「Google Appsとは別物」――マイクロソフト、クラウド型サービスでGoogleをけん制:1567円の低価格に自信
マイクロソフトはクラウド型サービス「Business Productivity Online Suite」の価格を発表した。先行する「Google Apps」に対しては、「コンシューマー起点ではなく、ExchangeやSharePointを企業向けに提供してきた実績がある」と強気だ。
「コンシューマー向けのサービスとして生まれたGoogle Appsとは別物と考えてほしい」。米Microsoftビジネス部門担当プレジデントのスティーブン・エロップ氏は、4月6日に開催された記者向けの会見で気勢を上げた。
マイクロソフトは4月6日、電子メールやグループウェアの機能をネットワーク経由で提供する「クラウド型サービス」の詳細を発表した。同分野で先行するGoogleの企業向けサービス「Google Apps」に対しては、「企業向けにExchangeやSharePointを提供してきた実績がある」とけん制した。
今回明らかになったのは、3月にマイクロソフトが発表した企業向けのクラウド型サービス「Business Productivity Online Suite(BPOS)」の価格とサービスを提供する時期。1ユーザー当たり月額1567円と低価格に抑え、4月中に正式サービスとして展開する。
BPOSとして提供するのは、(1)電子メールや会議室予約の機能を持つ「Exchange Online」、(2)ファイル共有やポータル機能を有する「SharePoint Online」、(3)インスタントメッセージングや在席確認ができる「Communications Online」、(4)Web会議やアプリケーション共有の「Live Meeting」の4サービス。
1ユーザー当たりの月額は、Exchange Onlineが1044円、SharePoint Onlineが757円、Communications Onlineが261円、Office Live Meetingが800円。BPOSとして4つをすべて採用する場合は価格を割り引き、月額1567円となる。250ユーザー以上のアカウントを取得する場合は、最大24%価格を割り引く。
為替変動などの外的要因でも価格は変えない見通し。「日本でのメールシステムの一般的な総コストは1200円程度」(マイクロソフト)とされる中、スイート製品をサービスとして安価で導入できる点を売りに、ユーザーの獲得を目指す。
価格帯やボリュームディスカウントの対象となるユーザー数について、先行するGoogle Appsと類似しているという声も上がっている。Google Appsとの差別化についてエロップ氏は「これまで企業向けに提供してきたExchangeやSharePointのノウハウがある」と声を絞る。電子メールやグループウェアをミッションクリティカルな情報システムととらえる企業が出ていることを例に挙げ、「企業向けに必要な拡張性やセキュリティを確保してきた実績がある」とBPOSの優位性を説く。
新たにBPOSを採用した製薬会社のGlaxoSmithKlineを最新の導入事例として紹介。従業員10万人がBPOSを使う環境を整備したという。「世界の100カ国以上で事業を展開する同社のITインフラをマイクロソフトのデータセンターが支えている」とエロップ氏。GlaxoSmithKlineでは、既存の情報システム運営に使っていた電力やデータセンターを効率化することで、コストを最大30%減らしたという。
「(クラウドコンピューティングの台頭は)PCの導入、クライアントサーバモデルの誕生、インターネットの本格展開と同様の変化を迎えている。(BPOSで)この手助けができることを誇りに思う」(エロップ氏)
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