“クルマが単なる足ではなく生活のパートナーになる”、そんな未来を感じさせてくれるネットワークサービスが始まった。サービス名称は「G-BOOK」。トヨタ自動車(以下トヨタ)が投入した、クルマをネット端末に仕立て上げるサービスだ。
トヨタが10月21日に発表した新型車「WiLL サイファ*1」には、G-BOOKを利用するための端末が標準で装備されている。この端末は、いうなれば通信機能を搭載したカーナビゲーション(カーナビ)のようなもの。ただし、単なるカーナビと大きく異なる点がある。G-BOOKセンター*2に設置されたサーバーと無線通信を介してネットワーク経由でさまざまな情報をもたらしてくれるのだ。
G-BOOKが提供する各種情報は、専用の車載端末以外にもパソコン、PDA、携帯電話から利用可能だが、このサービスの醍醐味を堪能するには、やはり車載端末が必要になる。この端末がこれまでのカーナビと大きく異なる点は、通信機能を持ったというところ。端末にはKDDIが提供する「CDMA2000 1x(以下1x)」に対応したデータ通信モジュール「DCM」が装備されており、1xのネットワーク経由でG-BOOKセンターと通信することができるのだ。通信はドライバーが操作しなくても端末が必要に応じて自動的に行ってくれる仕組み。日産が「カーウィングス」という似たようなネット接続サービスを行っているが、こちらは手持ちの携帯電話を接続する必要がある。
また、1xを利用する最大のメリットは、通信速度が144Kbpsにまで高められたこと。全国の携帯電話のエリア*3で、しかも高速に移動しながら通信可能なのだ。
ではG-BOOKにはどのような利用方法があるのだろうか。大きく分けて2つ。まず、この手のネット端末では基本中の基本であるメールの送受信に対応している。次に、ニュース、交通情報、天気予報などの情報検索系が利用できる(インターネットでいうブラウジング)。ただし、単にメールや各種情報を送受信するだけなら携帯電話などで事足りる。だが、G-BOOKには車載端末ならではの工夫が凝らしてあるのだ。それは、運転中でも安全に利用できるよう、音声合成による情報の読み上げ*4と音声認識コマンド*5による端末操作を実現していることだ。たとえば、ダッシュボードに設けられた「TALK」ボタンを押して「メール」と言うと端末が自動的に通信を始め、センターに到着したメールを取り込み始めるのだ。そして、取り込みが終了すると音声合成で自動的に読み上げを開始してくれる。ドライバーは、手・足ならびに目が運転操作でふさがっており、G-BOOKの場合、“声で操作して耳で情報を得る”ことで、車内での快適で安全なネット利用を実現しているのだ。