液晶で満足ですか？ 画質の基準を変えた「有機ELテレビ」の真価とは：教えて、怜士先生！（1/3 ページ）
テレビの買い替えに悩むモデルの初音さんにAV評論家の麻倉怜士氏が最新テレビ事情をレクチャー。有機ELテレビと液晶テレビの違いとは？ HDR（ハイダイナミックレンジ）で何が変わる？ ぜんぶ解き明かします。
“画質の鬼”ことAV評論家の麻倉怜士氏。AV業界では畏敬の念を込めて「先生」などと呼ばれているが、実は津田塾大学や早稲田大学で教鞭を取る正真正銘の「先生」でもある。そんな麻倉氏の元に、テレビの買い替えを考えているというモデルの初音（はつね）さんが相談にやってきた。
なぜか普段以上に機嫌の良い麻倉氏が持ち出したのは、LGエレクトロニクス・ジャパンの65V型有機ELテレビ「OLED 65E6P」。まだあいさつも交わしていなかったのだが、初音さんはテレビを一目見るなり驚きの声を上げてしまった。
初音：なんですか、この薄さ！ これ、テレビですか？
麻倉氏：薄いでしょう。まるで1枚のガラスの上に映像が映し出されているようなスタイルです。約3mm厚の強化ガラスに3.4mmの有機ELパネルを一体化させています。
麻倉氏：後ろもきれいですよ。ほぼガラスの1枚板ですから、シンプルで素晴らしいデザインになっています。これはLGエレクトロニクスの高級ラインの特徴でもありますが、前面だけではなく、後ろ側もしっかり考えてデザインしています。もう機械というより、工芸品か美術品のようですね。これなら部屋の真ん中にも置けます。
初音：こんなの、今まであったんですか？
麻倉氏：なかった、と言っても過言ではないでしょうね。バックライトが必要な液晶テレビでは、ちょっと考えられなかった薄さです。有機ELテレビだからできたデザインといえます。
初音：これ、液晶テレビじゃないんですか？ 私、液晶テレビとその前の四角いテレビくらいしか分かりません。
麻倉氏：ブラウン管テレビですね。2000年くらいまでは主流でしたが、プラズマテレビと液晶テレビが出てきて現在は液晶テレビが普通になっています。有機ELテレビはその後に登場して“第3のデバイス”と言われていました。最新の技術なんです。
初音：どう違うんですか？
麻倉氏：プラズマ以降のテレビは、基本的に小さな点のような“画素”が集まって画面を作り出しています（＝固定画素）。「フルHD」とか「4K」といった言葉は聞いたことがあるでしょう。あれは画素の数のことで、“画面の細かさ”を表現しています。
液晶と有機ELは、その画素を作ったり、映像を表示したりする仕組みが違います。液晶というのは、電気をかけると“ねじ曲がる”という性質を持ったデバイスで、それ自体は光を出しません。後ろから光をあて、1つ1つの画素がそれを遮断したり、透過させるといった動きを繰り返して映像を表現しているんです。このため、液晶パネルとは別に「バックライト」と呼ばれる光を出す部品が必要になります。
バックライトには蛍光灯に近い「冷陰極管」や「LED」を使います。これらは照明にも使われるくらいですから強い光を出すことができます。液晶テレビは明るく、経済性が高く、大画面化……大きなサイズを作ることも比較的容易でした。
初音：だから一般的になったんですね。
麻倉氏：その通り。ただ、構造的に不利な点もあります。例えば視野角。後ろから来た光を透過する構造なので、液晶パネルから出た光は正面にしか進みませんよね。すると横からテレビを見ている人に光が十分に届かず、映像がぼやけて見えたり、色が変わってしまったりするんです。そうしたテレビのことを「視野角が狭い」と言います。
初音：横からテレビを見ると変な感じに見えるのは、そういう理由だったんですか
麻倉氏：このテレビを横から見てください。普通にきれいな画が見えるでしょう？ 家族でテレビを囲むときにも全員がきれいな映像を見ることができて不自由を感じないと思います。
初音：ホントだ。すごくきれいですね。
麻倉氏：ほかにも液晶パネルは映像がすごく早い動きをしたときに追いつけずに動きがぼけて見えてしまったり、黒い部分が十分に黒くならなかったり、といった難点があります。液晶テレビの場合、後ろからくる光を液晶が遮断したときに黒くなるのですが、それが不十分だと横から光が漏れてしまうんですよ。すると黒が黒く見えません。
初音：有機ELテレビは違うんですか？
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アイティメディア営業企画／制作：ITmedia LifeStyle 編集部／掲載内容有効期限：2016年11月28日
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