IP電話のメリットや仕組み、サービス内容について詳しく紹介してきたが、まだまだIP電話に対して疑問や不安を抱いている人は多いだろう。
また、IP電話の技術自体が発展途上にあるため、さまざまな規格や仕様が次々に登場している。例えば、総務省がIP電話に「050」の識別番号を割り振ると発表したが、「050」が使えるようになると、今のIP電話はどのように変わるのだろうか。さらには、IP電話でやり取りする音声データのパケットは盗聴されないのだろうかという疑問もあるだろう。
そこで、ここではIP電話全般に関して、みんなが気になっていることを解明しよう。
IP電話で音声通話できるのであれば、同様にIP電話でFAXを送信することも可能なのでは? と考える人も多いだろう。しかし実際には、IP電話を利用したFAXの送信を正式にサポートしているサービスは、意外に少ないのが現状だ。個人向けのIP電話サービスの中では、BBフォンがサポートしているくらいで、ほとんどのサービスは未対応となっている。
しかし、業者が未対応としている場合でも、実際にはおおむねIP電話を利用して送信できるようだ。ただ、IP Talkやネットボランチなどは、回線の音声品質によっては使えないこともあるという。試してみてうまくいくようであれば問題ないだろう。
また、アクセスポイントに電話をかけるタイプのIP電話サービスでも、FAXはサービス対象外となっていることが多い。ただし、通話可能な状態になってからFAXを手動で送信することは理論上可能だ。しかし、こちらの場合も回線品質などによって、うまく送信できない場合があるので、あくまでも自己責任で試してほしい。
IP電話は、インターネットというオープンな環境を利用して通話するサービスだ。インターネットには、音声以外のデータもごちゃ混ぜになって流れているため、パケットが盗聴されるのではないだろうか? といった心配をする人もいるはずだ。しかし、現在のIP電話サービスにおいてはその危険性はほとんどないといっていいだろう。
特定のネットワークやサーバを経由していれば、パケットを傍受することは可能かもしれないが、IP電話は通話相手と直接データをやり取りするプロトコルになっているため、転送されるパケットがどのような伝送経路をたどるか、特定するのが難しくなっているのだ。そのため、データを入手することすら困難な仕組みといえる。
仮にパケットを傍受できたとしても、バラバラになった細切れの音声データが一部だけ手に入っても全く意味がない。こうしたことから、IP電話の盗聴はほとんど不可能だとされている。
ただ、IP電話が普及し、利用者が増えることによって、現在のインターネット環境と同様に、セキュリティ問題が深刻になる日がやって来るかもしれない。新手の方法による盗聴や改ざん、なりすましということも考えられるので油断はできないが、IP電話のインフラ環境が整うと共に、セキュリティ技術も高まっていくものと予想される。