日産さんもそれに続きました。各社とも保有しているカーナビの情報を提供することで、社会貢献を実現したわけです。データが活用され、貢献するすばらしい取り組みだったと思います。

山中 企業側からすると、このようにエンパワーできることはとても便利なことに思えますが、個人側からすると、どこか引っかかるところがありますよね。

吉見 情報でエンパワーするために、ビッグデータという言葉が広まったわけですが、この領域の本質は何かを定量的に観察できるようにするということだと思います。例えば、ある寿司屋が私の好みのネタを分かった上で、きちんとおもてなしをしてくれると、ちょっと高くても行きつけになりますよね。そのことを定量的にデータ化していくと、もしかしたら私と同じ嗜好を持つお客には、同じパターンのおもてなしができてしまうかもしれません。

 ただし、データで定量的に観察できる部分と、板前さんが持つ真のおもてなしの力には、あまりに差があり過ぎるので、まだまだ板前さんの世界には届かないとは思います。ネタ以外の当意即妙なコミュニケーションも、おもてなしの一部ですしね。

HPE自体が壮大な実験室?

 座談会を終えて山中氏は、「あまりカッコイイ話がなかったような気がしますね。ただ、理解いただきたいのは、私たち自身も企業の一つであり、いま悩みながら様々なことに取り組んでいるということです。今回の分社化もわれわれが悩みながら結論を出した大きな挑戦であると思っています。」と話す。

 エバンジェリストたちが紹介した数々の取り組みも、HPEが企業として現在進行形でチャレンジしていることであり、そこから悩みながらも見えてくるノウハウ、実はそのこと自体がHPEの強みではないだろうか。

 「私が一番好きなものは、ただのベンダーではなく、顧客のパートナーになる、という言葉です。一企業として成功したことも、失敗したことも含めて、我々が挑戦した様々なノウハウをお話することにより、お客様とともに一緒に変わっていきたいですね」(山中氏)

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提供:日本ヒューレット・パッカード株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2015年12月31日

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