ホットスポットとは、普段家庭や職場で利用している無線LAN端末を、そのまま出先で利用できる仕組みやサービスのこと。「公衆無線LAN」などとも呼ばれており、大都市を中心にこの春から各社のサービスが続々と始まっている。
さて、サービスが始まったばかりのホットスポットだが、すでに次の段階に向けた動きが活発化している。それは、5GHz帯の周波数を利用したさらなる高速化だ。現状のサービスでは、IEEE 802.11b*1規格(以下11b)の無線LANとして端末が普及している2.4GHz帯を利用したものが中心になっている。11bの場合、理論上最大で11 Mbpsの性能を誇るとはいえ、実効速度*2にすると2M〜5Mbps程度にとどまる場合が多い。一方、5GHz帯の周波数を利用した無線LAN規格であるIEEE 802.11a(以下11a)の場合、理論値で最大36M〜54Mbps、実効速度にして10M〜20Mbps程度を実現することができる。
ADSLでもこの秋から8Mbps超のサービスが実施されるが、さらなる高速化の要求はホットスポットにも押し寄せているのである。
高速化が望まれるとはいえ、ホットスポット経由でインターネット接続を利用することだけを考えると現状では11bの2M〜5Mbpsでも十分実用に耐え得るはず。この点に関して、「HOTSPOT」という名称のホットスポットを展開するNTTコミュニケーションズ(以下NTT Com) ユーザーアクセス部・加納貴司氏は「今後、社内LANの高速化*3を目的として11aを導入する企業が増える。そのようなビジネスユーザーの利用端末に対応するためにHOTSPOTの5GHz化は必須」と明かす。つまり、高速化というよりも、今後持つ人が増えるであろう5GHzの端末にも積極的に対応するという部分に重点が置かれているようだ。ちなみに、NTT Comでは、今後開設するHOTSPOTには、2.4GHzの11bと5GHzの11aに対応したデュアルモードのアクセスポイントを設置する。