KDDIに聞く、au新料金プランの狙い 他キャリアにはない優位性とは?(1/2 ページ)
KDDIが新料金プラン「新auピタットプラン」「auフラットプラン7プラス」「auデータMAXプラン」を発表した。順に「ずっと月額1980円」「7GBを割安で」「使い放題」を特徴としている。KDDIはどのような狙いで新料金プランを提供するのか? 担当者を直撃した。
KDDIが新料金プラン「新auピタットプラン」「auフラットプラン7プラス」「auデータMAXプラン」を発表した。
新ピタットプランは現行のピタットプランを改定したもので、家族3人で使えば月額1980円(税別、以下同)から利用できる。7GB定額プランのフラットプラン7プラスでは、7GB超過後も300kbpsで使える他、2019年秋以降に対象SNSが使い放題となる。データMAXプランは、一部を除き、データ通信が使い放題になるのが大きな特徴。MNOでLTE向けに無制限プランを導入するのは日本で初めて。
KDDIはどのような狙いで新料金プランを提供するのか。5月13日の発表会直後に、コンシューマ事業企画本部 次世代ビジネス企画部 部長の長谷川渡氏と、商品・CS統括本部 副統括本部長兼商品企画本部長 理事の山田靖久氏にお話を聞いた。
「ずっと月額1980円」「7GBを割安で」「使い放題」が特徴
―― 今回発表した新料金プランの狙いを、あらためてお聞かせください。
長谷川氏 新auピタットプランに関しては、若い方からお年寄りの方までスマホの利用が伸びてきている中で、家族の中での負担感を軽減すべきという社会的な要請があります。そこにしっかり応えるべく、これまではキャンペーンで月額1980円としていましたが、家族3人という条件はあるものの、「ずっと月額1980円で使っていただけるプラン」をご提供するのが重要です。1980円からずっと使えるということは、いわゆる普通のお客さまからすると、「そういうのが欲しかった」となるのではないかと思います。
フラットプラン7プラスは、ピタットプランのように途中の容量や上限を気にするよりも、(auユーザーの)5割ぐらいが7GBを行ったり来たりなので、7GBを割安でご利用いただけるプランをご用意するのがいいと考えました。
もともと「LTEフラット」という7GBのプランをご提供していたので、そこから移りやすいことも踏まえて作りました。ただ、それだけだと面白みがないので、われわれの特色を出すべく、SNSのデータを消費しない、いわゆるゼロレーティングをご提供しました。SNSはライフラインとしてご利用している方も多いので、あれが使えなくなるという苦痛を解消をする狙いもあります。
auデータMAXプランは、昨年(2018年)から、Netflix様とバンドルプランを出させていただいているように、エンタメをたっぷり楽しんでいただきたいというのが、auとしての大きな思いがあります。来年(2020年)に5Gも始まるので、動画が使い放題になるプランを先行してご提供しました。
低容量〜無制限まで豊富な選択肢を用意
―― まずは新ピタットプランから確認させてください。現ピタットプランは〜1GB、〜2GB、〜3GB、〜5GB、〜20GBという刻みですが、新プランでは〜1GB、〜4GB、〜7GBと刻みが少なくなりました。これはなぜですか?
長谷川氏 1GB単位で分かった方がいいという人もいらっしゃるとは思いますけど、そこを気にして利用を控えるよりは、ある程度余裕を持ってご利用いただく方が、お客さまの心理的な負担を減らせると考え、〜1GB、〜4GB、〜7GBとさせていただきました。
―― 現ピタットプランは20GBが上限ですが、7GBに上限を下げたのはなぜですか?
長谷川氏 現プランは、ピタットの上(フラットプラン)が20GBなので20GBまで伸ばしたのですが、上がる金額が高かったので(現ピタットプランの20GBは割引なしで月額7480円)、そこまで行ってもいいよねと思える水準として、7GBを上限としました。さらにフラットプラン7プラスもあるので、いくらか払えば20GB(auフラットプラン20)に手が届くという形でバランスを取らせていただきました。
担当者 階段(新auピタットプラン)で7GB使うよりも、フラットプラン7プラスで7GBを使う方が安い(割引なし料金は前者が5980円、後者が5480円)のが特徴です。
―― 現行プランのうち、auフラットプラン20は残っていますね。
長谷川氏 30はなくしていますが、20は残しています。「auフラットプラン25 Netflixパック」も残しています。
―― ヘビーユーザー向けはデータMAXプランに一本化するのではなく、20GBや25GBの選択肢も残したということですね。
フラットプラン7プラスの使い放題はSNSが前提
―― フラットプラン7プラスは、SNSが使い放題なのが大きなトピックですが、SNS以外のサービスも使い放題の対象にする予定はありますか? 例えばYouTubeなどの動画ストリーミングサービスや、音楽配信サービスなどが加わる可能性はあるのでしょうか。
長谷川氏 今のところ、ミドルクラス(のプラン)にSNS使い放題があるのがバランスがいいのではと考えています。そこに動画配信サービスなどを付けると、もっとデータ量が上がってしまい、金額を上げざるを得ない。そういったご利用をされる方には、フラットプラン20やデータMAXの方が、バランスはいいと思います。
―― ゼロレーティングについては、オープンなスタンスで対応するというお話でしたが、これはあくまでSNSのみということですね?
長谷川氏 おっしゃる通りです。現時点では、SNS事業者さんに対してオープンに対応するということです。
―― フラットプラン7プラスで7GBを超えた後も300kbpsで使い放題となりますが、300という数字はどういう根拠で決まったのでしょうか。
長谷川氏 われわれのラボなどで、何kbpsがいいかを検証したところ、Twitterは300kbpsくらいあれば、大きなストレスなく見られることが分かったので、他のSNSもテキストベースなら300kbpsでも使えると判断しました。
―― 使い放題の対象にLINEがないのは気になりました。
長谷川氏 個別の事業者様との協議についてはお答えできませんが、広くご利用になられているサービスからお話をさせていただいています。これを見て「うちのサービスも」という事業者さんがいらっしゃって申し出をいただければ、協議させていただきます。
動画配信サービスとの協業は今後も検討
―― Netflixのバンドルプランは残りますが、こことのすみ分けはどうなるのでしょうか?
長谷川氏 動画配信サービスをバンバン使うというところまで行かないお客まはフラットプラン7プラス、動画も使う人は、20GB(フラットプラン20)がマッチしています。さらに、Netflixのような有料コンテンツも興味があるお客さまについては、フラットプラン20ではなくフラットプラン25 Netflixパックをオススメしています。何も考えずに使い倒したいというお客さまについては、データMAXプランを選んでいただければと思います。
―― 今回の新料金プランが出たことで、Netflixのような動画配信サービス提供者とコラボすることは減り、大容量のデータを使う人向けのプランは、データMAXプランに収束していくのでしょうか?
長谷川氏 Netflix様と一緒にやらせていただいたことで、お客さまにいいベネフィットを提供できたと考えているので、ああいった方向性は今後も検討したいと思います。
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