P2Pは、インターネットの利用法を変える革命的なテクノロジーだが、著作権および著作隣接権が侵害され、違法なファイルが瞬く間に世界中に広まってしまう。これは、著作物をコピーして販売する行為に比較して、はるかに大きい影響をレコード業界に与えるもので、もう放置しておける状態にはない。第三者の著作物をアクセス可能にする「送信可能化権」の侵害は違法行為で、刑事罰(3年以内の懲役または300万円以下の罰金)の対象となる。違法行為を働く人間は間違いなく法律で罰せられるべきだし、権利の侵害を幇助(教唆)し、違法行為を野放しにしている日本MMOの責任は大きいと考えている。
同社は「ログを取っていない」と主張しているが、違法なファイルが流通していることはファイルローグを立ち上げてみてみれば明らかであるし、センターサーバがあるのにもかかわらず、「どういうファイルが共有されているか分からない」という言い逃れは全く通用しない。現在法的措置に向けて検討中だ。
11月22日衆議院本会議で可決・成立した「プロバイダー責任法」(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律)では、ネット上での権利侵害トラブルにおけるISPなどの損害賠償責任を制限している。同法律では、権利侵害の被害が発生した場合であっても、その事実を知らなければプロバイダーは被害者に対して賠償責任を負わなくてもよい(ノーティス・アンド・テイクダウン)としている。同社はこれを誤解し、「ログを取っていないから、違法ファイルの存在はつかめない」と主張すれば責任を逃れられると思っている。しかし、明らかな権利者、例えばJASRACなどの著作権団体から権利侵害が行われていると通知された場合は、速やかに削除すべきだ。さもなくば、権利侵害されたファイルは、最長1カ月間放置され、その間に世界中に違法ファイルをバラまき続けることになる。これでは、創造のサイクルが崩壊し、交換する中身である著作物自体がなくなってしまう。音楽は正しい方法で求め、好きなアーチストを応援することによって、日本の音楽シーンは豊かなものになる。
法務部国際担当部長の今村二郎氏。「日本MMOは、逮捕されるべきはユーザーで、彼らが何をしていても責任を負わないと主張しているにすぎない」と、同社を厳しく批判する 日本レコード協会 www.riaj.or.jp