「nuroモバイル」の戦略を聞く 「5時間」プランの手応え、「0 SIM」の現状:MVNOに聞く(3/4 ページ)
2016年10月からMVNOのブランドをリニューアルし、「nuroモバイル」を提供しているソニーネットワークコミュニケーションズ。2017年2月には5時間プランの提供も開始した。「0 SIM」と合わせ、nuroモバイルの戦略を聞いた。
0 SIMは速度が落ちてきているが……
―― 容量別プランと5時間プランは、同じ帯域を共有しているのでしょうか。
細井氏 時間プランと容量プランは分けた形でコントロールしています。ただ、細かくコントロールしてはいますが、結果として同じ形にはなっています。当然2GBプランだから遅くてもいいというわけではなく、全てのお客さまに、同じ品質でお使いいただけることが基本です。
―― といっても、さすがに0 SIMは違いますよね。
細井氏 そうですね。
―― 0 SIMは開始当初と比べると、速度も落ちてきている印象があります。
細井氏 以前はお客さまが少なく、スピードもある程度出ていましたが、今はたくさんの方に使っていただいていて、正直なところ混んでいます。ただ、0 SIMは初期費用を除くと、500MBまでは無料でお金をいただいていません。そこはさすがに、お金をいただいているお客さまと同等の品質をご提供することができません。他のプランと同じような意識で申し込まれて、スピードが出ないとお叱りをいただくこともありますが、0 SIMは、バックグラウンド通信だけに使ったり、2台目、3台目、4台目や、スマホではないものに挿すかもしれないというニーズを踏まえて作ったものです。
―― 利用動向に変化はありましたか。
細井氏 先日、音声定額も使えるようになりました。そういう意味では、データをほとんど使わず、電話を使うという方も申し込むようになっています。田舎に住むおじいちゃん、おばあちゃんに渡すようなときでも、2GBプランだと2200円になりますが、0 SIMだとそこまではかかりません。
松井氏 0円でデータを500MBまで使うという方が中心でしたが、2月から変わりました。LINEのテキスト程度しか使わないという方にもお申し込みいただけるようになり、音声の比率がグッと上がりました。音声プランにして、5分のかけ放題を付けても、1500円ですからね。
細井氏 スマホにSIMを挿すと、絶対に通信してしまいます。他社ならそのために従量制のプランに入らなければならないのですが、0 SIMはその必要がありません。もし500MBを超えてしまっても、従量でお金がかかるだけです。ほとんどデータを使わないような方にも、いいのではないでしょうか。
―― 回線数でいうと0 SIMが多いと思いますが、これはカウントを分けているのでしょうか。
細井氏 0 SIMの数は多いですね。ただ、直接の獲得はやっていませんし、解約抑止もしていません。使わなければ、自動的に3カ月で解約になります。その意味では、月額課金しているお客さまと同じようにカウントするのは、よくないと思い、別々に発表しています。
―― 速度が落ちてきているというお話がありましたが、帯域の増強はしているのでしょうか。
細井氏 地道にやってはいますが、目に見えるほどにはなっていないかもしれません。正直、お昼の時間帯や皆さんが遅くなると思われている時間帯は苦しいですね……。
―― 500MBに収まってしまうと料金はかかりませんが、これで大赤字ということはないですよね。
細井氏 詳しいことはお話できませんが、苦しいことは確かです。ただ、まずはモバイルサービスの入り口として、0 SIMを使っていただければと考えています。0 SIMは単体で見ているわけではなく、nuroモバイル全体でお客さまにどうお使いいただき、力を発揮できるか。ちょっと苦しい状態ではありますが、ニーズもあります。そのニーズにお応えしながらも、通常の月額課金のプランをお使いいただければと思います。
松井氏 ただ、いわゆる1GB刻みのプランから得られる収益で、0 SIMの赤字を埋めているというようなことはありません。そういったところは、帯域の太さに影響が出ています。(サポートに)お電話いただいたときは、その辺もきちんとお話しています。
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