ドコモの値下げで加速するスマホの「分離プラン」 その功罪を整理する:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
ドコモが2019年第1四半期に、携帯料金を2〜4割値下げすることを予告。その軸になるのが「分離プラン」だ。そのメリットや副作用はどこにあるのか。
auは既に分離プランを導入済み、ソフトバンクはY!mobileにも拡大
分離プランで料金値下げに踏み込もうとするドコモに対し、KDDIは静観の構えをみせる。auピタットプラン、auフラットプランで既に分離プランは導入しており、楽天との提携を発表した決算説明会では高橋誠社長が「われわれはドコモさんより一歩先に、“宿題”を済ませている」と語り、すぐに追随する可能性を否定した。分離プラン導入以降、既に3000億円程度の減収になっているといい、料金も3割程度は下がっている。
ソフトバンクも同様の見解を示す。ソフトバンクグループの孫正義社長兼CEOは、「端末とサービス(通信料)を分離すべきというご指導が政府から行われているが、私どもは即刻そのご指導に対応し、真っ先に端末価格とサービスが分離したプランを打ち出した」と語る。
これは、auの約1年後に導入された「ウルトラギガモンスター+」と「ミニモンスター」を差した発言だ。真っ先かどうかは見方が分かれるが、分離プランを主力に据えていることは事実といって差し支えないだろう。新料金プランは、「分離型を導入したことで、2〜3割程度、料金が下がっている」(ソフトバンク宮内謙社長兼CEO)と、値下げ幅もauとほぼ同じだ。
さらに孫氏は、ウルトラギガモンスター+で「パケット単価」が大幅に下落していることをアピール。「1GBあたりの単価は、競合他社の半額から3分の1」と力説したうえで、「無料(ゼロレーティング)の動画やSNSや、全体のトラフィックの43%に相当する。それを私どもは0円で提供する。実質4割引きでギガ単価を計算すべきだと主張したい」とたたみかけた。
同時に、Y!mobileは「3GBで1480円、低価格スマホの中では圧倒的なシェアを持っている」(孫氏)と、大容量データを必要としないユーザー向けの値下げは、サブブランドで実施済みとの見方を示した。ただし、Y!mobileでは一部の端末に購入補助がつくため、これも改めていくという。
実際、例えば32GB版のiPhone 6sでは1000円から1500円の「月額割引」が付き、端末代の実質価格が抑えられている。「Android One X4」も、月額割引が900円から1400円ほどつく。Y!mobileはSIMカードのみの契約も積極的だが、こちらについては、「SIM単体契約特別割引」が400円付く。もともとは分離プランでスタートしていたY!mobileだが、ユーザーのニーズやMVNOとの競争に応じていくうちに、いつの間にか一体型のプランが提供されるようになっていた。
そのY!mobileについても、孫氏は「来期から分離プランにしたい」と語る。宮内氏もこれを次のように補足する。「Y!mobileの分離プランについては、来期の上期あたりに対応したい。今は割引が一部入っている。Y!mobileは現在でも十分安いが、当然1〜2割、料金は下がることになる」
au、ソフトバンクに続き、ドコモが分離プランを導入し、いよいよ3社の足並みがそろう形になる。ただ、ドコモの料金プランによっては、他社が追随に動く可能性もある。Y!mobileの値下げは、同じ土俵で戦っているMVNOにも影響が出るだろう。結果として、結果として、2019年は分離プランがこれまで以上に注目される1年になりそうだ。
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