ダニが減らなくなった?――現代住宅に潜むアレルゲンの実態専門家が推奨する秋掃除とは(1/3 ページ)

エフシージー総合研究所とダイソンが共同で行った調査により、断熱性や気密性に優れた現代の住宅は、アレルゲン生物の生態にも影響を与えていることが分かった。調査を主導したエフシージー総合研究所の川上裕司博士にその傾向と対策を聞いた。

» 2015年08月31日 10時00分 公開
[PR/ITmedia]
PR

 日本人の3人に1人が持っているといわれるアレルギー疾患。アレルギーというと食べ物や花粉を思い浮かべる人が多いかもしれないが、最も多いのは家の中にある塵やホコリ――いわゆるハウスダストに起因するものだ。そして最新の研究により、断熱性や気密性の高い現代の住宅は、ハウスダストに含まれるアレルゲン生物の生態にも影響を与えていることが分かった。

ダニが減りにくくなった現代住宅

エフシージー総合研究所の川上裕司博士

 環境生物学と昆虫病理学を専門とするエフシージー総合研究所暮らしの科学部部長の川上裕司博士(以下、川上氏)は、2014年の春から秋にかけ、ダイソンと協力して日本の現代住宅におけるハウスダストの実態を検証した。首都圏に住む一般家庭38世帯で寝具および寝室の床から季節ごとにハウスダストを採取し、そこに含まれるダニや小型昆虫、菌類といったアレルゲン生物を分析。現代の住環境とアレルギーの関連性を明らかにするのが目的だ。

 まず、ダニは全ての家庭から検出された。都市部に住む人なら100%という数字にまず驚くかもしれないが、川上氏が着目したのはその内訳だ。ほとんどがコナヒョウヒダニと呼ばれる種類で、寝具では94.8%、床では95.8%を占めた。次に多かったヤケヒョウヒダニはそれぞれ4.6%、1.6%とコナヒョウヒダニより圧倒的に少ないものの、この2種類で大多数を占めている。

都内にあるマンションの7階に住む被験者宅から見つかったコナヒョウヒダニ

 「高度経済成長期(1950年代後半〜1970年代前半)に行われた調査では、一般の住宅から10種類程度のダニが検出されていました。しかし今回は多くても5〜6種類。ダニの種類は減っています」(川上氏)。高度経済成長期といえば、鉄筋コンクリート製のモダンな“団地”に憧れる人が多かった時代。裏を返せば多くの住居は木造で、気密性を高めるアルミサッシを使っている家も少なかった(アルミサッシの1960年代後半から本格普及)。

 住環境の変化はダニの種類を減らしたが、実は喜んではいられない。なぜなら残ったコナヒョウヒダニとヤケヒョウヒダニはアトピー性ぜんそくなどアレルギー性疾患の直接の原因になる、アレルゲン生物の中でも“最重要種”とされる種類だからだ。

実際の検証方法。吸引力に定評のあるダイソンのハンディ掃除機「DC61」で寝具の決められた部分を掃除し、集めたゴミを採取。袋詰めにして研究所に送付した

 もう1つの大きな成果は、「秋になってもアレルゲンが減らず、むしろ増える傾向にある」という川上氏の説が裏付けられたこと。ダニは、温度が25度を超え、湿度が70%以上の場合に繁殖しやすく、夏に繁殖したダニも気温と湿度の下がる秋には減るといわれていた。しかし現代の住環境は高断熱性、高気密性。さらに気温が下がれば暖房をかけ、乾燥すれば加湿器を出す。それを裏付けるように、検証では秋に採取したゴミからも夏と同等か、それ以上のダニ抗原が見つかった。

 「日本の住宅は“冬、寒くない”という方向に特化して変わってきました。その結果、アレルゲン生物が繁殖しやすい環境になっているといえます」(川上氏)

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


提供:ダイソン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia LifeStyle 編集部/掲載内容有効期限:2015年9月13日