インターネットの懸賞サイトが、にぎやかになってきました。でも、『プレゼントfan』という、紙のメディアを出している私たちは、実はインターネットを“脅威”だとは感じていないんです。その理由は、1つは収入が広告に依存している限り、健全なメディアとはなりえないと思っていることがあります。つまり、ビジネスモデルが見えてこないんです。そしてもう1つは、みんながプレゼントとか懸賞に応募するのは、“応募する楽しさ”を求めているからなんです。いまのインターネットにある懸賞サイトには、そこが不足しているように思います。たとえば応募ハガキに、イラストを描く人がいます。長々とメッセージを書く人もいます。ただ、画面をクリックするだけでは得られない、応募する楽しさが、そこにはあるわけです。皆さんも、そんな経験はありませんか。
とはいえ、どんな方法で応募するかは、各ユーザーの選択です。弊社でもケータイによる懸賞応募の雑誌を出しているくらいですから、とにかくカンタンに応募したいというユーザーも確実に多いと思います。ただし、簡便さを望むユーザーは細かい操作や入力さえ面倒に感じます。よりシンプルな応募形態を実現するためには、懸賞サイト側はよりいっそう、懸賞提供企業との関係を密にし、共同でサイトを構築するなどの工夫が必要でしょうね。
次に、応募することを楽しめるような企画が、もっと大切になってくるでしょう。たとえばゲームをしているうちに、いつの間にかその企業のことも知り、プレゼントにも応募しているとか。
さらに、もっと企業の温かみを感じさせる手法も、これから大事になると思います。協賛企業がプレゼントなどを用意するのは、いうまでもなくその企業のファンになってもらい、商品の売上を伸ばすことが目的です。カンタンに応募できる一方で、よりユーザーに提供企業への親しみを感じてもらい、その企業のコアなファンに育ってくれるような企画が求められていると思います。
また、iモードのような、日本独自の発想による新しいサービスがあってもいいですね。これまでのインターネットというのは、結局のところはアメリカの発想を、多少手直ししただけのモノがほとんどです。ネットショッピングにしても、広い国土ゆえに通販が当たり前のアメリカの発想が、店員とコミュニケーションし、タイムサービスの安売りを待つ日本の主婦に通用するわけがないでしょう。
そして、インターネットが広告ビジネスから脱却し、メディアとして独立するためには、たとえば応募1回100円とか、有料で提供できるだけの情報やサービスを用意できるサイトが出現することも、そろそろ必要になっているのかもしれません。企業と、そのお客様との橋渡しをしながら、同時にメディアとしての責任や独立性を醸成する……。ネット懸賞サイトは、そんなことを求められる時代に入ったように思いますね。
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