6円電話でおなじみのメディアや、全国一律低料金のサービスを提供しているフュージョン・コミュニケーションズなどの電話会社は、IP技術を利用することで通話料を安くしている。メディアは、光ファイバーなどの高速インターネット技術と従来の電話技術を組み合わせ、新しいネットワーク環境を構築することで、低価格な電話サービスを提供している。また、フュージョンも、自社の保有する全国IPネットワーク網を基盤として通信事業を展開している。
いずれも専用IPネットワークを活用し、VoIP技術を取り入れることで、従来の電話交換機による電話サービスと同等のサービスを提供している。
現在のIP電話は、一般加入電話のような地域識別番号がないため、一般加入電話からIP電話へ発信することができなかった。また、IP電話から携帯電話へ発信すると発信番号が非通知になってしまったり、異なるIP電話サービス間では通話ができないという問題がある。
そこで、総務省はIP電話に全国一律の「050」で始まる11桁の番号を割り当てる「電気通信番号規則」を発表した。「050」に続く4桁の数字は、各電気通信事業者を識別するコードとして用いられることになっており、既に申請を行っている事業者もある。この規則改正により、NTTの交換機がIP電話の電話番号を認識できるようになるため、一般加入電話や携帯電話とIP電話の間でシームレスな通話が可能になるのだ。
しかし、実際に「050」を使用できるようにするためには、NTTの交換機のプログラムを書き換えなければならず、すぐに対応するのは難しいとされる。このため「050」が使えるようになるには1年ほどかかる見通しだ。
また、IP電話の通話品質に最低基準を設けるため「IP電話の通話品質評価法」による基準を制定。IP電話の品質指標として、エコーや音声の遅延、ゆがみ、途切れなどを算出する。今後この評価による最低基準値を設け、サービスを提供する事業者が通話品質を維持するための目標値にするという。