ダニが減らなくなった?――現代住宅に潜むアレルゲンの実態専門家が推奨する秋掃除とは(2/3 ページ)

» 2015年08月31日 10時00分 公開
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カビも繁殖しやすい現代住宅――24時間換気システムにご用心

 今回のハウスダスト調査では、ほとんどの家でカビ(真菌)や胞子も検出されたが、これも危険信号の1つ。例えば浴室でよく見るクロカビや、どこにでも存在するといわれるコウジカビの一部も実はアレルゲンだという。空気中を漂う胞子は目に見えず、知らないうちにカビが繁殖していることも多い。住人は意識せずに暴露(アレルゲンにさらされること)することになる。

同じ被験者宅で見つかった真菌(カビ)。ハウスダストから培養したもの

 「アレルギー疾患には、花粉症のように大人になってから発症するケースが多いものありますが、家の中にあるカビによって引き起こされるアレルギー症状もいつ発症するか分かりません。子供の頃に発症し、成長とともに直る人も多いのですが、逆に中年以降になって発症すると長引く傾向にあります」(川上氏)

 有効なカビ対策は“換気”だ。しかし、ここでも現代住宅の高気密性が課題になるという。「昔の住宅は閉め切っていても多少は風が通ったものですが、現代の住宅はそうではありません。例えば夏場に外出している間、家の中は高温・多湿になり、カビが繁殖しやすい。帰宅したときに外が暑いからといって換気をせずにエアコンをつけると、カビが充満している中で生活することになってしまいます。日常生活で暴露する中で蓄積され、ある日、突然発症することもあります」(川上氏)

アレルギー疾患の一番の原因はハウスダストに含まれるアレルゲン(出典:エフシージー総合研究所)

 1990年代に問題となったシックハウス症候群を背景にして2003年には24時間換気システムの設置が義務化されたが、それはあくまでもホルムアルデヒドなどの化学物質を前提にしたもの。カビに着目すると運用面に疑問があると川上氏は指摘する。「24時間換気システムは、ダクトやフィルターのメンテナンスをしないと逆にカビが繁殖する場所になりかねません。例えばマンションの補修メニューにダクトの掃除が含まれているのか。個々にチェックする必要があります」

 快適さを重視して断熱性や気密性を高めてきた現代住宅は、アレルゲン生物にとっても繁殖しやすい環境になっていた。建物だけではなく、寝具はベッドが中心になってアレルゲン生物に格好の住処を提供し、冷暖房の普及は結露によるカビ増殖という危険性もはらむ。現代のライフスタイルそのものが、ことアレルギー予防の視点から見ると多くの課題を抱えていることが分かる。

合理的な“秋掃除”のススメ

 近年、アトピー性皮膚炎や花粉症、気管支ぜんそくといったアレルギー性疾患を抱える人は増加傾向にある。「以前は5〜6人に1人だったのが、近年は2〜3人に1人。シルバー世代でも増えています」(川上氏)。アレルギーの予防は世代を問わず必要だ。では、どのような対策が有効なのか。

 川上氏は、ダニを原因とするアトピー性皮膚炎治療の第一人者として知られる医師・中山秀夫氏が20年ほど前に行った「抗原除去治療」に衝撃を受けたという。抗原除去治療は、アレルギーの原因を生活環境から徹底的に排除するというもの。例えばダニアレルギーなら、ダニが多く潜んでいる畳の部屋をなくし、カーペットもすべてフローリングに変える。ソファーは合成皮革に張り替え、ふとんも防ダニ性能の高いものを選ぶといった具合に大胆な環境改善を行う。

 「当時は誰もそこまで考えていませんでした。しかし、中山先生がアトピー性皮膚炎の重症な患者さん33例で環境改善を行ったところ、実に31例で症状が改善したそうです。もちろん症状が改善しても病気が治ったわけではありませんが、ダニの極めて少ない住環境を作ることができれば日常生活には支障ありません。いかに環境改善が重要か、分かるでしょう」(川上氏)

 現在は発症していない人でもアレルゲン(アレルギーの原因物質)は可能な限り遠ざける。そのためには、日常的に掃除がしやすい環境作りと換気を行い、生活空間におけるアレルゲン暴露のリスクを減らすことが重要だという。

 「そこで提案したいのが、“秋掃除”です。ダニなどのアレルゲン生物は夏に増え、死んで乾燥すると微細な粒子となってアレルゲンになります。大掃除というと年末のイメージかもしれませんが、冬場に持ち越してはいけません」

 川上氏のオススメは気候の良い10月。窓を全開にしても寒さはなく、空気が適度に乾燥していて大物を洗濯してもすぐに乾く。さらに水も冷たくないため、ふき掃除もできるなどメリットが多い。「本当の大掃除は秋に済ませ、年末は神様を迎える準備だけにしましょう」(川上氏)


 最後に暴露リスクの高い場所を掃除するときのポイントと対策を聞いた。秋の大掃除や日常生活の参考にしていただきたい。

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia LifeStyle 編集部/掲載内容有効期限:2015年9月13日