ワゴンの中で働きながら日本一周
究極のモバイルSOHOでさすらうデジタル旅芸人を追え!
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徒歩や自転車での日本一周も珍しくない中、車ならだれでもできると思われるかもしれない。しかし、長田一さんは車を使いながらも、ほかに類を見ないユニークな旅のスタイルを確立した。ノートパソコンとインターネットで愛車をモバイルSOHOに仕立て、ウェッブデザインをメインとするITビジネスをこなしながら日本一周を続けているのだ。故郷の沖縄をたって北上中の長田さんを、東京でキャッチした。
「ウェッブデザインのような物作りの仕事って、テクニックや専門知識だけじゃなくて感性の豊かさが求められますよね。その部分をもっと磨きたいと思ったんです。それには見聞を広め、いろいろな刺激に出合うことが必要なんじゃないかと……」
旅立ちの思いを、長田さんはこう語る。
「とはいえ仕事を放り出しては行けない。でも考えてみると、沖縄にいながら東京の会社の依頼も受けていたんですよ。つまりインターネットにアクセスできれば、どこでも仕事はできる。そう気がついたら、“これはイケる”という確信が持てました」
しかし移動によって生じるデメリットも少なくない。顧客には、その点も含めて事情を説明した。解約も覚悟していたが、幸い彼の意向は理解を得られたという。
「お客さんには本当に恵まれていると思います。だから新しく仕事を請けるときは、一度は直接お客さんと会うようにしているんです。僕はデジタルな仕事をしてるけど、デジタルってアナログに近づくために必死に精度を上げ続けてきた。やっぱり、どこか人間的なものを求めているんですね」
また長田さんは自らのホームページで、この旅をライブ感豊かに紹介している。
「ホームページへのメールがきっかけで出会った人もたくさんいます。自転車で日本一周をしている人にはキムチ鍋の作り方を教わったし、パソコンの具合を見てほしいということで立ち寄ったお宅では、ご飯をごちそうになったり。なんだか旅芸人みたいですね(笑)」
芸人といえば最近、三線の練習を始めたそうだ。「旅先で会う人にとって僕はある意味、沖縄県民の代表なんですね。なのに、沖縄についての質問に答えられないことがあって焦ったりする。三線の魅力も旅先の沖縄料理店で再認識しました」。この旅は故郷についても考え直す、いい機会になっているようだ。
旅のエピソードは尽きない。北海道で折り返して、また長田さんが東京に立ち寄ったら、ぜひ続きをうかがいたいと思う。
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これが究極のデジタルモバイルオフィス! |
長田 一さん
沖縄県出身・30歳。大阪で音楽業界の仕事に就いたあと、帰郷してフリープログラマーに。現在、愛車をSOHOに日本一周の旅を続ける |
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HONDAステップワゴンの後部座席を改造したモバイルSOHO。手を伸ばせば必要なものに届くという、コンパクトで機能的なレイアウトが魅力!
クリエイティブツールのメインはソニーのVAIO。いまや小さなノート液晶でのデザイン仕事にも熟達したという。ライブ感のあるホームページ作りに欠かせないデジカメと携帯電話、バックアップ用のDVDドライブも。通信環境はAirH"(128Kbps)
ラゲージスペースはワードローブ兼ガレージ。スーツと革靴は、旅先での友人の結婚式で活躍した。ベッドの下には携帯発電機も完備している
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