もちろんUV-Cライトを照射したからといって、すぐにバクテリアが死滅するわけではない。まずバクテリアに対して紫外線が有効に働く線量(線量=放射照度×照射時間)を割り出し、それを満たす形で製品に実装しなければ意味はない。そこでダイソンは英国本社の微生物研究所で実験を重ね、水に約3分間、直接UV-Cを照射すればバクテリアが99.9%除去できることを実証した。
では、その3分間を確実に確保するためにどうするか。タンクの水は、溝状の流路を通って圧電変換器の設置されたプールへと流れ、超音波でミスト状に分解される仕組みになっているが、まず流路とプールの両方にUV-Cを照射できる位置にライトを組み込み、2回の除菌が行える形にした。
圧電変換器の設置されたプールは水がたまる場所のため、しっかりとUV-Cを照射するのに向いている。ただし、水の流れがないと、仮に微細なホコリなどが浮遊していた場合、そのホコリの影になった部分にはUV-Cが照射できず、除菌できない部分が生じる可能性もある。わずかでも除菌できない場所が発生するのは問題だ。
そこでAM10では、圧電変換器を1秒間に170万回という速度で超音波振動させることで、水を微粒子に分解すると同時に、ゆるやかにプール内に対流を起こす。超音波振動を併用することで、すべての水に均等にUV-Cライトを照射し、除菌する仕組みになっている。
またAM10は、電源をオンにしてから3分間はミストを放出しない。これもUV-Cの照射時間をかせぐためであり、安全な水を作っている証拠といえるだろう。なお、UV-Cライトの寿命は約4万1000時間となっているため、一般的な家電製品の寿命である10年程度は交換する必要はない。
加湿器が抱えるもう1つの課題は、室内をいかに均一に加湿するかという点だ。ミストが放出されるだけなら、空気より重いミストは遠くまでは届かず、本体周辺に落ちて、そのあたりが湿っぽくなるだけ。そこでダイソンが活用したのは、“羽根のない扇風機”でおなじみの「Air Multiplier(エアマルチプライアー)™テクノロジー」だった。
「Air Multiplier(エアマルチプライアー)™テクノロジー」については、テクノロジー解説<2>に詳しいが、この技術を用いるにあたり、AM10には大きなポイントが1つあった。ループの内側にスリットが2つ設けられていることだ。
圧電変換器によってミスト化された水は、専用の通路を通ってループに入る。ループ内には圧縮された空気が通る道とミストが通る道が個別に用意されていて、ループ内側の前方にミストの噴出口、後方に送風口が設けられている。エアマルチプライアー技術によって後方の空気を巻き込んだ風がミストをも巻き込み、遠くまで届ける仕組みだ。
またAM10には、「インテリジェントサーモスタット」と「ヒューディミスタット」が搭載されている。室温に対して人が最も快適に感じる湿度を自動的に計算し、ミスト放出を調整する仕組みだ。例えば室温が25度であれば約40%、20度であれば約50%に自動調整する。ユーザーは「オート」モードにしておくだけで、快適な環境が維持できる。
冬場は寝る時も加湿器を付けっぱなしという人も多いことだろう。そんなとき、一番気になるのは駆動音だ。
「AM10」は、独自のブラシレスモーターで効率的に大風量を生み出しつつ、モーターの重心を下げてバランス良く配置することで振動が起きないように配慮している。風の通り道は空気の流れを妨げて“乱気流”が起きないように滑らかなカーブで形成し、ボディーの底には吸音クッションを設けた。全体が音響工学に基づく静音設計になっているわけだ。
ダイソンは音響室で「AM10」のテストを繰り返し、大きな駆動音はもちろん、特定周波数のピーク音も排除し、人間の耳に心地よい音を実現した。そうした努力が認められ、国際的な騒音防止団体から「Quiet Mark」の認証を受けている。
なお、タンク容量は3リットルで最長18時間の連続運転が可能になっているため、一晩中動かしても水がなくなることはない。安心して朝まで使い続けられる。
人は1日のうち90%以上を室内で過ごし、1日2万回以上も呼吸するといわれている。だからこそ、室内の空気には気を使わなければならない。“Dyson Hygienic Mist™”「AM10」は、快適な室内環境に“安心”を加えることのできる希有な加湿器といえるだろう。
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提供:ダイソン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia LifeStyle 編集部/掲載内容有効期限:2014年11月30日