「意地悪な条件は付けていない」 NTTドコモに聞く、新料金プランの疑問点(1/4 ページ)
ドコモは6月1日に導入する新料金プラン「ギガホ」「ギガライト」を発表した。シンプル化と同時に、料金水準を最大で4割値下げし、競争力を強化するのがプラン改定の狙いだ。一方で値下げが実感できないという声もある。ドコモ担当者に疑問をぶつけた。
2018年から予告されていた通り、ドコモは6月1日に導入する新料金プラン「ギガホ」「ギガライト」を発表した。
シンプル化と同時に、料金水準を最大で4割値下げし、競争力を強化するのがプラン改定の狙いだ。料金値下げは政府の方針に沿ったものでもある。一方で、新料金プランはこれまでと大きく考え方が異なり、端末購入補助とも呼ばれる「月々サポート」が付かない。そのため、月々サポートや「docomo with」を加味すると、本当にお得になるのかがイマイチ見えづらいのも事実だ。
また、料金をパッケージ化してシンプルにはなっているが、ファミリー割引グループに2回線以上の契約があると適用される「みんなドコモ割」や、光回線とのセット割である「ドコモ光セット割」などの仕組みがあり、自分がいくらになるのかが契約状況によって異なる。ドコモはギガホを4980円(税別、以下同)、ギガライトを1980円からと打ち出しているが、実際いくらになるのかは分かりづらい点もある。
では、ドコモの新料金プランはどのような考え方に基づいて設計されたのか。同社で新料金プランを担当した、経営企画部 料金制度室 担当部長の大橋一登氏と、同部 経営企画担当部長の横内禎明氏に話を聞いた。
ギガホとギガライトに分けた理由
―― 新料金プランは、ギガホとギガライトの大きく2つに分かれています。このような体系にした理由からお聞かせください。
大橋氏 スマートフォンの使い方を改めて見てみると、データ通信がWebの閲覧程度であまり消費しない方と、動画などを見てデータを使う方の2つに分かれていました。低利用の方は、程度に差があったので、使ったデータ量に応じて階段が上がる仕組みを入れ、大容量はあらかじめ決められたデータ量を使う形にしています。ニーズに応じて2つに分けたというのが実態です。
―― ギガライトの最大を30GBにして一本化するということもできたと思いますが、7GBが最大です。これはなぜでしょうか。
大橋氏 そういう発想もあるかと思いますが、1GB、3GB、5GB、7GBの上に30GBが乗ってくると、料金設計上、アンバランスになってしまいます。たくさん使う方と、そうでない方には相当な差があります。そこは1つにするより、分けてしまった方が分かりやすいという判断です。
―― auには、30GBプランの他に、20GBプランもあります。大容量プランを30GBに一本化した理由を教えてください。
大橋氏 なるべくシンプルで分かりやすいものにしたかったからです。当初はおっしゃるようなバリエーションも検討はしましたが、30GBに一本化しました。
―― 一方で、もともと20GBの「ウルトラデータLパック」を契約していた人は、料金値下げの恩恵をあまり受けられません。
大橋氏 シンプル化するために30GB一本にしましたが、確かに20GBの人は、料金面だけを見ると、あまり安くならないかもしれません。ただし、今20GBの方には、30GB使えたり、容量超過後でも1Mbpsで使えたりする便益があります。
1GB未満のユーザーは実態として多い
―― 発表会では、1GB未満のスマートフォンユーザーが約4割というお話があり、驚きました。そんなに多いのでしょうか。
大橋氏 いらっしゃいます。実際の割合がそのぐらいです。何らかの事情でデータを全く使われていない方が含まれていないことはありませんが、ほとんどがきちんと使った上で1GB未満に収まっています。実態として、そういうことなのだと思います。
―― ただ、そこまでデータ量が少ないと、スマートフォンを持つ意義がそもそもあるのかという疑問も残ります。
大橋氏 いろいろな使い方があります。例えばLINEやWeb中心で、かつ家には光回線があり、オフロードしている状況で、専業主婦の方々のように家にいる時間が長いと、容量は全く使わないことがあります。確かにずっとモバイルだけで通信しているとそれなりに行ってしまいますが、オフロードすれば、それなりに使っても1GBに収まります。
―― なるほど。発表会後に、「安くなる」という声をあまりネットでは見かけませんでしたが、あまりネットに声を挙げない層が最も安くなるということかもしれないですね。
大橋氏 そういう側面はあるかもしれません。ネットの声でいうと、SNSでは「みんなドコモ割」のことにも、あまり言及がありませんでした。パッケージ料金なのですが、別に基本使用料がかかると思っている方もいたようです。階段のグラフを見せたので、(基本使用料がかかると)誤解されてしまったのかもしれません。
―― 最大4割値下げになるのが1GB未満、3割値下げになるのがギガホの30GBと1〜3GBの利用者ということは分かりましたが、3〜5GBと5〜7GBは2割の値下げです。ここは、もう少し安くできなかったのでしょうか。
大橋氏 今回は、ボリュームゾーンの方の値下げを大きくするという基本設計になっています。全体の8割ぐらいの方が3〜4割の値下げになります。また設計上、なるべく分かりやすくなるため、2GBごとに1000円ずつ増えていく建付けにした関係もあり、どうしてもこういう構図になってしまいました。
―― 1GB未満のユーザーが4割ということは、引き算すると、30GBのユーザーと1〜3GBのユーザーを合わせて4割、3〜7GBのユーザーは全体の2割ということですね。真ん中の人が多いかと思いきや、ここの割合が低いのは意外感があります。
横内氏 それが最初に申し上げた、両極化ということです。
大橋氏 ニーズの高いところ(の値下げ)を強めにした結果、このようになりました。
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