クルマで安全に利用できるよう考えられたG-BOOKだが、メールや情報の検索が“耳で聞いて声で操作できる”だけでは、まだまだ魅力に乏しいし「ネット対応のクルマ」などと騒ぐほどでもない。G-BOOKにはクルマならではともいえる、カーナビと連携した利用方法がある。
たとえば、「コミュタロウナビ」という機能では、センターに設置されたコンピュータと会話しながらカーナビの目的地を自動で設定することが可能だ。まず、手持ちの携帯電話を付属のケーブルでG-BOOK端末に接続する。これにより車載マイクとスピーカーを利用した携帯電話のハンズフリー通話が可能になる。ここでコミュタロウナビへの接続を音声で指示するとセンターに電話がつながり、コンピュータが「用事はなーに?」と聞いてくる。そして声で「ナビ設定」と指示すると「どこに行くの?」と聞いてくるので目的地を告げる。実はこのとき、DCMの側ではクルマの位置情報*6をセンターに送信しており、現在走行中の場所に近いところから該当の目的地を検索する仕組みになっている。これにより、日本全国の地図から総なめ検索するより、早くてヒットの確率が向上するといったメリットを得られる。そして、検索結果がカーナビの画面に文字で表示されるので、OKであれば「いいよ」ということで、DCM経由でカーナビの目的地が自動設定される仕組みだ。本来ならカーナビの設定画面を手動で操作していた目的地設定を、携帯電話経由の通話型音声認識とDCMによるデータ通信によって走行中でも安全に行おうという考え方だ。
ただし、このシステムは試験サービス中でもあり、音声認識の精度*7に問題を抱えているようだ。「ナビ設定」など決められたコマンドの場合は問題ないが、任意の地名や場所の名前になると認識率がグンと下がる。取材に応じてくれたトヨタ自動車e-TOYOTA部長・友山茂樹氏は、「地名の認識率は5〜6割程度」と打ち明ける。ただし「今後コンピュータの調整を行うことで認識率は上がる。近い将来には人間のオペレーターに取って代わることも十分可能」(同氏)と力強く説明する。