マイクロソフト、国内企業向けにクラウド導入を支援
マイクロソフトは、クラウドの仕組みを取り入れたシステムの導入を支援するコンサルティングサービスを発表。3月1日に提供を開始する。システムの計画や設計を支援し、システムの導入やコスト削減の効果を算出する。
マイクロソフトは2月16日に記者説明会を開き、クラウドコンピューティングの仕組みを取り入れた情報システムの導入を支援するコンサルティングサービスを発表した。クラウドを取り入れる目的やシステムのアーキテクチャ(基本設計)を明確に定義し、追加開発の防止や正確なコスト効果の算出を支援する。システムの計画から運用までを手掛け、最短9週間でアーキテクチャの策定や計画の立案を行う。3月1日にサービスの提供を開始し、価格は840万円から。
コンサルティングサービスの名称は「ITAP for S+S」。情報システムの構築に必要なアーキテクチャや計画の策定を支援する。「計画」「設計」「導入・移行」「運用」というシステム構築の各段階について、データベースの管理やクラウドサービスの運用に長けた専門スタッフ「1〜10人程度」(マイクロソフト エンタープライズサービス コンサルティング サービス統括本部の畑義和氏)が導入計画を策定する。
必要に応じて、クラウドサービス提供基盤「Windows Azure Platform」やグループウェアの機能をオンラインで提供する「Business Productivity Online Suite」などのMicrosoftのクラウドサービスも取り入れる。ソフトウェアとサービスを相互に連携する「Software+Services(S+S)」と呼ぶ同社の強みを生かし、Windows Azureで構築した業務アプリケーションを自社運用のシステムで動かしたり、既存システムからクラウドサービスでの運用に適した部分を洗い出したりすることも可能としている。
「従来のシステム導入・移行では、データセンターの環境構築やシステムのテストに時間を費やしていた。クラウドサービスでは、テスト環境がすぐに用意できる」と畑氏。ITAP for S+Sでは特にシステムの計画に焦点を当て、日本企業が求める「SLA(サービスレベル契約)やセキュリティの確保、個別対応」などのニーズを満たしていく。企業は、既存システムを自社運用で使うか、クラウドの仕組みを取り入れるべきかを判断できる。
マイクロソフト エンタープライズサービス 執行役 常務の鳴坂仁志氏は「マイクロソフトが提供するSaaS、PaaS、IaaSを活用して、ITライフサイクル全般を支援する体制を整えた」と話す。同社では2010年を「クラウド元年」(同)と位置付け、企業向けサービスの強化を図る。コンサルティングサービスを手掛ける人員を、現状の50人から2011年6月末までに400人に増やし、3年間で300プロジェクトの受注を目指す。
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