本当のスマートホームにスマホはいらない――米iRobotのコリン・アングルCEOが語る“5年後”
「ブラーバ ジェット260」など3つの新製品をリリースして2016年のロボット掃除機ラインアップを完成させた米iRobot。8月4日に都内で行われた発表会では、同社のコリン・アングルCEOが登壇し、5年後のビジョンを示した。軍事ロボット部門を切り離し、コンシューマー向け製品に注力することになった同社は「本当の意味のスマートホーム」(同氏)を目指す。
最初にコリン・アングルCEOが紹介したのは、ある家の1日を紹介する未来のストーリーだ。朝、人が目を覚ます頃になるとエアコンや照明が動き出し、部屋の中は明るく、快適な温度になる。起床時間になるとセキュリティロボットの「ジーブス」は子どもを起こし、昨日どこかに置いたままにしていたバックパックを見つけてくる。
住人が出かけると掃除ロボットや芝刈りロボットが作業をはじめ、ジーブスも家の中の巡回を始める。ペットの犬(スポットという名前)が外に向かって吠えているなど、普段と異なることがあれば住人にメールを送る。
夜になると照明が点灯し、エアコンが作動して快適な環境に。住人が帰宅するとジーブスはお出迎え。「今日、スポット(飼い犬)は何してた?」と聞くと、ジーブスは昼間撮影した写真を見せてくれる。
「このストーリーの中では、1回も携帯電話を取り出すことがない」とコリン・アングル氏。現在は、IoTやコネクテッドホームを語る上でユーザーインタフェースとなるスマートフォンの存在は欠かせないが、それは通過点に過ぎないという。「アプリを使うデバイスは、いわば第1世代。機能としては十分ではない」。事実、アクセンチュアの調査によると、IoTデバイスユーザーの83%が不満を持っているという。なぜなら、「照明をつけるなら、スマホを取り出してアプリを立ち上げるより、壁のスイッチを押すほうが早いからだ」(同氏)
第2世代のIoTは、プログラムを作って各デバイスを連携させること。例えば「If~then」といった構文を使って条件を設定し、各種センサーやデバイスを連携させる手法が挙げられるが、「これも問題がある。なぜならプログラミングは煩雑で、ユーザーは避けるようになるからだ」。コリン・アングル氏は、時刻設定すらされずに放置されているビデオデッキなどを例に挙げ、「人はすぐに自動設定を求めるようになる」と指摘した。
第3世代のスマートホームになると自動化が進み、人は普段通りの生活を送るだけでいい。その秘密は、住人が出かけている間に家の中を動き回っていたロボットたち。それぞれが家の中をマッピングして毎日アップデートすることで、どこに何があるのかを把握し、照明やオーディオ機器など宅内の各コネクテッドデバイスの動作まで確認する。「IoTのカギはデバイス同士をつなげることではなく、デバイスをどのように管理するかだ」。その役割をロボットが担い、各デバイスと連携することで「家そのものがロボットになる」という。「スマートホームが適切に対応するため、人に運用や管理の複雑さを感じさせない」
ロボット技術を持つiRobotなら第3世代スマートホームの中核となるホームロボット分野でリードすることができるはずだが、そのために必要なのはテクノロジー企業として市場のリーダーという地位をキープし続けることだというコリン・アングル氏。「iRobotは累計1500万台のロボットを販売してきた。現在の掃除機市場に占めるロボットの割合は20%ほどだが、その大半がルンバだ」
そして同社のロボットは、いずれ全てコネクテッドデバイスになるという。新しい「ブラーバ ジェット260」はWi-Fiを内蔵してネットワークにつながり、ルンバ 800シリーズの後継機として登場した「ルンバ960」も同様。ほかのデバイスを管理する機能などは持たないが、少なくとも2016年のラインアップではミドルレンジまでコネクテッドデバイスになっている。
「われわれは本当の意味のスマートホームを提供したい。マッピングやナビゲーションなど必要な技術に注力することで、イノベーションは加速するだろう」(コリン・アングル氏)
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