言葉で伝えられないことを目に込めて てぐれさん:教えて! 絵師さん
10歳でイラストを描き始めたというてぐれさん。孤独を、言葉で伝えられないことを目に込めて――さみしさも強さも感じる1枚1枚が印象的です。
昔から学校に行くのが嫌いで、絵を描くことが1番の表現手段でした。10歳でPCを使わせてもらえるようになり、インターネットの広さにのめり込んで、PCで描いた絵をネット上に公開して楽しむようになりました。
中学はほとんど行かず、どうやって這い上がるのかわからない状態の時、荒木飛呂彦先生の「ジョジョの奇妙な冒険」に出会ったことで意識が一変。イラスト科のある高校に進学しました。自分には絵しかない、と確信したのはその時だと思います。
最初はpixivでジョジョの絵を見たり投稿したりしていましたが、その中でみっつばーさんという絵描きさんを知り、絵柄を超えた枠の影響を受け、創作イラストの世界に入っていきました。高校時代は常に焦っていて、「AKIRA」「フリクリ」を通してアニメーターを目指すようになり、自主制作アニメを作るなど、友人と競い合うようにイラストを描いていました。この頃の自分に頑張ってくれてありがとう! と伝えたいです(笑)。
卒業後は3DCG・映像系の専門学校に進学しました。海外研修先の米国で映画スタジオを見学した際、日本人アートディレクターの方に「技術は発達していくけど、絵を描く仕事はなくならないよ」と背中を押してもらったことをきっかけに、改めて手描きの道を志し、専門を中退しました。
半年後、無事目指していた制作会社にアニメーターとして就職。私にとっては夢のような環境でしたが、結局至らない部分が多く退職してしまいました。そこで過ごした時間は本当に楽しかったです。
今はフリーのイラストレーターとして活動しています。物語の演出をしたい気持ちがずっとあるので、今後は漫画にも挑戦してみたいと考えています。描けるもの、できることをもっと増やしていきたいです。
描く上で1番のこだわりは目です。言葉で伝えるのが得意ではないので、言いたい事は目に込めるつもりで描いています。自分と重ねやすいこともあって、孤独を抱えた人が好きなので、そういうキャラクターを思い浮かべて描くことが多いですね。
特に人物を描く時は、自分が見惚れるまで手を止めないようにしています。表面的な流行の手段にとらわれず、自分の好きという感情を信じるのが大切だと思ってます。他の誰かがやっていることはやらなくていい――という気持ちです。
宮崎駿さん、井上雄彦さん、伊藤潤二さん、松本零士さん、あきまんさん、田中達之さん、ゲーム「大神」シリーズなどは特に思い入れがあります。小学生のころ、伊藤潤二先生の「富江」を読んで、造形美だけではなく危うさを秘めた姿に魅せられたので、女性を描く上では伊藤先生からの影響が強いのかな、と最近気付き、改めてファンになりました。また、絵ではない分野ですが、洋画やミュージシャンが大好きなのでその影響が非常に強いです。
「辛い日だったけど、絵を見たら元気が出た」とメッセージをいただいた時は、心底描いててよかった! と思えました。たくさん心労をかけてしまった両親が、自分の活動を見て喜んでくれた時もうれしいです。まだ駆け出しですが、作品を通じて色んな方に恩返ししたいと思ってます。
教えて! 自慢の1枚
2016
新年最初にこれを描けて、とても清々しかったので気に入っています!
MIDNIGHT MOON
かっこいいと思う要素を、無駄なく入れ込む事ができたのでお気に入りです。
ICE
超可愛い女の子描けた! と思ったら本当にたくさんの方に見ていただくことができ、自分を褒めました(笑)。
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