携帯電話の店頭広告で景表法違反の恐れ 消費者庁が注意喚起
消費者庁は11月13日、携帯電話等の販売に関する店頭広告表示について、景品表示法上の考えを公表した。端末を安価で販売することを強調した広告では、条件の表示がなければ景表法違反の恐れがある。同庁は販売店に対し、条件等を丁寧に説明をするよう求めている。
消費者庁は11月13日、携帯電話等の販売に関する店頭広告表示について、景品表示法上の考えを公表した。
店頭の携帯電話等の広告では、「今なら半額」「一括0円」「本体特価○○円」など、安価に端末を購入できる案内が見られるが、実際にはさまざまな条件が付いており、表示された代金だけでは購入できない場合がある。こうした表示をしている場合に加え、条件が記載されていたとしても、文字が小さい場合や代金の表示と離れている場合は、景品表示法上問題となる恐れがあるとしている。
消費者庁は景品表示法上問題となる恐れのある表示例として、携帯電話等を安く販売することを強調しているが、実際には以下の点が明記されていないケースを紹介している。
- 指定回線の契約が必要であること
- MNPで他社からの乗り換えや、乗り換え後も最低12カ月契約する必要があること
- 指定の有料オプションサービスに一定期間加入する必要があること
- 他の通信サービス(インターネット接続サービス)に加入する必要があること
- 不要になった端末を下取りに出す必要があること
以下のケースも景品表示法上問題になる恐れがあるとしている。
- 他社からの乗り換えで端末を購入すればキャッシュバックを受けられるかのように表示しているが、実際にはさまざまな適用条件があることを明記していない
- 「詳しくは店員に(店頭で)」と記載しながら、消費者が記載を認識できない
- 台数限定で安く販売する広告を出しながら実際には販売台数に制限がない
- 期間限定のキャンペーンを繰り返している
また消費者庁は、ユーザーにとって不親切な案内による弊害も指摘する。例えば、携帯電話等が特別に安く販売される条件として、契約者のニーズよりも高い料金プランに加入する必要があるものの、具体的な内容が明記されていない場合、契約者は想定外に必要以上の料金を負担することがあるといている。
さらに、契約者にとって不要なオプション契約を締結することが条件となっているものの、オプション契約の内容や料金が明記されていない場合、契約期間が長くなるほど負担額が大きくなり、当初無料のオプションが有料になることで、いつのまにか料金を支払うことがあると指摘している。
こうした事例が起きないよう、消費者庁は販売店に対して、広告表示で具体的な金額を明記し、丁寧に説明を行うことを求めている。
関連記事
- 「4年縛り」は景表法違反? 「0円端末」は本当に悪? モバイル通信政策シンポジウムで語られたこと
米国のシンクタンクが、モバイル通信政策に関するシンポジウムを開催。日本の通信政策、特に携帯電話の通信料金の低廉化に関する施策の有用性を議論するのが目的。4年縛り、0円端末、楽天の参入など、さまざまなトピックが出た。 - 「契約自動更新」「4年縛り」「SIMロック」――公取委が考える携帯電話市場の課題
公正取引委員会が「携帯電話市場における競争政策上の課題について」の2018年度調査報告をまとめた。約2年ぶりの報告では、何を問題視したのだろうか。 - ソフトバンクが「おとり広告」で措置命令 2016年の「いい買物の日」を巡って
ソフトバンクが2016年11月に実施した「いい買物の日」のWebサイトに関して、消費者庁が同社に対して景品表示法に基づく措置命令を発出。Apple Watchのセールに関する表記を、いわゆる「おとり広告」と判断した。 - FREETELが景品表示法違反 消費者庁が措置命令
消費者庁が、プラスワン・マーケティングに対して、景品表示法違反で措置命令を行った。通信速度、SIMカード販売数量シェア、カウントフリーの表記に問題があった。プラスワンもおわびの告知を出している。 - 総務省が3キャリアに行政指導――“不適正な端末購入補助”で
総務省が、ドコモ、KDDI、ソフトバンクに対して行政指導を行った。同省が3月25日に発表したガイドラインに反して、不適正な端末購入補助を行っていたという。3キャリアで何が起きていたのか。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.