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スマホで遠隔施錠と家族見守り シャープら、新築マンション向けスマートホームに参入

» 2017年07月05日 17時00分 公開
[山口恵祐ITmedia]

 シャープ、アルテリア・ネットワークス、アイホン、アッサアブロイジャパンは7月5日、鍵の遠隔施錠や家族の見守り機能を提供する、新築マンション向けのIoT(Internet of Things)プラットフォーム「つたえるーむ」を発表した。同日から住宅の開発事業者向けに受注し、2018年春に提供する。

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 家族の在宅状況や、ドアの施錠状態、来訪者の通知などを専用のスマートフォン向けアプリ「ココロボ〜ド」(iOS/Android、無料)から確認したり、マンション内の共用施設を専用ポータルサイトから予約したりできる居住者向けのサービス。

 具体的には、専用カードを持った家族がマンション入り口のオートロック(共用部)を通過したり、自宅(専用部)の鍵を解錠したりすると、アプリに通知が届く仕組み。外出先から鍵の遠隔施錠もできるという。

 来訪者からインターフォンで呼び出しがあった場合は、来訪者の写真や来訪時間をアプリに通知するほか、Web予約した共用施設の予約時間が近づいた場合も通知が来る。

photo 専用のスマートフォン向けアプリ「ココロボ〜ド」は、メッセージアプリのようなタイムライン表示が特徴だ
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 アプリに通知された内容は、自宅内に設置されたモニター付きインターフォンでも確認できる。利用料金は1世帯あたり月額380円程度を予定しているという。

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 サービスのターゲットは、外出先から子供の様子を知りたい共働き世帯だ。

 内閣府の発表によれば、保護者が共働きしている世帯は988万(05年)から1077万(14年)に増加しているすると共に、専業主婦世帯は863万(05年)から720万(14年)に減少しているという。

 販売目標は18年度で内定済みを含む50棟(約4700戸)、今後3年間では175棟(1万6000戸)、売り上げは計14億円を目指す。

 「つたえるーむ」の販売やインターネットサービスの提供、マンション専用ポータルサイトの情報連携をアルテリア・ネットワークスが担い、IoTを活用したプラットフォームやアプリ提供をシャープ、インターフォンシステムをアイホン、鍵のオートロックシステムをアッサアブロイジャパンがそれぞれ担当する。

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シャープが他社と組んだ理由は

 シャープは15年以降、AI(人工知能)とIoTを組み合わせた独自の「AIoTプラットフォーム」に注力すると発表しており、今回のサービスもその一環だ。同社の白石奈緒樹事業部長(IoT通信事業本部 IoTクラウド事業部)は、他社との連携が予想外だったと話す。

photo シャープの白石奈緒樹事業部長(IoT通信事業本部 IoTクラウド事業部)

 「弊社のAIoTプラットフォームを(発表した15年当時は)他社と連携して提供していくことになるとは思っていなかった。そういったニーズがあることを認識し、16年のCEATEC(国際IT展示会)で(連携についての)宣言してから、複数の企業からお声がけしていただいた」

 「コンシューマー向けにIoTが浸透してきたこともあり、さまざまな企業がIoTに取り組み始めている。しかし、Amazonのような大企業はサービスからハードウェアまでを一貫して作れる一方、中小企業は単独で(サービスを)広げていくのは難しい。われわれはプラットフォームを提供することで、共通化された環境を整備していくのが重要」(白石事業部長)

 家庭内の家電製品や情報端末をネットワークで一括管理するスマートホーム分野では、米Appleの「HomeKit」や米Googleの「Google Home」、米Amazonの「Alexa」などが先行しているが、白石事業部長はこれらと真っ正面から競合するものではないと説明する。

 「Googleなどがやっていることを肩代わりしていく、というものではない。クラウドのプラットフォームは多様で、それぞれ得意なことは異なる。シャープは家電をハンドリングするのが得意であると自負しているので、うまく連携していければと考えている」(白石事業部長)

 シャープは、マンション向けスマートホーム分野での地位を獲得することで、継続的な収益源を確保したい考えだ。

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